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Skills Cross  作者: 敷儀式四季
第四章
59/130

<2>~“都市”、大荒れに荒れる。~ (4)

「まったく、何が起きてるって言うんだ……」

 悪態をつかずには居られない。

 これは本当に訳がわからないぞ……。

 手を繋いでいる紅はいつの間にか立ち上がっていた。

 嘆いてばかりはいられない、ということだろうか。


「困るんだよね。そんな風に手を繋がれるとさ。こっちとしては飛ばせなくて」

 いきなり、幼い声を出して前から140センチくらいの女の子が現れた。

 唐突に。

 突然に。


「あなたは!?」

 紅が叫ぶように言う。

 それもそのはず。

 彼女は全体的に黒い服を身にまとっていたから。


「誰って聞かれると“(ペイン)”様の部下って言えば良いのか、“統一された幸福な世界”っていえば良いのか、それとも本名を言った方が良いのか、迷っちゃうんだけど。どれがあなた的にはいいのかな、紅さん」

「どれでもいいわ!」

 どちらにしろ、この女の子は敵、ということになるのだろう。

 “(ペイン)”という言葉は気になったが。


「どっちでもいいなんて考えはわたし良くないと思うんだけど」

「そんなことはいいの!! それより、あなたがこんなことをしているの?」

 そうだ。

 比喩ではなく影も音もなく現れた彼女。

 黒服、というのならなにか才能があるのだろうか。


「こんなことって答えが先輩達を別々のところへ飛ばしているということなら、そうだね」

 どうやらややこしい言い方をする女の子だが。

 俺達がパニック映画的な展開になっているのは、彼女のせいのようだ。

 彼女は続ける。

「私の才能は超能力、才能の中でもとても有名な能力、“瞬間移動(テレポート)”!」

 でーん。

 そんな効果音がつくかのようにその女の子は言った。


 確かに、才能だ才能だと言ってたけれどテレポートなんていかにもな能力まだ見てなかったな。

 後は“心通(テレパシー)”も見ないな。よく聞くのに。


「“瞬間移動(テレポート)”ですって!?」

 紅はすっごく驚いていた。


「どうしてそんなに驚いているんだ?」

「かなり希少な才能よ……」

 紅は神妙に言う。

「でも、よく聞くぜ?」

「確かにそうね。でも、実はこの才能はすごく発現率が低いの。空間を無理やり移動するなんて力だから。間之崎でさえも瞬間移動才能者(テレポーター)は十数人くらいって聞くわ」

「そうなのか」

 それは意外だった。

 どうりで一度も見かけないわけだ。


「ちなみに私もこの学校の生徒なんだよ?」

「嘘!?」「マジで!?」

 それは驚いた。

 この小ささだから初等科か中等科だろうか。


「ちなみに一口に“瞬間移動(テレポート)”って言っても色々あるんだよ。私は自分と手に触れているものを移動させられるの。その才能を使ってみんなを飛ばしたんだけど。私はこんな才能だから色々な人にこき使われて大変で大変で」

「なるほど、それで二人ずつ消えていったわけか。それに気づかず俺達はここまで戦力の分散をさせてしまったわけだ、残念な話。いつから俺達がこの辺にいるって気づいてたんだ?」

 これでみんなが消えた謎も完璧に納得だ。

 この女の子が二人ずつばらばらに別の場所へと飛ばしたのだろう。

「君達が一階に下りてきてからだね。最初に気づいたのは“ペイン”様。それから“痛”様が連絡を入れてどうするかを聞いた上でこの作戦を執行したって所。さて、紅さんも本来飛ばすはずだったけど、どういう風に手を繋がれてるとどうしようも出来ないし」

 そうか、俺がこうやって手を繋いでるから。

 “才能帰却(スキルキャンセラー)”が効いているからこそ、彼女は出てきたと言うわけか。

 “瞬間移動(テレポート)”は俺が触れていたら発動できないから。


「なぁ、さっきから言ってる“(ペイン)”様ってのは何者なんだよ」

 凄く上の人っぽそう。

「“(ペイン)”様? みんなが(・ ・ ・ ・)よく知っ(・ ・ ・ ・)てる人(・ ・ ・)だけど?」

 みんながよく知ってる人?

「ほら、先輩方の後ろにいるじゃないですか。“(ペイン)”様」

 赤井と紅は前の女の子に言われて振り返る。


「嘘だろ……!?」「本当に……!?」

 後ろには黒い服を着た人影。

 赤井と紅がその正体を見た瞬間二人は首筋に衝撃が走ったかと思うと、ぐらりと倒れこんだ。

 そして、意識を失った。

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