<2>~二人は学校へ向かい、今度は変人に出会う。~ (2)
都市立間之崎学園。
都市第二地区南西に位置する幼、小、中、高、大と全一貫性のエスカレーター式の学園である。
この方が都市的には非常に効率が良い。
何故なら、親元を離れた子達が非常に多いからだ。
この学園のランクはA。
ちなみにランクというのは学園の質によるもので、ランクAともなると入るためにはそれ相応の何かがいる。
お金であったり、才能であったり。
要は進学校のようなものだ。
先程出たこの学園に入るための何かとは、才能を持つ、あるいはそれに等しい何かを持ち、校長または理事長クラスの人間に認められることである。
都市といえど、その強さはまちまちである。
才能も万能ではない。
銃を向けられてしまえばそれでお終い。この都市の6~7割はそうであろう。
この学園で言うところの才能は、むしろ異才と呼ぶ力である。
紅のような能力は実はそこそこ珍しいもるである。
それにプラスして彼女の先天的な期待値でこの学校に入ることが出来たのだろう。
そして赤井が入るのも納得できる。
才能を消去する才能なんて今までの常識を覆すものであるからだ。
そして…。
「元無才能の学校から来た赤井夢斗って言います。誕生日は五月五日、好きな食べ物はレバ刺しです」
ここに転校生が一人。
4月24日月曜日、2-Aの朝のホームルームであった。
赤井は間之崎学園についた後紅に職員室の場所を聞き、入って色々な話をした後、今日から授業に入っていいそうだった。
そしてこの状況。
意外と自己紹介というものは照れる。
「じゃあ、赤井君に質問のある人!! じゃんじゃん挙げてね!」
「じゃ、じゃんじゃん!?」
ちなみにこの常時元気ハツラツなこの人が俺のクラスの担任、富士叶である。
もちろん言うまでもないが女性。
見た目で言うと女子大生くらいの若い先生だ。
補足(後から聞いた話。)
生徒(男子全般)から絶大な人気を誇る先生の一人。
確かに健康的な美人といえば当てはまる先生である。
そんなことは置いといて…。
「血液型は?」
「才能は?」
「好きな歌手はー?」
「無才能の世界ってどんな感じ?」
「嫌いな食べ物は何じゃんよ?」
「趣味は?」
「か、かの、彼女はいるんですか?」
「好きな女性のタイプは?」
「好きなタイプと聞かれれば、俺は叶先生みたいな……」
「お前に聞いてないだろ樹野」
「お前は本気で叶先生ラブだな」
「叶ちゃんは彼氏とかいるのー?」
「いたらアイツが絶望するな」
「俺は叶先生を信じてる!」
「叶先生何歳ですかー?」
「あいつ、無謀な」
「誰も知らない叶先生の年齢を正面から……」
「今度こそ成功するかもよ?」
「いや、ムリだろ」
「叶センセの好きなタイプは?」
「待ってました!!」
「おい誰か紙とペン出し始めたこいつを止めてくれ!」
「禁断の愛に突っ走る気だ……」
「陰ながら応援するよ!」
「いやいや、応援しちゃ駄目じゃんよ」
あれ?
俺に対する質問じゃなかったか?
何で今富士先生の質問へと早代わりしてんだ?
「もう、みんな私のこと大好きなんだから~♪」
お前そこで乗るのかよ!
そこは普通教師として話を戻すところだろうがよ!
「好きなタイプねぇ……、年上で背が高い人かなぁ」
ピシッ。
「先生、樹野が白くなりました!」
「ついでに何か大切なものがひび割れました!」
「燃え尽きたんだよ、真っ白な灰に……」
「大丈夫。愛があればタイプなんて関係ないわ。」
「そうそう、いくら背が後ろから3番目だからって!」
ピシピシッ。
「バカヤロー!傷を深くしてどうすんだよ!!」
「あっ……。その……、ゴメン……ね……」
「うん、いいよ。どうせ、分かってたから」
「おい誰かネガティブなこと言ってそのまま窓枠に手をかけて人生を終わらせようとしてるこいつを止めてくれ!!」
「陰ながら応援するよ!」
「自殺をか?」
「だからどっちにしろ応援しちゃだめだつってんじゃん」
「叶ちゃん、早く樹野を!」
「樹野くん、先生は樹野くんの事大好きよ。もちろんみんな。」
「マジで!!」
「おい、お前最後の言葉忘れんなよ」
「叶先生は俺の事好き叶先生は俺の事好き叶先生は俺の事好き叶先生は俺の事好き……」
「だから最後にみんな好きって言ったじゃんよ?」
「まー、元気になったんならー、良いんじゃないー?」
「え、でもアイツこのままほっとくの?」
「いいじゃん、幸せそうだし。トリップさせとけよ」
「あぁ、ほっとけ、じき直る」
「ですな」
もう呆然と赤井は立ち尽くしていた。
このノリについていけなかったというべきか。
俺の前の学校でもこのノリはなかったわ…。
このカオス、いつ終わるんだろう?




