<4>~“都市”、乱れに乱れり。~ (2)
9:46、廃ビル外、西に1kmの地点。
「ったく、こんなところで野垂れ死ぬのだけは勘弁だな……」
白道によって捕まってしまった焔は、じゃらじゃらと手錠を手足から鳴らしながら、ピョンピョンと飛び跳ねて目的だった間之崎学園へと進んでいた。
とはいえそれは非常に体力を使うので、身体から汗が噴き出していた。
「そこの人。間之崎学園というところを知りませんかね?」
それはパッと見は普通のおっさん、といったような感じの服装。
だが、それをぶち壊しているといっても過言ではない装備が体中にされていた。
背には大きな剣。
腰には一方に三丁、両方で六丁の拳銃がしまわれていた。
そして静かに威圧というような歴戦の猛者を思わせる闘気を漲らせていた。
こんな状況でまだ捕まっていない。
それがこの威圧感を証明しているように思えた。
「俺もそこに向かっている。なあ、これを外してくれないか? そうしたら教えてやる」
焔はこの男を信用はしていないが、とりあえずはこれを外してもらおうと思った。
そこで背広の中に入っている鍵を渡そうと思っていた。
この男は、その予想を遥かに上回っていたのだが。
「これが鍵」
「よし、そのままで居ろよ」
焔の言うことを聞かずに、その男は何かに集中した。
「絶対に動くなよ!!」
念を押されたので、何をするのか気になったが様子をみた。
「はっ!!」
シャリャンと金属がこすれあう音がしたかと思うと、その男は背に背負っていた大剣を振り下ろしていた。
その後、バギンと手錠が切れ、大剣の威力に耐え切れず砕け散った。
「だ、大道芸人かよ……」
焔もこれには冷や汗をかいた。
「さぁ、助けてやったぞ。連れて行ってくれないか」
その男は先ほどのことを何とも思っていないように言った。
「お前の、名前は……?」
焔は驚きながら聞く。
「赤井太陽。覚えておいて損は……、無いとは言い切れん」
赤井……?
「お前、赤井夢斗という男を知っているか?」
「あー!! それ、俺の息子だよ!! 何だアンタ、知り合いだったのか?」
太陽は十年来の知り合いだったかのように言う。
「アンタではない。焔炎作だ。さて、お前に言いたいことがあるんだが……」
「何だ? 焔さん」
太陽が何事かと聞く。
太陽は知らなかったのだ。
焔炎作の呼び名を。
“燃える正義”、“炎の執行人”と呼ばれていることを。
「赤井太陽を午前9時51分、銃刀法違反で現行犯逮捕させてもらう」
「はぁ!!」
太陽もこれには驚いていた。




