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Skills Cross  作者: 敷儀式四季
第四章
73/130

<4>~“都市”、乱れに乱れり。~ (1)

 10:50、とあるビル内。


「……、ここは、どこだ」

 赤井は大きなホールの真ん中に倒れていた。

 一緒に“(ペイン)”にやられた紅は居なかった。


 その時、ホールから入ってきた男が居た。


「やっと来てくれたか。これは一度帰ってきておいて正解だった。あの二人に感謝せねばな」

 その声は忘れもしない、あの“創造主”だった。

 “創造主”は一度このホールを出て行ったものの、発見した赤井の仲間である相馬と篠崎を連れ帰ってきたので、戻ってきていたのだ。


「アンタが、俺をここまで呼んだのか? “創造主”さんよ」

「ああ。お前に聞きたいことがあってな。赤井、俺の仲間にならないか?」

 “創造主”は至極当然といった風にそう言った。


「何で……、俺なんかを誘うんだよ」

「何故? 簡単だ。お前の才能と性格を考えた末の結果だ」

「なら、俺が仲間になるわけ無いだろ!!」

「そうか? お前は、そういう簡単な感情からは一線を(・ ・ ・)引いた(・ ・ ・)男だと思っているんだがな」

「……」

「お前は一時の感情でそんな簡単に道を踏み外さない男だろう? お前は、良くも悪くも達観している。何故一介の高校生がこうなったのかは分からないがな」

「いつもお前はすべてを見透かしたような男だな」

 赤井の口調が、普段紅などと話していたものから、ある種冷たさを感じるようなものに変わる。


「それが赤井、お前の本性か?」

「本性かどうかは俺にだって分からない。そんなものだろう」

「確かに、その通りだな」

「だが、俺はお前の仲間になる気は無いぞ」

 赤井は冷たい口調のまま“創造主”に言う。

「世界の半分をやると言ってもか?」

「その場合どっちを選んでもバトルになるだろうが」

「なら、今俺が拘束している紅とその他2名がどうなっても知らない、と言ったら?」

「古典的で典型的だが……、それはどうしようも出来ないな」

 赤井が思案顔になる。

「お前には……、そうだな、“デリート”って名前をつけてやろうか?」

「……っち……」

 舌打ちがむなしく響いた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 10:50、ポイントDと呼ばれていた地点近く。


「まったく、本当にみんな捕らえられてるみたいじゃん。すごいじゃん」

「感心してす場合じゃないよー、紫瀬ー」

 染山と十島はいまだぼちぼちと歩いていた。


 その目の前に、黒い服を着た人影が見えた。

「隠れるじゃん!」

 咄嗟に染山が周りを見渡し、隠れるところを探す。

「才能使えばー?」

「……予備のカロリーメイトはあるじゃん。じゃ、問題ないじゃん」

 胸元のカロリーメイトプレーン、メイプル、チョコを確認すると、すぐ横にあったビルのガラスへと両手を当てる。


「“体温自在カロリー・コントロール”、溶けろじゃん!」

 すぐにその壁が赤く光り溶け出す。

 すると染山は赤くなったガラスに手をめり込ますと、両手を横に開くようにした。

 そうして上手く穴を作った。


「早く入れ!」

「分かったー。」

 二人はそうして中へと入り、もう一度ガラスを溶かして壁を塞いだ。

 もちろんそんなことで綺麗になるはずも無いので、デロデロになっている。


 二人は中に入ると、すぐに壁のあるところへと向かい、背を隠した。


 数分後、黒い服を着た二人組がさっきまで染山と十島が通っていた道を歩いてきた。


「“ムーン”さん、大丈夫ですか?」

「かなり……、きついです……」

 両方とも女性ではあったが、明らかに違う二人だった。

 一人は黒いスーツに赤いネクタイでゆったりとした格好だった。背はすらりと高く、そのままモデルとして出ても構わない様な体型と顔立ちだった。

 もう一人は黒を基調としたフリフリのついた服。いわゆるゴスロリという奴だろう。背は低く、口に手を当てていた。

 二人とも共通していたのは、顔が蒼白としていたことだろうか。


あんなこと(・ ・ ・ ・ ・)を見た後ですから……。そうなるのも無理ないです」

あんなの(・ ・ ・ ・)、“創造主”の考えじゃないよ……」

 あんなの?

 染山と十島はその言葉が気になった。

 その後も二人は何か話していたようだが、よく分からなかった。

 幸い二人はここに来るまでに周囲の注意力を妨げられるような何かがあったようで、何事も無く通り過ぎていった。


「あんなことって何だろうねー、紫瀬ー」

「知るわけないじゃん。ここは、あいつらが来たほうの道を行って見た方がいいかもじゃん」

「そうだねー」

 そうして二人はビルに入ったのと同じ方法で出た。


 二人は出た後、黒服の二人組が来た方向へと向かっていた。

 その道を進むほどにだんだん鉄が錆びたような臭いが強くなってきた。

「何だろうねー、この臭いー」

「お前、分かってるだろ。じゃなけりゃ才能を使ってるはずだ」

 染山も普通の口調になっている。

 顔が引き締まっていた。


「どういうことじゃんよ、これ……」

「黒服の仕業ー、じゃなさそうだったよねー、あの様子を見るとー」


 そこは、血溜まりという表現しか思いつかないような惨状になっていた。

 そこにいた人々がまとめて切り刻まれていて、あたり一面が血の海、血溜まりと化している。


「やっぱり、あれは血の臭いだったじゃんよ……」

「うへー」

 エロリと。

 十島は胃の内容物を吐き出した。


「これは……、流石に……」

 染山も胃の内容物を吐き出した。


「誰が一体こんなことを……」

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