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Skills Cross  作者: 敷儀式四季
第四章
72/130

<3>~“都市”、いたるところで戦闘開始。~ (9)

「まったく、さっさと捕まってくれんか?」

「生憎だがお断りだ」


 桜は身体から血を流しながらも、断る。


「さっきの顔面蹴りは面白かったが、わしには効かんぞ?」

「黙ってろ、老獪(ろうかい)

「酷い言い草じゃのう。そんな口もわしの拳で打ち砕いてくれよう」

 拳を構える“yesterday”。


「俺は、相手がアンタで良かったと思ってるんだ。“yesterday”」

 桜は“yesterday”を睨みながら言う。

「わしおぬしに名乗ったかのぉ。……、ああ、おぬしはあのUSBを持っておったんじゃったか。で、なんでわしで良かったんじゃ?」

「アンタは言うなれば凄く堅い鎧を着ているだけの男だからな。摩訶不思議な才能を使われるよか、よっぽど楽だ。それに」

「それに?」

「あんたみたいな才能に溺れた馬鹿で慣らし運転ができるからな」

「……言うじゃねぇの! 気に入ったぜ、桜!」

 そしてやはりその身体の大きさからは想像も出来ないような速さで桜に近づくとまたも丸太のような拳が桜に飛ぶ。

 それを難なく避けるが、今度はがら空きな腹を殴らない。

「流石に二回目は無いかのぉ!」

 やはり先程のもわざと隙を作って打たせたらしい。

 もうそう簡単に殴ってこないことが分かった“yesterday”は、猛攻を開始した。

 右に左に拳が乱れ飛ぶ。

 それをすいすいとかわす桜。

「どこまで避けきれるかな、桜!」

「答えは一つ、どこまでもだ」


 拳が使えぬのなら、他の部位を使うまで。

 堅さなど関係の無い、杭のような重い一撃を放てる。


 そして桜は、“yesterday”の猛攻の中にチャンスを見出す。

 元々ほとんど油断している相手、簡単にそれは出来た。


「今から出す技は、かなりえぐいから気をつけろ」

 気をつける必要など無い、と“yesterday”は言おうとした。

 桜の手が“yesterday”の右肩辺りに触れたように見えた。

 バゴンと。

 何かが外れるような音がした。


「気をつけって、があっぁあ!!」

 “yesterday”が飛びのく。

 その“yesterday”の右腕は、反対の左腕よりも長くなっていた。

 そして力が入らないかのようにだらんと垂れ下がっている。


「お前……、関節外し(・ ・)やがったな(・ ・ ・ ・ ・)!!」

 そんな右腕を左腕で抱える。

「あいこだ。これで」

「ふざけんじゃねぇっての!」

 ガコンと、“yesterday”は左腕で嵌め直す。

「これで、元通りだ」

「今のはお試し。さしずめお前が俺に一回殴らせて才能を分からせたようなもんだ」

 桜は手を前に出し、ちょいちょいと指を手前に折る。

 来いよ、と。


「次はお前のタックル、つまり決め技みたいなもんだ」

「舐めた口利いてくれるのぉ!」

 今度は簡単な攻防を避け、先ほどの超強烈、超高速、タックル。


 避けられないかと思われた。


「さっきまでの俺は、お前の実力を見ていたと言っても過言じゃない」

 そんな声が聞こえた。

 桜は一瞬で“yesterday”の後ろに回ると、肩甲骨辺りに軽く肘鉄を当てる。

 それでバランスを崩し地面にこけてしまう。


 そしてこけた“yesterday”にすばやく近づき、両肩に手を当てる。


「があぁああぁ!! ま、また……!?」

 バギンと一瞬で両肩が外れる。


 そこで桜は終わらなかった。

 バゴンと、さっきよりもより鈍い音が“yesterday”から鳴る。

「があぁぁあぁっぁあぁあっぁあ!!」

 両膝が外された。


「まだまだ」

 今度は両膝よりも音は軽かった。

「ぐあぁぁぁあっぁっぁぁ■■■■■■■■■■■■――――――――!!」

 両肘が外される。

 あまりの激痛で“yesterday”は白目をむいてビク、ビクと動くだけになった。


「ったく、随分久しぶりにこんなえぐい技出しちまったな。確かこいつも手錠を持ってるんじゃなかったか……」

 ごそごそと“yesterday”の身体を探ると、すぐに手錠を発見できた。


「これ、手首にあわないじゃん」

 鍛えられた“yesterday”の手首は大きく、手錠が嵌らないほどのレベルだった。


「しょうがない」

 ボギンと何のためらいも無く“yesterday”の手首も外すと、ガチャリと手錠を嵌めた。


「少し体力を使いすぎたな。腹減った。なんか血を作るもんが欲しい」

 そう呟きながら、飄々と桜は歩いていった。

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