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Skills Cross  作者: 敷儀式四季
第五章
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87/130

<2>~俺達と黒服との戦い。~ (回転VS化物)

ここからは戦いが連続して続きそうですー。

 B4F、廻家side。


「簡単に自己紹介させてもらうなら、ワイは“(バード)”。そして、これがワイの才能」

 廻家の前に現れたのは随分となまりの強い男だった。

「う、うう……。うあぁぁああぁぁあぁぁあ!!!」

 その“鳥”と名乗った男は急に叫び声、というよりは雄たけびのような声を上げだした。

 すると、男の様子が少しずつ変化していく。

 少しガタイが良くなり、口からは鋭い八重歯が現れた。

 そして何より一番変わった場所は目。

 その目は本来白目の部分が真っ赤に染まっており、黒目の部分は緑色、瞳孔はその緑より深い色へと変わって行った。


「化物が俺の相手か……?」

「化物……。確かにそうだなァ。俺の才能はそのまま、“吸血鬼(ヴァンパイア)”じゃからな」

「そんななまりの強い西洋の妖怪がいてたまるか」

「ハッ! そんな舐めた口を利けるのも今のうちちゅーこっちゃ!」

 “鳥”はそう廻家に言った瞬間、消えた。

 

 いや、正確には消えたよう(・ ・ ・ ・ ・)に見えた(・ ・ ・ ・)のだが。


「がッ……!!」

 気がつくと、“鳥”が廻家の目の前に迫っており、その拳は廻家に刺さっていた。

 “鳥”はそこから一歩下がると、右足で回し蹴りを廻家の側頭部に叩き込んだ。

 廻家は壁まで吹き飛ばされる。


「才能、“吸血鬼”ってのは簡単に言うなら伝説の通りなんだよな。怪力とかな。そしてワシは、油断なんせーへんからな」

 “鳥”は廻家に迫り、圧倒的な拳を廻家に振りかぶる。

 ドン、ドンと廻家が攻撃される。

「がッ! くッ! たぁ!!」

 廻家は三発目の拳を両手で受け止めた。


「ワイの拳を受け止めたことには驚いたが、人にも、そして吸血鬼にも、手は二つあるんだぜ!!」

 廻家が止めているほうと逆の手を“鳥”が振りかぶると、異変が起きた。


「ふざけんなや。俺の才能も使わせろ」

 ゴキリと音がして、廻家が抑えていた方の拳が反対を向いた。


「いったあぁっぁぁああぁ!!!」

 手首を押さえて“鳥”はその辺をのた打ち回る。


「まったく」

 廻家はそのままノーモーションで足を凄い速度で振り上げ、“鳥”の顔面を蹴り上げた。


「俺の才能、知らないわけ無いじゃないだろ? “巡る輪廻(スピンアウト)”、それぐらい調べてるはずさ。っと、これ以上やると悪役っぽいな。俺」

 向こうを見ると、“鳥”はゆっくりと立ち上がっていた。


「糞……ったれがぁあぁああ!!」

 “鳥”は思い切りひねられた方の手をグキリと無茶に戻すと、頭を押させた。

「おいおい、そんな風に治さなくても良いんじゃないか?」

 その状況を見ていた廻家も思わず引く。

「ワイは吸血鬼……、再生能力も馬鹿でかいんだっての!」

 実際、“鳥”も拳を結んで開いてしていた。

 そして、またも消える。


「夜闇……ってほどでもないが、気配を消すのは得意なんだぜ?」

 今度は速度に身を任せた訳ではなく、本当に消えたようになったようだった。


 地面は回転できそうに無い……、こりゃ、久々に本気で才能を使わなきゃならないか……。


「……死ね」

 後ろから声。

 廻家はそれに瞬時に反応して足のボールで回転して振り向くが、そこには両手をあわせて握り締めた拳が。

 もちろん、吸血鬼の怪力で強化された拳である。


 ドォンと大きく鈍い音を出し、その衝撃に耐えられず回転しながら吹っ飛んだ。


「吸血鬼の、目を舐めるな。今、上手くダメージを減らしたな?」

 吹っ飛んだ廻家に“鳥”が言う。


「減らしてもよ……、痛いもんは痛いんだっての」

 鼻から血を流しながら、よろよろと廻家は立ち上がる。


「そう言うなや。今のは頭部爆裂コース。普通なら後頭部からトマトみたいになっとるレベルなんじゃきーの」

「回転する力が無かったら、楽になれたのかもな……」

 

 廻家は“巡る輪廻”を使って自分の身体を攻撃してきた方向に回転させることで、自分のダメージをある程度減らしたのだ。


めぐめぐるよ、世界は、めぐる」

「ん?」

 廻家はふと呟いた。

「世界は、偶然で出来ている」

「何言ってんだ?」

 廻家は呟きを止めない。

 そして廻家はゆっくりと腰に右手を回した。


「偶然から成功を手にするには、全力を尽くさねばならない」

 そしてしゃがみながらも片膝立ちのような構えになる。


「自分が傷つくことを、恐れること無かれ。自分が慢心することを、恐れること無かれ」

「???」

 “鳥”は訳が分からず廻家のペースに呑まれる。



 廻家は、突然動いた。

 思い切り踏み出すように“鳥”に近づく。


「どれだけ不意をついたとしても、吸血鬼の目はごまかせんさ!!」

 “鳥”はその廻家のいきなりの挙動にも焦らず、対処した。


 いや、対処したはずだった。


 想像していた速さにあわせてカウンターを叩き込もうと思っていた“鳥”は、



 気がつくと腹部を思い切り殴られていた。

 

 ……速い!!??


 “鳥”は気がついた。

 廻家が飛び出した速度よりも明らかに速度が上がっていることに。


 廻家は自分に当てた右手で自分に回転の力を与えた。

 それは、ぐるぐると回る、というようなものとは少し違っていた。

 例えば、地球は丸いが、普通に生活している人間はそのことを自覚しているのだろうか?

 答えはほとんどノー(イエスと答える人間は多分ひねくれた人)だ。

 非常に大きな円を描けば、その中の弧は直線に近い軌道を描く。

 廻家は大きな円の回転軸を回転させると考え、ほとんど直線に近い力を得、飛び出した速度よりも加速したのだ。

 


 そして“鳥”の視界が少しずつ回転する。


「この拳には回転の力が掛かっている。一つは拳の威力を挙げるために、もう一つは――――――」

「お、おおぉぉぉぉおお!?」

 “鳥”がぐるぐると回転しながら後ろに吹っ飛ぶ。


「お前に触れた瞬間に回転する力を与えてある。吹き飛べ。“回転の射手(サイクロン・ショット)”!!」

 その回転数は人間が耐えられるような数では無かった。

 ドンッと“鳥”は壁にぶつかり、そこである程度ぐるぐると回転した後、ゆっくりと地面に落ちた。


「遠心力で内臓とかぐちゃぐちゃだろ。まあ、吸血鬼だからダメージなら再生できるのかも知れないが、ずれた内臓の位置はどうするんだろうな?」

 “鳥”は沈黙していた。

 明らかにしばらくは立ち上がらないだろう。


「語るってのは俺の性に合わないんだがな。時間稼ぎくらいにはなるな。それに……、語るのも面白い」

 廻家は非常にかっこいい感じで戦いを終わらせた。

結構かっこいい感じになった気がします。






え? 私だけ?

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