<3>~救出者達、その裏側。~ (染山&十島編、2)
最近前書きに書くことがありません。
ネタ切れってやつなのです。
「えっと、ここの壁か」
地下駐車場から通路に入った染山と十島は、黒服の話から壁に手をつけた。
「“体温自在”、発動じゃん!!」
染山の当てている壁の部分から、煙が噴き出だす。
そして赤く光りだす。
ズブリとその赤くなって柔らかくなった壁に手を突っ込むと、横にクパァと広げた。
ゆっくりとその壁が開かれていく。その奥には通路が続いていた。
「本当にありやがったじゃん……。隠しのエレベーター」
「信じてなかったのー?」
「そりゃ、半信半疑ってやつじゃん」
通路の先まで進むと、エレベーターの扉を発見した。
そのままB4のボタンを押し、下降する。
「で、この先に牢屋ってやつがあるんだったじゃん?」
「そうなんだよー」
エレベーターから降りた先は、すこしだけ曲がっている先の見通せない通路だった。
「さっさと行くじゃん」
「長居はー、無用ー」
走り出す二人。
それでも、一応の警戒は解かない。
走り出して数分ですぐに牢屋は見つかった。
その扉を溶かして開ける。
「染山君と十島君!?」
「どうして二人が!?」
そこにいたのは篠崎と紅だった。
「篠崎に紅……、助けられて本当によかったじゃん」
「あれ、でもー」
染山は二人を発見できて安堵したが、十島は少し違っていた。
「赤井君はー?」
そう、赤井が居なかった。
「そうなのよ、赤井は私と一緒にここに連れてこられたはずなんだけど……。ここには居ないわ」
一緒に来たという紅は知らないようだ。
篠崎も首を横に振る。
「今その手錠を外してやるからな」
染山が手錠に近づく。
指の温度を上げて変形させて穴を広くさせようとしたのだ。
「無理だよ、染山君」
篠崎は苦い顔で言う。
「この手錠はどうやら才能を封印しているらしい。この手錠に触れたら才能を使えなくなっちゃうんだ」
その話を聞いて、篠崎の顔も翳る。
「マジじゃん……。じゃあ、俺達がここに来てもどうしようも出来ないじゃん……」
「そうかー、だからあんな風に人が捕まって抵抗できなかったりしたんだねー」
望みを失った染山を対照的に、十島は冷静に考えていた。
「ところで、どうしてあなた達はここに来れたの?」
篠崎が素朴な質問をする。
「それがな――――――――」
「それが――――――――」
染山と十島が同時に言う。
「ってあれ、俺達、どうしてここに来れたんじゃん?」
「んー、そういえば、どうして僕達はここに来れたんだろう?」
染山と十島は今までのこと、助言を、何故か忘れてしまって|いた。
「ちょっと、おちょくってんの?」
紅がジトーっとした目で見つめてくる。
「いや、よく考えたら、どうして俺達はここまで迷わず来れたんじゃん?」
「全然わかんないよー?」
「本当に、わからないの?」
篠崎が二人の態度を見て、本当に忘れているのだと気づく。
「不思議な話じゃん……」
「摩訶不思議アド○ンチャー?」
「それは曲名じゃん」
人間として、生理的に目を逸らしたくなる様な、血だまりのことは覚えているというのに。
その後からが思い出せない。
「本当に訳がわかんないわよ、あんた達」
「確かに、俺もそう思うじゃん」
「そうだ、染山君と十島君に言っとかないと」
「何を?」
「何じゃん?」
「何ー?」
篠崎が何かを思い出し、紅に話を振るが紅に問い返されてしまった。
染山と十島もこちらを見てきた。
「紅は覚えてるでしょ。相馬君が、私達を助けるって行ってここから脱出したのよ」
「そうだった!!」
「は!? どうやってじゃん!!」
「手錠、かけられてなかったのかなー?」
紅は思い出し、篠崎の物言いに染山と十島は訳が分からなくなった。




