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Skills Cross  作者: 敷儀式四季
第四章
68/130

<3>~“都市”、いたるところで戦闘開始。~ (5)

 10:27、都市Dブロックのあるビル。


「ったく、なんつう力なんだよ……。流石の俺もすぐには回復出来なかったじゃねーか」

 とあるビルの一階。

 まるで吹き抜けのように三階から穴の開いてしまっているそこの真下にある男が埋まっていた。

 その男は身体こそ(・ ・ ・ ・)傷一つ付(・ ・ ・ ・)いていない(・ ・ ・ ・ ・)が、服は九割九分が黒焦げになってしまっていた。

 そして、埋まっていたそこから這い出した。


「流石に“変異系(メタモルフォーゼ)”相手じゃ分が悪かったな。化物めが。あんな攻撃が(・ ・ ・)ほとんど(・ ・ ・ ・)効かない(・ ・ ・ ・)様な奴(・ ・ ・)に勝てるわけ無いってもんだ」

 その男はぶつぶつと呟きながらビルの外へ出ようとする。

 そこで、あることに気がついた。


「おれ、服焼けちまったじゃん!」

 その男はある意味一番大切なことに気がつくと、その場から消えた。

 “瞬間移動(テレポーテーション)”のように。

 いや、実際にしたのだろうが。



 10:33、都市Dブロックのあるビル。


「やばいな、天音があっちの方になっちまいやがった……」

 とあるビルの三階。

 そこである男が倒れていた。

 その周りには血溜まりに近いものが出来ていた。


 藤崎は生きていた。


 実はあの黒服に切られた時に“値上昇(グレードアップ)”の“硬化”を自分の身体に発動していた。

 だが、あまりにとっさのことで能力がそこまで上手く発動できず、ある程度は切られてしまった。

 それでも切られた傷ならほうっておくと命に関わるが、今度は“値上昇”の“回復力強化”を自分の身体に使って傷を癒していた。


 ぐぃ、と藤崎のお腹がなる。

「これ使うと染山じゃないけどすごい体力とか使うんだよな……。血も作らなきゃいけないからな……」


 藤崎は今すぐに死ぬことは無くなったが、あまり激しい運動は出来なさそうに感じ、三階にいることにした。




 10;40、都市Eブロック。


 そこでは、怒気ともいうべき雰囲気を放っている黒服と相馬、篠崎がいた。


 一瞬で戦おうなんて考えをそがれた。


 無理だ。

 負ける想像しかできない。


 数では勝っているものの、二人は動けなかった。


「どうした、何もしないのか赤井の仲間達よ」

 威風堂々とした黒服は聞いてくる。

 そしてこのままゆっくりとこちらに歩みを進めてくる。


「よし、捕まりましょう」

 重苦しい空気の中、相馬が驚くべき一言を言い出した。


「何言ってるの相馬君!!」

 篠崎はとても驚いている。


「少年、自分で何を言ってるのか分かってるのか? そりゃ手もかからないほうが楽だが」

 流石のことにその黒服も驚いている。


「あなたに勝てそうもないと悟った。ただそれだけのことです」

 何事も無いかのように相馬は語った。


「その代わり命は助けていただけないでしょうか? 命あってのなんとやらと言いますしね」

「……交渉か。悪の組織のボス相手に」

 黒服、いや“創造主”はそこで笑い出した。


「ボスでしたか。それはそれは、やはりというのでしょうか。風格が違いますね」

「褒めても何も出ないぞ。その交渉に乗るのは構わないが」

 黒服はひとしきり笑うと、こちらに好印象な感じで話しかけてきた。


「じゃあ、交渉成功というわけですね。縛るなり何なりしてください」

「ならこの手錠を掛けてもらうか。手を出せ」

 そう言って黒服は相馬の両手に手錠を掛けた。

 そして、篠崎も相馬に促されいやいやながらも手錠を掛けた。


「お前、面白いな。俺の仲間にでもなってみないか?」

 なんと“創造主”は相馬を仲間に誘ってきた。

「悪党の仲間ですか……。どうしましょうか。考える時間が欲しいですね。ちなみに、世界の半分が欲しいというわけではありませんから。それに、もしかしたら裏切るかも、というようなことを考えないのでしょうか?」

「そりゃそうだな。まあ俺の仲間に裏切れる度胸のある奴は白道くらいなものだが。時間か。ならお前達を俺の本拠地の中にでも入れておこう。着いて来い」

 そう言うと“創造主”は後ろを向いて歩き出した。


「どうしてあんなこと言ったのよ!! 男らしくないわね、敵に屈するなんて!!」

 篠崎が怒った口調で相馬に詰め寄る。

「そう言わないで欲しいものですね。本来なら(・ ・ ・ ・)、この手錠を私の才能で外す予定だったのです」

 相馬は聞こえないように静かに篠崎に言った。

「本来ならってどういう意味よ」

 それに見習い篠崎も声を潜める。

「この手錠、才能を封じる力でもあるのか、私の才能が発動しません。困りましたね」

 相馬が困り果てて笑っていた。

「ちょ、何よそれ、結局打つ手無いんじゃないのーー!!!」


 その篠崎の声はむなしく回りに響いた。

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