<1>~二人は白道と共に“都市”へ向かい、ある男に出会う。~ (4)
「「創造主!?」」
二人は大きく叫んだ。
だが。
「と、周りの空気のまま驚いて見たが“創造主”って誰なんだ?」
「はっ!?」「えっ!?」「……それは驚いた」
赤井が本音を言うとそこにいた3人全員に驚かれた。
だって知らないもんは知らないんだから。
「ちょ、じゃじゃ馬姫教えてないの!? そんなあり得へんやろ!!」
白道さん驚きすぎです。
なんで今まで嫌な喋り方だったのにキャラ変えようとしてんだよ。
エセ関西弁て。
「……そういえば何も教えて無かったわね……」
紅は思い出したかのように呟いた。
だから誰なのこの人。
「ふむ、自分のことを自分で語ると言うことはいささか悲しいところもあるんだがな、しょうがないから自己紹介するか」
その創造主さんは少し悲しそうな顔をした。
なんかごめんなさい。
「俺は“統一された幸福な世界”のリーダー、創造主と名乗らせてもらっている」
「え!? じゃあこの人が!?」
簡単に言うならRPGで魔王の目の前にいた感じなの?
セーブも回復もしてもらってないっての。
どんだけレトゲ?
「じゃあ何や、赤井は秘密も何も知らへんってことや無いの? USBメモリーを見たんちゃいますの?」
白道はキャラ乱れっぱなし。
エセ関西弁にエセ京都弁が入りだしたぞ。
本当メモリアル級なんじゃないの?
「実は見てないってのが本当なんだが」
「嘘やろマジで!?」
いやいやメモリアル級だよねこれ。
絶対驚かない飄々としているってキャラ設定はどこに行ったんだよ。
ここだけ読むとめっちゃ面白い奴になってきてるぞ。
そんな俺と白道の漫才(白道の一人ボケに近いけども)は、そう長くは続かなかった。
「落ち着け」
創造主と呼ばれているこの男が一言だけ発した。
ビュワーっと風が吹くようにその言葉は俺達を通り抜けた。
それだけで静かになる。
圧迫感、張り詰めた空気にさせられた。
「さて赤井君。私がこうやって直々に会いに来たのは少し尋ねたいことがあったんだけれども」
明らかに創造主ペースにさせられる。
俺はごくりと生唾を飲み込むしかなかった。
「どうやって才能に気づいた」
やっぱりその質問かよ。
そんなことを考えていると、
「そうか、白道がどうしてトラックの荷台で赤井君と一緒に来ていたのか謎だったが、どうやら同じことを聞いたんだな?」
まるで心を読むかのような的確さだった。
俺には才能帰却があるから読心系の才能は効かないはず。だとするとこれは本当にこの男の推理力だった。
「おやおや、ばれちまったかぁ。まぁいいけどよぉ」
白道はいつの間にか元の飄々としたキャラに戻っていた。
あの白道の方が面白かったんだけどな……。
「そうか、白道、お前赤井君からほとんど何も聞き出せなかったのか」
流石にこの言葉には驚いた。
「はは、流石じゃねぇか創造主。頭のキレはやばいな。確かにその通りだ」
白道も目を少し大きめに開いて驚いていた。
ただ今回は声を上げてキャラが崩壊するほどではなかったようで、口調は変わらない。
「読心系才能者なのか、お前……」
度肝を抜かれる推理力だが、よく考えれば俺の心は才能帰却で読めなくても白道の心は読めるのだ。
だから驚くほどではない。
読心系才能者なら。
「おいおい、赤井君、確かに創造主の推理力には度肝を抜かれるが、別にそういう反則的な才能は創造主は持ってないぜ?」
「その通りだな。私の才能はそのような力ではない」
浅はかな俺の考えは敵二人によっていとも簡単に砕け散ったが。
「私の才能はもっと面白い」
創造主がそういうと、右手の指を3本立てこちらに見せた。
すると、
ボッと人差し指から火が。
ビリッと中指から電気が。
ピキッと薬指から氷が出た。
「どういうこと……、どうして3つも!?」
何が面白いのかさっぱり分からない俺を尻目に、紅は一人で非常に驚いていた。