表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Skills Cross  作者: 敷儀式四季
第二章
19/130

<1>~二人は白道と共に“都市”へ向かい、ある男に出会う。~ (6)

 崩野響輔。

 そうだ、崩野だ。

 俺があの時助けてもらった。

 でも、口止めされてんだよな…。


“そうそう、俺と関わったことは誰にも言わないでくれ。俺も追われてる身なんでな。”

 そんなことを言っていた。


 だけど、この男の鋭さは知っている。

 ここで嘘をついたところでバレるだろう。


 ごめんな、崩野。


「……、ああ、そうだ。俺は崩野に助けてもらったんだ」


「……そうか、やはりな。あの男、死んでなかったか。殺そうとしても死ぬような男ではないと思っていたが」

 今まで感情をほとんど表に出していなかった創造主が、ここだけはすこし感情を出ているように見えた。

 憎悪の感情。

 俺がそんなことを感じていると、創造主は一瞬だけフッと笑った。

 怒り。

 憎しみ。

 化○語風に言うなら凄惨に笑っていた。


 その時の顔には、寒気がした。

 普通の奴には何も感じないかもしれない、というかあんな一瞬気づかないかもしれない。

 でも俺はわかった。

 この二人に何があったのかは知らない。

 だが、凄まじい何かがあったのだろう。


「そうか、わかった。では以上だ。私は帰る」

 いつの間にか創造主の顔は元に戻っていた。

 あの顔に気づいたのはどれくらい居るんだろう。

 紅は別に普通の顔をしている。

 白道はニタニタと気持ち悪い笑いを顔に貼り付けていた。

 こいつはやっぱり気づいてたか。


「白道、処置は言ったとおりに。赤井君、8日後に(・ ・ ・ ・)また会う(・ ・ ・ ・)と思うがそのときはよろしくな」

 創造主は意味深な言葉を残してその場を去った。


 残ったのは3人。


「さてさてぇ、あの男があんなに感情を出すとは、余程のことだったんだろうねぇ。崩野ねぇ」

 白道がぶつくさ呟いている。

 そうしていると、不意にハッとした感じでこちらに振り返った。

「っと、仕事しなきゃいけないんだよねぇ。赤井君とじゃじゃ馬ちゃんにはこの“都市”で生活してもらうんだけども」

「生活?」「どういうこと?」

 二人が聞く。

「これから普通にこの“都市”で生活してもらうってことだ。それが創造主の命令。赤井君は紅と同じ寮に入ってもらって、紅と同じ学校に通ってもらう」


 え?

 それって?


「俺に、“都市”で住めってことか!? 訳わかんねぇ!!」

「私も口封じとかされないの?」

 まさか俺に“都市”で暮らせなんて言われるとはな。

 俺は普通な世界で普通に暮らす予定だったんだけど。


「しゃーねーもんよぉ。俺は金で雇われた傭兵でな。命令以外は聞く気ないし、理由も聞いちゃいないからなぁ」

 なんだそりゃ。

 今時傭兵なんていたんだな。


「ちょっと、確かにその処分は嬉しいけど、私はあなた達の秘密を盗んだのよ!?どうして生かしているの?」

 そりゃそうだ。

 普通なら口止めで殺されてもおかしくない。


「だぁかぁらぁよぉ、俺はしらねぇの。詳しくは創造主、ってもう居ないけどよ。いいじゃねぇか、死ななかったんだから。よかったな。それと、お前の危惧していた秘密のことだがな」

 白道はそこまで言うと、絶望的な一言を言い出した。


「“ウィンド”さんがお前の家に行った。意味は分かるよな」


 それはつまり。

 USBはもちろん奪われたのだろうが、そんなことよりも。

 桜さん。

 紅のお兄さんが危ない。

 あの人は強いそうだけど、それでも相手は敵の幹部クラス、それに才能を持っている。


 これは紅大丈夫かな…。

 そう思っていると、今度は紅が驚くことを言い出した。

「まぁ、お兄ちゃんなら大丈夫でしょ!!」

「どんだけブラコンなんだよ!! どんだけ過信してんだよ!!」

 もう驚きすぎて間髪いれずに突っ込んじゃったよ!


 どうやらこの気持ちは白道も同じだったようで、口をあけて驚いていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ