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Skills Cross  作者: 敷儀式四季
第五章
97/130

<3>~救出者達、その裏側。~ (染山&十島編、4)

最近は眠くなることが多いですよね。


春眠暁を覚えず。


私の場合暁どころか昼くらいまで忘れているようですが。


昼寝も好きなんです。

この場合夜まで忘れかけるようですが。

「はぁ、はぁ……、ガハッ!」

 あの野郎、ふざけてやがる……。

 “バード”は通路の方を歩いていた。

 内臓をぐちゃぐちゃにされ、先ほどから血を吐き続けていた。 


「血、血が足んねぇ……」

 通路の奥にある隠しエレベーターから上の階まで上がって、輸血用血液をもらうつもりだったのだ。

 

 そうして歩いていると、あるところで大穴が開いている所があった。

 その大穴の円周は黒く、まるで溶岩が冷え固まったときのような状態になっていた。


 あの辺は、牢屋か?


 とりあえず、その中を確認しておこうと穴の中に無防備に“鳥”は入っていった。


 そうして中をのぞいた瞬間、首元に手が伸びてきた。

 それを紙一重でかわす。

 こんなことが出来たのは、吸血鬼の目の力だろう。


「ちっ!!」

 どうやら男のようだ。


「面倒くさいことに首ィ突っ込んだかいの?」

 見てみると、四人の青少年少女がいた。

 男のほうの二人は手錠が無く自由なようだったが、女の方は両方とも手錠を掛けられていた。

 その動けない女子二人を庇うように前に二人の男が出ていた。


「アンタにでも話を聞くじゃん。この手錠、どうやって外すのか」

「ってこの人の目ー、白目が赤で、黒目が緑ー?」

「本当じゃん!! 一体どういう仕組みなんじゃん?」

 少年二人はワイにあの手錠の外し方を聞いてきやがった。

 やっぱり、ワイは化物か。

 こんな目じゃな。


 しかし、いいな(・ ・ ・)


「ワイに手錠の外し方を聞きたいと。なら、ワイを倒して是が非でも吐かせてみぃ!!」

 いくら手負いでも、敵は少年二人。

 さっさと倒して――――――――――、


 威勢よく“鳥”は言うと、少年二人に走りこんだ。


 この速さには反応できまい。

 さっさとラリアットでも極めて意識取ってからじっくりいただくか。


 そうして少年二人まであと一歩程度のところで、それは起きた。


 ズプリと、地面に足がめり込んだ。

 

「あぁぁああぁああっっっつつつうつつつつううつ!!!」

 そこは溶岩のようになっていて、超高温だった。

 しかも、そこが溶岩になっているのをカモフラージュするために、地面のほんの少し上だけを普通の固体で置いておいてあったようだ。

 

 早くそこから出ようと思うのだが、底にまだ足が着いておらず、その温度のせいもあり、上手く力が入れられず慌てふためいていた。


「手錠の秘密ー、聞くんじゃなかったのー?」

「お前がこうしろっていったんじゃん!?」

 

 染山と十島は何者かがここに近づいてくるのを音で確認していた。

 そこで、一番有効な戦い方を“閃”で考えた結果がこれだった。


「まぁ、死ぬことは無いと思うよー。あれほどの温度だと、もう膝から下辺りは全部の神経もぶった切れて逆に関係ないものになってるからー」

「何か、見てるとえぐいじゃん。吐きそう、じゃん」


「あぁぁあぁぁぁあぁっぁあぁああぁ!!! はっつぅぅ!!」

 膝から下はもう無くなっていて、這いずりながらその地獄から“鳥”が出てきた。


「ヒィ……」

「我慢して、篠崎。彼らは私達を守ってくれてるの」

 その状況を足を抱え込んで我慢している篠崎と、それをなだめる紅が居た。


「意識がぶっ飛んでないだけ凄いと思うー。この人の目もそうだけど、怪物さんみたいだねー」

「だが、本当に意識あるのか? 白目剥いて、いや赤目剥いてるじゃん?」

 その状況を見ても尚、少年二人は普通に喋っていた。


 普通なら、気狂いしてもおかしくないような状況だというのに。


 

 舐めすぎた。

 いけないいけない、人外だからといって、こいつらは才能を使うんじゃ。


 危うく討伐されるとこじゃった。

 痛みに慣れておいて良かった。


 意識が飛ぶかと思ったが、再生能力が内臓に回っていて低いことと、これが相当な高温でよかった。

 神経が一瞬で焼け爛れて痛みが途中から感じなくなっちまったからな。

 それでもこの中から出たら今度は冷えて溶けきれた足の境目が痛いが。


 関係ない。

 

 こいつらは俺の敵。


 そして、俺のだ。


「ふざけんじゃ、ねえええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 このとき“鳥”は、生命の危機を感じ、内臓のことを考えずひたすら機動力の回復、つまり足の回復に専念することにした。

 それが意識的なのか無意識的なものなのかは分からないが、生命の危機を感じたこともあり、異常とも言うべき回復を見せた。


「なっ!!」「嘘っ!!」

 少年二人が驚いているが関係ない。


 再生した足を限界までフル稼働して飛び出した。

 その衝撃に耐え切れず、足に変な音が鳴るがもう気にしない。


 狙うは、女の血。


 少年二人を振り切ると、足を抱え込んでいて無防備な方の女子に近づき。


 その首元に噛み付いた。

というわけで寝てきます。


ぐっどらっく~。

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