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Skills Cross  作者: 敷儀式四季
第五章
98/130

<3>~救出者達、その裏側。~ (全員の合流)

今回99話目です!!


つまり次で100話目!!

 “鳥”はカプリと首元に噛み付くと、そのまま立ち上がった。

 篠崎も一緒に立ち上げられる。

 肘鉄を食らわせたりと必死に抵抗するものの、“鳥”は篠崎から離れず血を吸い続ける。


「手前ぇ!!」

 染山が“鳥”に攻撃しようとするが、 “鳥”は壁を背にして篠崎を前に突き出した。


 つまるところ、盾にされてしまった。


「しくじった、じゃん」

 染山が歯をかみしめて悔しがる。

 こうしている間にも篠崎の顔は恐怖と嫌悪感に歪む。


「十島!!」

「言われなくても分かってる。でも、解決法が見つからない」

 珍しくのんびりした口調を脱却している十島も、同じく悔しがっている。


「離れなさいよ!!」

 紅も足で蹴ったりしているが、まるで効果が無い。

 才能を使えず、手錠をされていては紅の攻撃もたいしたことが無いようだ。


「あ、か……」

 篠崎の顔もだんだん蒼白としてくる。


「どうすれば……」

 その呟きに答えるように、一つの人影が走り抜けた。


 その人影は一直線に篠崎と“鳥”の元まで向かった。

「少々失礼します」

 篠崎の顔面、それも首元に向けてその人影は殴りかかった。

 ちゃんと腰の入ったストレート。


「グハッ!!」

 だが殴られたのは篠崎ではなく、“”だった。しかも、篠崎の首元を通り抜けるようにして殴っていた。

 そんな攻撃が来るとは思ってもいなかった“鳥”はそのまま仰け反って篠崎から離れる。


「そ、

 篠崎が呟く。

 “鳥”を殴り飛ばしたのは、手錠の外し方を探しに行った相馬だった。


「ど、どういうことだ……」

 人の首をすり抜けた?


「俺の才能、“通行許可証(オールパス)”。これは、どんなものでもすり抜けられるという才能でして。篠崎さん、首元に殴りかかるような風に見せてしまって申し訳ありません」

 ペコリと相馬は篠崎に謝る。


「さて、あなたは誰なのですか」

 相馬はそのまま“鳥”に顔を向ける。


「あれ? 相馬君?」

 紅がその変貌振りに驚く。

「口調が、崩れてる?」

 篠崎それには驚く。


「十島、指示を出せ。俺の才能は聞いていたな」

 本当に普段の口調からは想像もできないような口調だった。


「本当、女の事だとお前目の色変わるじゃん」

「そういう訳ではありませんよ。ただ、女に手を挙げている男、というのがはらわたが煮えくり返るほど嫌いなだけです」

「そうだねー、相馬君に関しては才能が才能だから近接戦トップクラスだしー」

「否定はしない。目の色のおかしな男だな、化物が」

 吐き捨てるように相馬は言う。


「なんじゃぁ? 訳が分からん。大体食事を邪魔されて本気でムカツいとんじゃ。死ね」

 “鳥”は相馬に向かって走りこんだ。

 そのまま連射のような速度で殴る、殴る、殴る――――――――、


「??? どういうことじゃ?」

 だが、相馬にまったくダメージを受けた気配が無い。

 というか、当たった音すらしなかった。


「どんなものでもすり抜けられるって言ったろ。俺はどんな攻撃でもすり抜けられる。さて、紅さんと篠崎さんは手錠を掛けられてますよね。染山、十島、さっさと牢屋の外へ出ろ」

「ん? あ、あぁ」「わかんないけどー、そうしようかー」

 染山と十島はそのまま牢屋から出る。

 それとすれ違うように黒い服を着た男が中に入ってくる。


「まったくよぉ、少年。お前結構燃える男だったんだなぁ。見直した。十分な時間稼ぎだよ」

 “鳥”は相馬が前にいてその顔が見えない。


 相馬はそのまま後ろ、牢屋に入ってきた男のところまで下がり、その身体をすり抜けて後ろに下がった。


「よぉ。そして止まれ。“白眼視(ホワイトアイズ)”」

 その身体をすり抜けて出てきた顔は有無を言わせず才能を使うと、“鳥”の動きが時間を止められたように固まる。


 篠崎と紅はそのまま部屋にいたが、固まることは無かった。


「黒服さんでも、いい人はいるんですね」

「いい人じゃないさ。ただの気まぐれで金にうるさいおっさんだ」

「ありがとう、さん」

 相馬は一礼する。


「じゃ、手錠掛けるか。この手錠も不思議なもんだよなぁ。手錠を掛けた者は才能を封じられるだけじゃなく、外からの才能も封じる。だがそれも完璧じゃない。身体全体に才能を掛けられると封じることが出来るが、部分的に掛けられると才能を封じられないんだからな」

 そう、だからこそ手錠を掛けられている篠崎の首元をすり抜けて“鳥”を殴ることができ、白道の才能は部屋に残っている二人には効かなかったのだ。


「どうして、白道が……?」 

 未だに紅は白道の真意が掴めずにいた。


 どうして私達を助ける?

 

「紅!!」

 白道が“鳥”を止めた後、牢屋に入ってくる人がまだいた。


「赤井!?」

 それは、他の場所で捕まっているはずの赤井夢斗だった。

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