<1>~二人は対立し、五人は囃し立て、篠崎は紅のために動く。~ (5)
「がっかりじゃん」
「だよー」
「うるせぇーやい。しゃーないだろうがよ!」
結局2-1で敗北。
そりゃ多少は非難の目も向くよね。
そして今は昼食を食べていた。
場所は食堂。
きっとこれからも食堂だろう。
ちなみにここの食堂は広い。(前も言った気がする)
場所が学年によって違っていて、小学生ブース、中学生ブース、高校生ブース、大学生ブースで分かれている。
もちろんここは高校生ブース。
今日はラーメンを頼みました。
そして席に戻って見ると、染山たちのメンバー五人の他に、
「なんで?」
紅と篠崎がいた。
「何よ。いちゃ悪いの?」
「全く……、鍵ちゃんの気持ちを逆撫でするのが得意なのかしら? 赤井君」
「なぁ、勘だけどよ。赤井ってかなり鈍感じゃん?」
「納得ー」
「あれは……、駄目……」
「まさかとは思いますが、赤井と紅のなんか息あってるな的ムードに気がついていないとでも思っているのでしょうか」
「天音にまで馬鹿にされたか」
「そんなこと……、ないよ……」
「ところでよ、この空気ってまた修羅場の空気じゃん?」
「一旦……、引く……?」
「ならば一時的にこの席を離れましょう」
「賛成ー」
すこし会話は成り立っていないが赤井の事実をずけずけといっているのはニュアンス的に分かる会話を繰り広げ、五人はぞろぞろと隣の席へ。
そしてこっそりと赤井たちの席を見ていた。
「なんで赤井君は紅に冷たい態度を取るのかな? 私たちはあなた達二人が何か不思議な関係って事にはうすうす気づいてるのよ? 紅が三日も休んでて、やっと登校したと思ったら君がここに来た。結局ごたごたで気づかなかったけど、君達二人の仲ってなんだかんだでいい気がするのよね。たまたま席が隣とは思えないくらい、ね。」
「ちょっと、篠崎!」
篠崎の適切すぎる解説に、逆に紅が驚いた。
「……。そこまで分かるのかよ……」
普通気づくよ!
五人の突っ込み。
「もう一度聞くけど、どうして紅に冷たい態度を取るの? 紅は昨日あなたが一緒に帰ってくれなかったとか、大事なことを話してくれなかったとか言ってるわよ?」
篠崎の口調は強くなってきている。
正直怖い。
「ま、待てって! 俺は別に紅に冷たい態度なんて」
「本当にそう言えるかしら?」
別に冷たい態度を取るつもりなんて無かったのだ。
これは本当。
こんな風にごたごた化しているなんて思っても見なかった。
篠崎の目が怖い。
鬼でも見殺すかのような視線だ。
「ちょっと待って篠崎!」
俺がそんな目に耐え切れなくなりそうなところで紅が口を開いた。
「どうして止めるのかしら?」
そう返した篠崎の口は少しほころんでいる様にも見えた。
「だって……。赤井にも事情があったのかもしれないし……。私も少し熱くなっちゃってたから……。」
紅の顔はすこし気まずそうな顔をしていた。
「そう、じゃあ仲直りの握手ね」
「は?」「へ?」
篠崎が急に笑顔になって赤井と紅の右手を取って握手をさせた。
まさか、
狙ってやがったのか!?
篠崎以外の七人は、篠崎に非常に驚いた。
まさしく策士、魔性の女だった。




