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Skills Cross  作者: 敷儀式四季
第一章
4/130

<1>~赤井夢斗は女の子に出会い、才能を行使する。~ (2)

「あ、アンタ、何言ってんのよ、ば、バッカじゃないの!!」

 今度はこっちに振り返ってきた。

 首の骨大丈夫か? と、心配したくなるほどの振り返りだった。

 そして、目に見えてその女の子は動揺している。


 まぁ、いきなり知らない男に「手伝ってやる」なんて言われたら普通引くよな。

 


「追われてて、逃げてるんだろ?助けてやるって言ってんだ」

「ふざけないで!!」


 明らかに女の子は怒っていた。




「なんだよ、いきなりあった奴と痴話喧嘩かぁ?じゃじゃ馬姫様よぉ」

 向こうから嫌な声が聞こえてきた。

 まるで何もかもを馬鹿にしているような感覚。

 初対面の奴にこんな事考えるのもなんだが、こいつ嫌な奴なんだろうな。




「ほら、アンタが馬鹿なこと言ってる間に追いつかれちゃったじゃない!!」

 その女の子の顔が一気に変わり、すごい勢いで立ち上がった。




「白道さん、じゃじゃ馬ってのも古いです」

「そうなのか?最近の流行ってのはよく分からんなぁ」

 嫌な声の男は白道と言うらしい。


 女の子を追ってきた二人組は、全身真っ黒いスーツを着ていた。

 黒服、という呼び方がふさわしい二人だった。


「じゃ、止まれ」


 白道、と呼ばれている黒服がそういった直後。


 ピキンと。

 

 一時停止したかのように。


 止まった。


 女の子が。


 白道によって石にでも変えられさせたかのように。


「……?おい?」


 最初は赤井もただ動いてないだけかと思ったが、どうもそうではないらしい。

 まるでそこだけ時間が止まったかのようだった。

 試しに目の前で手を振ってみるが、何の反応も示さない。




「なんで止まんねぇのよぉ、お前……」

「白道さんの才能スキルが、聞いてない?」

 向こうでは、黒服の二人も何かに驚いているようだった。



「もしかして、お前の“才能スキル”ってやつか? これ」

「何なんだ、お前」

「まるで俺が化け物みたいな言い草だな。ま、そんな言い方するって事は、大方才能スキルで間違いないか」

「だったら何なのよー!? だったか? ま、それはともかく、本当に何をした?」

「ハハッ、お前、どんな状況でも焦らないタイプだと思ったんだがな」

「俺もそういうタイプだと思ってたが、今日は本当久しぶりに驚いたぞ」

 お互いの主張ばかりで、まったく噛み合っていない会話だった。

「こんなに女の子を追い掛け回して、何やってんだがっと」

 赤井はゆっくり立ち上がるとおもむろに呟く。

「これが才能なら、こうすりゃ治るのか?」

 赤井は止まってしまった女の子の肩に手を触れる。


 瞬間。


「―――――何よ、いつの間に立ったの?ていうか、触れないでよ」




 女の子が、元に戻った。

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