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Skills Cross  作者: 敷儀式四季
第四章
76/130

<4>~“都市”、乱れに乱れり。~ (4)

 10:13、間之崎学園玄関前。


「さて、理事長先生。もうおしまいか?」

 桜島が勝ち誇ったように言う。

 その目の前には、体中を傷だらけにして倒れている理事長こと富士祈がいた。


「私は、負けるわけにはいけないの!!」

 鬼気迫るような顔で、ふらふらしながらも立ち上がろうとする。

 が、やはり力を入れきれずにどさりと地面に倒れる。


「何でそんなにかたくななのかねえ。とりあえず、手錠を掛けさせてもらうか」

 桜島が倒れている祈に近づく。


 私は、守れないと言うの?

 あの人の(・ ・ ・ ・)、息子を。


 確かに、他の人から見たら可笑おかしいかもね。

 有り得ないか。

 好きになった男の息子を、しかも自分のでも無いのに。


 でも。


「まだ、負けてないんだから!」

 這ってでも桜島から逃げる祈。


「何があなたをそうさせるのか……。まったく、美しい顔が台無しだ。俺はそんな執念深い女は微妙なんだがっと」

 這う速度なんてもちろんたかが知れているもので、桜島はそんな祈の前に立った。


 祈は手を庇うような姿勢を見せるも、何かの力で空中へと宙ぶらりんにさせられ、手錠を掛けた。


「さて、仲間の話だと帰ってきてない奴らが居るんだったな。まだ捕まってないのは……。あの生徒会長か。一番面倒くさそうだが、何とかなるな。探しにでも行くか……、何だありゃ?」

 桜島は間之崎の校舎の方に戻ろうとして、轟っという音が後ろからしたので振り返った。

 そこには、人を一人おんぶし足から炎を出している男が空に浮いていて、その男は見事に着地した。


「舞人……、桜島舞人か……」

 炎を出しながら降りてきた男が桜島の名前を出した。


「おぉ。これはこれは焔先生(・ ・)。久しぶりですね」

 桜島はその男、焔と面識があるようだ。

「お前、その服……。黒服共の仲間になってるのか……?」

「あれ、言ってませんでしたっけ? いやいや、先生の教えのおかげで、黒服でも幹部に。アンタよりもずっとずっと強くなったんだぜ?」

 途中からだんだん口調が変わっていく桜島。


「若造が。抜かすな!!」

 そう焔は言い、右手を前に突き出した。

 そこから炎が噴出する。

「俺の才能、忘れたわけじゃないですよね」

 桜島はそれを無防備に見ている。

 炎が桜島に迫る!!


 が、桜島はまる焦げにはならなかった。

 噴出した炎は桜島を避けるように進んでいた。

 それはまるで桜島の目の前に透明な球体のボールがあるように。


「“極めれリ念コンプリートサイコキネシス”……、いやアンタの才能をもじる必要もないな。“超・念能力ハイパー・サイコキネシス”。この才能、勝てるか?」

「負ける気はしない」

 焔はその場から足に炎を噴出させ飛び出した。

 桜島も自らの才能、超・念能力を使って飛び出した。


 その最中。

 太陽と祈は、お互いの顔を見て驚いていた。

「お前……、祈じゃねぇか……」

「太陽!? 何でこんなところに!?」

 太陽と祈もどうやら知り合いのようだ。


「ところで祈、大丈夫か!!」

「見た目よりはそうでもないわ。とにかく、この手錠を外してくれないかしら?」

 太陽は傷だらけの祈に心配したが、どうやらそうでも無いようだ。


 焔にしたように太陽は大剣でバギンと手錠を切って外す。


「向こうに居る叶も助けてあげて」

 そう祈が指差した方を見ると、叶の姿が。


 叶も大剣で手錠を外すと、こっちに連れてきた。


「これで何とかなったわね」

 祈は手首の辺りを見ながらさすっている。

「ありがとう、太陽!!」

 叶は元気にこっちに笑顔を振りまいた。

「どうしてお前がここに……?」

 太陽は祈と叶が何故ここにいるのか分からなかった。

「それは別にいいでしょ。それより太陽、あなたが何でここに居るの? ここは都市よ。才能が無ければ入るのが難しいのよ?」

「いやいや、俺の息子がここに居るはずなんだ」

 太陽がきょろきょろと周りを見た。


「そういえば、私が戦ってるときにはもう居なかったわね。確か桜島はそこの木の下に置いていたはず……、ってあれ!? そこにあったトラックが居なくなってる!?」

「ちょっと前にここを出てたよそのトラック!!」

 祈と叶がそれぞれ怪しいトラックを確認していたようだ。

「それさっき見た! こんな状況でトラックなんておかしいとは思ってたが……。その中に夢斗が居たわけか……」

 どうやらすれ違いに近いものになったらしい。

 そのトラックに追い着こうにも足が無い。

 焔は目の前で桜島とバトルを始めてしまったのだ。


「そうよ! あの男、桜島と戦ってはいけないわ!! 赤井夢斗、あなたの息子の力で封じないと、あの才能は危険すぎるの!!」

「そうなの!! 赤井君の才能が必要なの!!」

 焔が戦いを始めたのを見ていると、必死な形相で祈と叶がこっちに話しかけてきた。

「だが、見た感じ焔は強いぜ?」

「そんなの関係ない!! あの男はそういう次元の上に居るの!! 赤井を早く取り戻さないと……」

 祈がここまで叫んでいる。

 これは本腰を入れないといけないほどの相手なのだろう。


「ならトラックを追いかけて見るか」

「でも、もう見えないわよ」

 祈が門の向こうを見るが、もうそこには平坦な道しか見えなかった。


念能力についての説明。


念能力とは手を触れずに物体に力を及ぼす能力です。


説明できなかったので念のため。

念能力だけに。

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