<3>~救出者達、その裏側。~ (染山&十島編、1)
赤井がトラックで運ばれて“創造主”の居るビルに到着した頃。
「しかし、あれは……」
「あそこまでする人たちなのかな」
染山と十島はさっきみた映像が頭から離れなかった。
さっき見た映像とは、そこにいた人々がまとめて切り刻まれていて、あたり一面が血の海、血溜まりと化していたものである。
「酷かったじゃん。黒服を着た奴らはこんなことをするじゃんか?」
「あれはー、って、前から誰か来るよ?」
二人があの場を早急に立ち去っていると、前から一人ふらふらとこっちに歩いてきた。
「黒服?」
その人は黒いスーツを身に纏っていた。
黒服の戦闘員だろうか。
そう思い警戒を強める。
「待て!! 警戒しなくてもいい!! 私の話を聞いてくれないか!!」
その黒服は両手を挙げて敵意が無いことを伝えてきた。
「どうするー?」
「まだ警戒は解くな」
染山と十島はまだ険しい顔をする。
その黒服は走ってこっちへと向かってくる。
「君達赤井君の仲間だよね!! 写真で見せられたんだ!! 赤井君、そして君の友達が捕まえられたんだ!!」
「何?」
「嘘はついてないー、よー」
「お願いがあるんだ!! これから赤井君達を助けに行こうと思うんだが、手伝ってくれないか!!」
どういう魂胆だろうか?
罠か?
「君達が僕を疑うのも無理は無い。でも、僕はもう“統一された幸福な世界”、黒服たちを裏切ってきているんだ!!」
「十島、これは?」
「嘘はついてないー」
「君達の才能も教えてもらっている。“体温自在”の染山君、“閃”の十島君だろ? それを見込んでの話なんだ、信じてくれ」
どうやらこの黒服は俺達のことを知っているようだ。
十島の“閃”の的中率は99%だから、信用は出来るのだろう。
「じゃあ、信じる。話ってのは、どういうことじゃん?」
「君達に赤井君達の救出を手伝って欲しい。今からそのアジトに向かおうと思うんだ」
「どうやってー?」
「私の才能は“瞬間移動”。それで今から君達を飛ばす。地下駐車場みたいなところに着くから、そこから通路に入ってくれ」
「変なところに飛ばすなよ?」
「当たり前だ!! 嘘はつかん。なんなら十島君に聞いてくれて構わん」
「十島」
「嘘はついてない」
「なら話を続ける。通路に入ったら、すぐに右の壁を溶かしてくれ」
「どういうことだ?」
「そこが隠し通路になっている。その先に隠しのエレベーターがあるから、それに乗ってB4まで降りてくれ。その先には道が広がっているから、そのまままっすぐ進んでくれ。そうすれば捕虜室が見えてくるはずだ」
「一切の嘘なし。この人は本当に助けて欲しいみたいだよー」
「分かった。そこまで情報を教えてくれたのなら、協力しよう」
染山はそこで黒服と握手をした。
「じゃあ行くぞ」
黒服が二人の手を掴んで目をつぶった。
ジェットコースターで感じるような無重力を一瞬感じたかと思うと、目の前の景色が切り替わった。
「さて、この下だ。私は少し他の仕事がある。君達がここに入るのをごまかす、な」
「そうか、頑張るじゃん」「頑張れー」
「お前達もな」
そうして二人は黒服と別れた。
「ハッ」
染山と十島と分かれた黒服の男はある程度その場から離れると、
「ハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
狂ったように笑い出した。
「確かに嘘はついて無いけどよ」
愉悦に顔を歪める。
「だからってお前達の仲間になったわけじゃねぇだろうに」
誰に向かってでもなく、喋る。
「わざわざ死地に出向くような奴らとはな。まあいい。これで役者は全員揃った。後はどうなるか」
その男は特にあても無く歩く。
「俺としては最悪の終焉を望むわけだが、赤井夢斗がいるならば仕方がない。俺の“忘れ者”も、どうせ赤井が消し去るだろうしな。こうなったら、あの男がどこまで最悪を最高へと塗り替えるのか、調査するのも悪くない」
どうやらこの男は赤井を知っているようだ。
「面白くなってきやがった」
そう言った瞬間、場からその男が消えた。




