<2>~“都市”、大荒れに荒れる。~ (7)
9:40、黒峰学園
颯爽とは言いがたく降りた桜は、あるところへと向かっていた。
「間之崎ってこっちの方だったかな……」
桜は降りた後急いで黒峰学園から出ると、間之崎学園へと向かっていた。
走る。
疾る。
駆ける。
翔ける。
途中で黒服の姿を何度も見かけた。
どうやら一般人が拘束され始めているそうだ。
無論、俺がこんな奴等に拘束されるわけも無いが。
そうして向かっていた。
そうして十分程が経った後。
間之崎学園まで後500mという看板が出たところで、あるものを発見した。
瓦礫。
10cmほどの大きなコンクリート塊が地面に落ちていた。
そこでふと右を見ると、とある大きめな家の垣根が丸く大きな穴を開けていて、何かに壊されていたようだった。
その大きな穴は家の中まで続いていて、中の様子がわかった。
中は電気がついておらず薄暗くなっていたが、すごく大柄な人影が見えた。
その人影はゆっくりとこちらに向かってきた。
のそりのそりと。
その人影が家から出てきて、日の光を浴びる。
「仕事完了っと……。ん、なんじゃお主。どうして拘束されておらんのじゃ?」
それは身長2mを越すかのような大男で、肩幅も広くガタイのいい体だった。
そして大きな特徴をあげるともう一つ。
大きな身体には似合わないような黒いスーツだった。
「ん、ようけ見たらどっかで見たような顔やなぁ……」
その大男は手を口元に添えて考えている。
「おい、その手……!!」
流石に驚いた。
その口元に持ってきた手は、紅く染まっていた。
「おお、そうじゃそうじゃ。お前、イレギュラーとか言っておった紅桜じゃな? っと、どうしてそんなに驚いておるんじゃ?」
「何やらかしたんだよ、その手。それ、血だろ」
桜はその手を指差して言う。
「ああ、そうじゃな。じゃけど、こりゃあ返り血じゃ。ワイの血じゃ無い」
「そういうことを言ってるんじゃねぇ!! 手前、それは……、誰かを殴ってきたってことじゃねぇか」
「ん? それがなんかアンタに問題でもあるんか? あ、ちょっと待ってくれ」
そこまで言うと、胸元から無線のようなものを取り出した。
「あー、もしもし。“創造主”かのぉ。今わいの目の前に紅桜がおるんじゃが、どうしたら良いかのぉ」
電話をしているようだ。相手は“創造主”らしい。
「おぅ。了解じゃぁ」
何かを了解したようだ。
「どうやら倒せとの命令じゃから、アンタを倒させてもらうかいの」
「ふざけんなよ……」