表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Skills Cross  作者: 敷儀式四季
第四章
57/130

<2>~“都市”、大荒れに荒れる。~ (2)

 作戦会議?

 一体この会長さんは何を言い出したのだろう。

「こんな状況になっちゃったし、こうなりゃ俺達の手で“都市”を取り戻そう!! みたいな」

「“都市”を取り戻す……、とはどういうことでしょうか?」

 相馬がさっきの言葉に違和感を覚える。

 間之崎学園がこんな風に謎の連中(統一された幸福な世界)の進入を許したのならわかるけど……。

 そこで嫌な予感がした。

 虫の知らせにも近い。


「あーあー、そうだよねみんなは外の様子を知らないんだよね」

「外の様子、とはどういうことでしょうか」

 みんな少し思い当たることでもあるかのような顔をする。

 どうやら俺と同じような虫の知らせを感じているのだろう。


「現在“都市”ではここと同じようなことが起きだした。一般人が謎の黒服集団に拘束されてる。丁度9:30くらいから始まってる。このペースじゃ速ければ10:00には全員捕まるんじゃないのかな?」

「!?」、と全員が驚愕した。

 ただ、紅だけは少しその度合いは薄かった。

 俺も紅もいきなりの事態に驚いたとはいえ、想像出来ない事態じゃなかった。

 特に、あの“統一された幸福な世界”なら。

 十分に有り得る話だ。


「しかし驚く話じゃん……」

「しんじー、られないー」

「それ死語臭くね?」

「バレンタイン……、監督……」

「久しぶりに聞いたなそれ」

「まったく、皆さんはなんだかんだ言っても普段とほとんど同じですね」

 相馬の意見におもっきり賛成だな。


 あれ、ちょっと待てよ?

「生徒会長さんはここから出たのか?」

 まるでそこの状況を見たかのように言ってるけどさ。

「ん、出てないけどさ」

「じゃあどうやって知ったんですか?」

「確かにそうね」「あ、そうなるのか」「有り得ない……?」「まったくだ」「謎というわけですか」

 と俺の意見に篠崎、紅、天音、藤崎、相馬が乗っかった。

 ただ、染山と十島は違っていた。

「そうかそうか。お前らは知らなかったんじゃん」「会長の才能なんだよー」

 才能?

「俺の才能は“観測者(オブサーバー)”。簡単に言うなら視点を変えることが出来るかな」

「視点を変える?」

「あー、例えば虫かごってあるだろ。その虫かごを世界、まあ今回は都市としてその中にいる虫が人間だとすると、俺はその虫かごを持ってる子供に近い。つまり、俺は見ている視界を別の視点から見れて、それが広範囲に出来る才能ってことだ」

 ……そりゃ凄いな。

 情報収集にも使えそうだ。

「なるほど。これで放送の理由もわかりました」

 悟ったかのように相馬が呟く。

 放送といえば……。


“「あーあー、ヒトデの足は一本になるまで切られても再生するそうです…、ってこんな緊急暗号言ってもどうせ向こうには先生も居るんだからもう良いか?もう良いよね鉄ちゃん!緊急放送緊急放送!!学園内に謎の不審人物っていうか軍団が攻め込んできました!!信じるも信じないもあなたしだいですが早急に逃げることをおすすめします!!」”


 あれか。


「つまりあなたはその才能、“観測者”の力で謎の侵入者とやらを発見して放送室まで行ってそれを全校に伝えたわけですね」

「ご明察の通り。俺がこのことに気づいて、姫ちゃんと一緒に放送室までいったって訳だ」

「あれが無かったらわしも富士ちゃんも気づかへんかったもんな」

「あなたの才能には一目置いています」

 校長と理事長もべた褒め。


 ところで。


「どうして会長さんはヒトデの話なんてしたんだ?」

「あぁ、あれね。あれは緊急の暗号信号だよ。先生方しか知らないんだけどね。とはいっても、向こうにも間之崎の先生がいたから意味なかったんだけど」

「そう、その先生って」

「まずい、ここにい過ぎたかも」

 赤井がその重要なことを聞こうとしたときに、急に会長さんは何かを見たように焦った感じで言った。

 いや、“観測者”の才能で見てるのか。


「ここは俺に任せて先に行け!!」

「率先して死亡フラグを立てた……」

 そういって会長さんがキラッと笑顔を俺達に向けると、会長さんは扉を勢いよく開けた。


「あの馬鹿は……。皆さんは衣が敵を惹きつけている間に反対側のほうから降りてください」

 そういったのは姫岸さん。あんまりお近づきになれそうにはなさそうだ。

 そう考えていると姫岸も出て行った。

「じゃ、富士ちゃんはみんなの先導しといてーな。わいはこっちから出るけんよー。鳳凰院のところにでも行ってみるわ」

 そういうと間之崎校長は窓を開けると。


 バヒューンと。

 いやいやマジで。

 飛んでいきました。


「ヒーローじゃん?」

「あーいや、ここきて一番才能使ってるなって今感じたわ……」

 ジェット機みたいなように、スーパーマンのように、バビューンと。

 あれ、さっきはバヒューンだったか。

 もうどっちでもいいや。



 残ったのは富士祈先生と俺達。


「先生、あの二人だけで大丈夫なんでしょうか」

「あの二人なら時間稼ぎとか凄く得意でしょうし。心配しなくても大丈夫よ。それに、彼はこの学校の生徒会長、つまりトップよ。風紀委員長も学校を守るトップ。なめちゃあ行けないわよ」

 富士先生は結構自信ありげに言う。


 とにかく。

 生徒会長と風紀委員長が時間を稼いでくれているようなので、俺達は戦いを始めるであろう二人を尻目に反対側へ。(どうやらまだ来ていないらしい。もうすぐ来るようだ)


 そうして一階へ降りることになった。

 本当にあの二人だけで武器を持つ黒服を追いとめられるのだろうか。

 まだ信じられないけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ