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Skills Cross  作者: 敷儀式四季
第四章
70/130

<3>~“都市”、いたるところで戦闘開始。~ (7)

 9:31、廃ビル外、東に1kmの地点。巡家side。


「はさみこまれちまったな」

 廻家が言葉とは裏腹にまったく恐れていないようだった。


「もう敗北は許されん、許されんのだ!!」

 “風”は切羽詰ったような感じで声を上げる。

「ごめんなさい。ちくっとするかもです!」

 まるでこれから注射をするかのように“DBY”は言う。


 仕掛けたのは、“風”だった。

「ふんっ!」

 才能、“滅亡の右手(ジェノサイド・ライト)”による一突き。

 それを左回転して距離を半歩分ほど下げ間合いを外すと、その回転のまま裏拳を叩き込む。

 “風”はその裏拳を左腕でガードする。

 廻家はそのまま回転して後ろに回る。

 “風”も後ろを向く。

「“巡る輪廻(スピンアウト)”、まったく厄介な才能だな。無条件で回転をかけられては、間合いを外されてしまう」

「だろ?」

 廻家はそのまま地面に手をつける。

「こんなことも出来ちゃうんだな!!」

 すると、道路のコンクリートと土がめくれ上がり“風”に向かって吹き飛んだ。


「なっ!?」

 “風”は多少動揺するが、すぐに持ち直し難なく避ける。


 だが、避けた先にあったのは廻家の拳だった。

「あーらよっと!!」

身体全体で回転するようにして打たれたパンチは“風”にヒットし、“DBY”が待機している後ろの方まで吹っ飛んだ。


「……回転の力でコンクリートと土を巻き上げ、拳には威力を増させることが出来る……。強いな」

 “風”は不意打ちのような攻撃でさえ耐え切って見せた。


「当たり前だろ? 俺は“創造主”と同期(・ ・)なんだから」

「そういや、そんなことも……。いやいい。“DBY”、準備は?」

「室内じゃないからまだ時間がかかりそうなんですごめんなさい!!」

 “DBY”は本当に申し訳なさそうに腰を曲げて謝る。


「別にいい。なら、俺もこの才能に慣れないといけないな。」

 触れた物体をすべて回転させる?

 上等だ。

 俺は触れた物体をすべて腐らせてきたんだからな!!


 また“風”の猛攻が始まった。

 それを右へ左へ回転しながら飄々(ひょうひょう)と、時には紙一重で避ける。

 まったく動く予兆の無い回転。

 どちらに回転するか分からない。

 それが“巡る輪廻”の強みだ。


「反撃させてもらうぜ?」

 そしてノーモーションで右足をいきなり蹴り上げる。

 “風”はそれをぎりぎりで気づき、上体を反らして何とか避ける。

 “風”の顔の前には靴が見える。

 その靴のかかと辺りには球体の何かが入っていた。

 大方それで回ったりなどのスムーズな動きを行っているのだろう。


 その靴が近づいて(・ ・ ・ ・)きた(・ ・)

「!?」

 そのまま“風”の顔面に当たり、威力はそれほど無かったもののバランスを崩して倒れる。

 それは残していた左足のボールを回転させ前に突っ込んできただけだが、普通の人間にはもちろんそんなことは出来ない。


 廻家はまた右足を高く上げると、“風”目掛けて振り下ろした。


 倒れこんだ“風”目掛けてかかと落としが炸裂……


 とはいかなかった。


 廻家の踵落としは“風”の身体の15㎝上ほどで止まっていた。


「間に合いましたよ、“風”さん!!」

 “DBY”が嬉しそうに声を上げる。

「……、ぎりぎり、ってところか。お前に助けられるとはな」

 流石の“風”もこの状況には冷や汗を流していた。


「これは……、さっきのやつか……」

 廻家の振り下ろした右足の下に、よく見るとキラリと光る糸のようなものがある。

 それに止められたのだ。

 思い切り振り下ろしたので、足を少し切ったようで、血を流している。


「“有私鉄尖いつでもどこでもあなたのそばに”、発動です」

 廻家の周りにもキラリと光る糸が無数に乱雑な方向から出ていた。

 その糸のせいで廻家は動けない。


「鉄の糸……? “発鉄能力(メタルメイカー)”か?」

「僕はそんなものじゃない。“操鉄能力(メタル・アーティスト)”だ!」

 “DBY”が珍しく強気で言う。


「危なかった。やはりこちらに“DBY”をおいて正解だったな」

 いつの間にか地面から立ち上がっていた“風”がこちらを向く。


王手(チェックメイト)だ」

 そして動けない廻家は、手錠を掛けられた。

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