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Skills Cross  作者: 敷儀式四季
第一章
9/130

<3>~二人は一日置いて、目的地へと向かう。~ (1)

「やーもう紅ちゃんってば可愛いわねー!」

「ちょ、お母さん、やめてくださいって」

「やーだもう、お母さんなんて気が早いわよ!こーんな馬鹿息子にはもったいないわねー」

「紅のおねーちゃん、わたしと遊んでっ!!」

「わかったわかった。さーこっちで遊びましょーねー」

「わーい!!」


 何で今こんな状況になっているのか。

 少し話を遡ろう。


「お前家までもう近いのか?」

「うーん、後6時間くらいかしら」

「遠いな!!」

 赤井と紅はこれからのことについて話していた。


「あんな奴等にまた追われるかもしんないのに大丈夫なのかよ」

「あのね、ここまで助けてくれたのには感謝するけど、もう大丈夫よ。これ以上私に関わると死ぬわよ」

「俺は出来るだけ女子の願いってのは聞きたいもんだがな。残念だがその願いを聞くことはできねぇな!!」

「あんた馬鹿じゃないの」

「キメ台詞を潰された!?」

「どうでもいいけど、私から離れたほうがいいのは事実よ。ちょっとおかしな才能を持ってるからって格好つけて頭突っ込まないほうがいいわ」

「嫌だ。俺はお前を助ける」

「どうやって?」

 紅のその目は俺をすこし試すようだった。


「なら今日は俺の家に来い。部屋は父さんの部屋が開いてるから問題はない」

「ふーん、家ねぇ。そのほうがいいかも。そうして」

「……意外と驚かないんだな」

「無理だって分かってるもの」


 そこまで言われたら少し燃えてきた。

 絶対に紅を家に泊めてやる。


 そんな熱い決意の中家に帰った。

 問題なのは母さんの承諾だ。

 ていうかいきなり女子連れてきて泊めてくれって大丈夫か?


 心配は無用だったが。


「……ただいま。」

「……お邪魔しまーす。」

 二人は恐る恐る家(赤井)に入った。


「あらお帰り…………えっ?」

 そこには丁度母さんがいて。

 どうやら俺が女子を家に連れてきたことに驚いたのか、手に持っていたTシャツを落としてしまった。


「……ゆーちゃん、ちょっと来なさい」

 暗い声で俺を呼ぶ母様。

 ん、変な誤解された?

 ちなみにゆーちゃんってのは俺の家族内での呼び方(母のみ)。

 あんま好きじゃない。


 そう思いながら紅を玄関に残したままリビングに来ると、耐えていたかのように母さんが肩を震わして、


「何よ何よゆーちゃん!! あの娘とっても可愛いじゃない!! ねぇ彼女なの!! やったじゃないゆーちゃん!!」


 ずてーん。

 バラエティなら絶対こけてるぞ。


 いや確かに紅は可愛いって部類だと思うよ。

 肩までの亜麻色のショートカット、目も大きいほうだと思うし、小顔だし。

 だからって…。


「あのー母さん?」

「いやいや、ゆーちゃんにもついにこんな日が!! お母さん嬉しいわ!」

 もうこっちの話なんか聞いちゃいねぇな。


 この人が俺の母さん、あかづき

 年齢不明、身長145センチ、靴の大きさ22センチ。



 一言で言うと、合法ロリ。



 何度も父さんが実は法律を犯してるんじゃないかと不安になる。

 俺の年からして40は超えてるはずなんだが。

 今でも映画館に子供料金で入れるらしい。


「落ち着け母さん、しっかりしろー!!」

 たまに母さんが発病するトリップモード。

 こうなるともう人の話なんか聞きやしない。

 よく父さんが帰ってきたときこうなる(ちなみに俺の父さんは単身赴任中。)


 こんなときの対処法はひとつ。

「あー、あんなところに父さんがー(棒読み)」

 あさっての方向を指差しながら答えるとなおよし。

「どこ、どこなの!!」

 ぶんぶんと首を振って探す母さん。


 ……、空しくなってきた。


「母さん、嘘だよ。落ち着いた?」

「嘘だったの? しょんぼりしちゃうわよー。」

「じゃあ本題、あの子紅って言うんだけど、一日泊めてやってくれねぇか。」

「………。」

 母さんは腕を組んで考えた。

 そして、重い口を開いた。


「同棲したいなら言ってくれればマンションの部屋くらい借りてきたのにー。」

「ん!?」

「実家で同棲しようなんてゆーちゃんも結構強者だと思うけど。ちゃんと紅ちゃんの意見も聞いたの? 恋人の家族と一緒に暮らすって相当きついところがあるわよー。」

「何ものすごい勘違いしてんの!!」

「ん、どういうこと?」

「いやいや、一日だけでいいんだって!! どんな曲解してんだよ!!」

「なーんだ、そうなの? 別にいいわよそれくらい。太陽さんの部屋が余ってるから、そこをつかえばいいわね」

「お、おう」


 ものすごい誤解を先にされたせいか、すごく簡単に認められた。


 そうして紅をリビングに呼んだ。

「……OKになったぞ」

「そ、そうなの。意外ね」

 すこし紅の顔が赤いのは気のせいだろうか。

「それはそうと」

「ん、なんだ?」

「ゆーちゃん(笑)」

「うるせーやい」


 リビングに戻ると、妹のづきも二階から降りてきていた。


「えと、こんにちは。今日はありがとうございます」


そして、話は冒頭に戻る。


「お父さんに電話しなきゃ」

「せんでえーわ!!」


 うん、疲れた。

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