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Skills Cross  作者: 敷儀式四季
第四章
77/130

<4>~“都市”、乱れに乱れり。~ (5)

「お困りでしょうか、理事長先生」

 その声は、唐突に後ろから聞こえてきた。


 そこにいたのは生徒会長こと高原衣だった。

 隣には風紀委員長の姫岸鉄も居る。

「やっぱり高原君は生きてたのね……、って今はそんなことを言ってる場合じゃないのよ。ゴメンね」

 生徒がちゃんと生きていたことには喜ぶものの、今の現状は変わらない――――――――。


「北に1km、東に1.3km。その地点をトラックは走行中です」

「なんだって!?」

 高原のいきなりの言葉に太陽の方が先に驚いた。


「そうか……。高原君の才能、“観察者(オブサーバー)”!! ありがとう高原君!!」

 高原の才能を思い出し、とても喜ぶ。

「何なんだ、その“おぶさーばー”ってのは」

「私の才能です。効果範囲内なら視点を変えて見ることが出来ます。今は衛星写真のようにしてそのトラックを見ています」

「へぇ、便利な才能だな。じゃあ、さっさと追いかけるぞ。効果範囲があるんだろ?」

「ええ。急ぎましょう」

「なら私の車を使おうよ!!」

「人数が多いから二つに分けた方が良いわ。私の車も使いましょう」

 ポケットから鍵を取り出す叶と祈。

 人数が多い?

 太陽は不思議に思ったが、その理由はすぐに分かった。

 走ってそこまで行くと、そこには赤い軽自動車が。

 その奥には四人乗りのいかにも速度が出そうな外車が。


「確かに……。こりゃ無理だわ。」

「じゃあ、叶の車のほうに高原君を乗せましょう。じゃないと、置いていかれるから」

 謎の祈の助言があり、叶の車に高原と姫岸、祈の車に太陽が乗ることになった。


「どうして叶の車にあの高原ってやつを乗せたんだ? あっちの方が軽自動車だから遅くないか?」

 どうやら軽自動車の方が叶のだったようで、今からカーチェイスを行うのには少々頼りない。

 こちらには高原が居ないから叶の車についていくしかないのに。

「何言ってるの? あなたはこっちに乗れたんだからラッキーなのよ?」

「どういう意味だよ」

「すぐに分かるわ」


 ブゥゥンと、エンジン音が隣の軽自動車から鳴った。

 まるでF-1の車のような。


 見ると叶の車のほうが慌しくなっていた。


「なんなんですか今の音!?」

「軽とは思えませんよ!?」

 高原と姫岸はすごく驚く。

 そんな音を鳴らした本人はゴメンゴメンと言うと、サングラスのようなゴーグルのようなものを取り出して掛けた。


「口を閉じてないと舌を噛むかも知れないよ♪」

 すごくいい笑顔で。


 叶はそう言った。


 キィィとタイヤが少しから回りしたかと思うと、一気に車が発進した。

 そのまま校門に向かう。


「トップスピードに入るの早くね、ギッ!」

 ツッコもうとした高原は舌を噛んだようだ。


 そうして校門を出ようとしたとき、校門の目の前に人影が見えた。


「先生、前っ!!」

「危なっ!!」

 キキィィィと急ブレーキを踏む。

 だがそれだけでは確実に撥ねてしまうと感じた叶はそこからドリフトのように車を横滑りするようにして、その人のぎりぎり目の前で止めた。


 その人も凄く驚いていた。

 何せ人はもう捕まっているから、人が居ないと思って出していた速度だ。

 止められたのは発振した直後だったのと、叶の運転テクニックの賜物だろう。


「ごめんなさい!!」

「いいっていいって」

 叶は車を飛び下りると目の前の人に心を込めて謝った。

 その人はとても良い人そうだった。


「ところでアンタ、まだ捕まっていないようだが。何者だ?」

 太陽はいぶかしむように見る。

 一般人はほとんど捕まってしまったこの状況で普通に動いているこいつは何者なのだろう。


「何者……、名乗るほどの者じゃないが……。俺は紅桜。俺の妹がここに居るはずなんだ」

 その人、桜は太陽とほとんど同じことを言った。

だんだん集結しつつあります。

色々なところで散らばっていた者たちが。

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