<1>~二人は対立し、五人は囃し立て、篠崎は紅のために動く。~ (4)
「赤井、今度は俺の最速のストレートを見せてやるぜ!」
スポ根みたい。
いつからこの小説の趣旨は変わったんだろうか。
もしここから読んだ人がいたら勘違いするだろ。
「いっくぜー!」
よしこい!
なんて答えるわけは無いけどさ。
そして、バシュ!とボールが放たれた。
そのボールは綺麗にキャッチャーミットに、
入らなかった。
カキンといい音を立て、ボールは綺麗に向こうへ。
「んな馬鹿な!」
嵐山はボールの飛んでいったライトを見て唖然となっていた。
これはホームランコース来たんじゃないか!?
赤井はテンションマックスで塁に出る。
実は赤井が打てたのには理由があった。
あの時会話で感じた嵐山の性格から、確実にストレートが来ると予想は出来ていた。
“どんなに速い攻撃でも、来る場所が分かっていれば対応できる。”
崩野の教えだった。
崩野は“予想されている攻撃”と言っていた。
ストレートを予想した赤井は、キャッチャーが構えているミットの高さにバットの芯を合わせ、そして嵐山が投げるフォームの終盤の頃には振っていた。
なんせ速さは2球で分かった。
これくらいのタイミングだろう。
とはいえ、とても難しい技ではある。少しでもタイミングがずれたり、バットを振り間違えれば三振。
そもそも嵐山がストレートを投げるかどうかは分かっていない。これはプチミラクルというやつなのだろう。
そして赤井が悠々と塁を走っていると唐突にその声は響いた。
「スリーアウト、チェンジ!」
へ?
その声に驚いてライトを見ると、ボールがきっちりと握られていた。
明らかにホームランボールだったのに…。
そこではっと気がついた。
さっき見てたとき、ホームランのはずのボールがいきなり急角度で落ちてきてたような…。
ちゃんと少し前に書いてある。
重力を操る才能者か!
きっと重力を増やしてボールを落としたのだろう。
ベンチからあぁ…という声。
ごめんなさい。




