<1>~赤井夢斗は女の子に出会い、才能を行使する。~ (3)
「お前、まさか―――」
「白道さん、俺に任せてください!!」
「え、俺が今から意味深なことを言おうとしてんだけど!」
黒服のもう一人が赤井に突っ込んできた。
「どんなトリックか明かしてもらいますよ!!」
言うや否や、黒服は両腕をクロスした。
「マ○オじゃないけど炎球!」
そして、クロスした両腕を元に戻すときに黒服から、赤井に向かって野球の硬式ボールくらいの火の玉が飛んできた。
この人、格闘の経験とかないのかな?
火の玉などにまったく気後れしていない赤井。
赤井も黒服と距離を縮めるように駆け出す。
つまり火の玉も近づいてくる。
そしてそのまま――――――――、
「諸刃突き」
赤井は駆け出しながら、いつの間にか両腰に構えていた両手をそのまま二つの火の玉へ向けて殴った。
「あ、アイツ、何して!?」
普通に考えれば、俺の両手は火達磨になってしまうだろう。
普通に考えれば。
しかし。
バシュッと。
二つの火の玉は赤井の両拳に触れた瞬間、掻き消えた。
「ッッ!?」
黒服の顔も驚愕しているのが見て取れた。
そして、赤井の拳はまだ腕ひとつ分程伸びておらず。
火の玉を殴った程度で止まらない赤井の拳はそのまま、黒服のがら空きになった腹に両拳を叩き込んだ。
「グ八ッ!!」
赤井に殴られた黒服は、腹を押さえて屈みこんでしまった。
突進の勢いもあったのか、驚きによって気が緩んでしまったのか、思いのほかのダメージだったようだ。
「アンタ、格闘戦の経験無いんじゃないか?がら空きだったぞ」
赤井は黒服を見下ろしながら、ともすれば悪役にも取られかねないような言葉を投げかけた。




