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Skills Cross  作者: 敷儀式四季
第二章
14/130

<1>~二人は白道と共に“都市”へ向かい、ある男に出会う。~ (1)

 気がつくと、何やら硬い金属質な床に居た。

 上には蛍光灯が見えた。

 横向きに倒されていて、手を動かそうと思っても動かせない。

 後ろでに手錠をされているようだ。

 すると、何かを閉めるようなガラッと音がした。

 ゆっくりと意識が戻ってくるにつれて、じくじくと鳩尾のあたりが痛み出した。


 そうか、俺、風とか言う人におもっきり殴られて、意識を失ってたんだ…。

 1日二回も気絶したのか。

 本当に身体に悪そうだ。

 ここは……


「ん…」

「目覚めたのかいキャンセラー赤井君。ここは“都市”行きのバスの中だぜぇ」


 声が聞こえた。

 聞いたことのあるような…。


「まだふらふらしてるねぇ」


「………………?」

 どこだって言ってた?

 ……行きのバスの中……

 都市行きの……


「都市だぁ!?」

 文字通り飛び起きた。

「おぉ、よぉやく目が覚めたかい?」

「……お前、アイツか?」

「実写版二十世○少年の伝説セリフじゃないんだからよぉ。白道だよ、白道。そのボケは初めてだ」

 間違えた。

 そうだ、こいつは白道だ。

 どこかでここでボケろと天の声が聞こえたもんでついな。


「白道……、ここはどこだ?」

「だから“都市”行きのバスだって。いや、正確にはトラックの荷台の中なんだが」

「トラック……?」

 じゃあさっきの扉の閉まる音はトラックの荷台の戸を閉めてたのか。


 その時、ガコンと揺れた。

「発進だぜぇ、超能力溢れる夢の街へ」

「紅はともかく、俺まで連れてくる必要は無いんじゃないか?」

「君も秘密を知っちゃったかもしれないじゃないか」

「……そうだな」

 こ、殺されるのか?

 口封じ的なあれ?

 旅行に行くなら海か山かどっちがいいって言われて答えたほうに沈められるあれ?

 俺は本当何にも知らないんだぜ?

 だって桜さんのストレートでずっと気絶(むしろ失神レベル)してたんだから。

 (でも、あれは前日にあまり眠れなくて眠たかったっていうのもあるんだろう。)


「というのは

「建前?」

「俺がこの事故のことを報告するとうちのボス、まあ俺の雇い主の“創造主クリエイター”がお前にやけに興味を持ってな」

「“創造主クリエイター”?」

 また訳の分からんやつが……。

 そいつがこいつらのボスらしいが……。

「何で俺なんかに興味を?」

「さぁ、さしずめ自分と同じ才能(・ ・ ・ ・)を持ってる人間が居たことが嬉しかったとか、面白いとか思ってるんだろうな」

 同じ才能?

 それはつまり……。

「“才能帰却”を持ってんのか? その“創造主”って奴は。何かコードネームにあわねぇな」

 創造って文字には『つくる』って文字が二つも入ってるのに。

 消しちゃ意味無い。

「その辺は心配すんな。アイツはもう一つ(・ ・ ・ ・)あるからな」

「もう一つ……? それってどういう」

「ん……、ここ、どこ……?」

「おやおや、じゃじゃ馬姫のお目覚めだぜぇ」


 白道にさっきの言葉の意味を聞こうとしたとき、後ろからここ2日で聞きなれた声が聞こえた。


「紅!? お前も乗ってたのか!?」

「そう驚くな、当たり前じゃないか。秘密は絶対保持、彼女こそこの事態を引き起こした張本人なんだから」

 となると、俺が意識を失った後、紅も詰め込まれたのか。

 姿勢的に死角になってて全然気づかなかった。


「……、白道!!」

 どうやらボケる気は無かったようだ。

 紅は白道の姿を確認すると、俺と同じように飛び起きようとした。


 ただ、俺と違う点が一つ。

 俺は手錠の存在に気づいていた。

 だから正確には俺の飛び起きるというのは上半身を腹筋で持ち上げただけだ。

 余談ではあるが、人が手を使わずに立ち上がろうとするのは意外と難しい。

 手をついて起きるということもあるが、他にも手はバランスをとるという役目もある。

 普通意識せずに手を使っているが、手にはこんな役割もあるというわけだ。

 実験してみるといい。

 まして後ろ手に手錠を掛けられては、手をつくことはもちろん、バランスも取れるわけが無い。

 そして手錠の存在に気づいてなかった紅は……。


「ってあれれっ!!」

 起き上がろうとして、見事にスッテンコロリと尻餅をつくような格好になった。

 ドシーンと。

 受身も取れなかったんだからこれは痛い。


「痛っったぁ!!」

 思い切り立ち上がろうとした力が空回りした。

 ありゃ痛いわな……。


「じゃじゃ馬姫……、別にここでボケをかまさなくてもいいんだぜぇ……。それとも天からの声かい?」

 と、白道は馬鹿にするというよりも呆れ返った感じだった。


「て、手錠なんかかけてたのね!」

「当たり前だと思ってくれよ」

「ここはどこよ!!」

「さっき赤井君に説明したばかりなんだけどねぇ」


 ここはもう聞いただろうから割愛。


「じゃあ、この手錠は何?」

 白道からの説明を聞いた紅がまた質問した。

 手錠?

 別に変なところは無いと思うが。

 紅は続ける。


「どうして私の足に力が入らないの? いや、どうして才能が『使えなく』なっているの?」

 才能が使えない?

 どういうことだ?


 その謎に白道が答えた。

「その手錠は特製品でな、身に付けた者の才能を封じるんだ」

 つまりお前はその手錠をされている限り才能は使えないってこった。

 そう続けた。


「じゃあこっちの疑問にも答えてくれるか、どうせ都市まで長いんだし」

 今度は白道の方から話を振ってきた。


「何?」

 紅が返す。


 俺も紅も、白道は紅に質問するんだと思っていた。

 違っていたが。


「違う違う、じゃじゃ馬姫のほうじゃなくて赤井君のほうだよ」

「…俺?」

 俺に質問だった。

 正直すこし驚いた顔(むしろ「えっ」て感じ)をした。


 白道はそんな二人の顔を見て、

「おいおい、びっくりすることはないだろう。俺が赤井君に質問することといったら決まってるじゃないか」

 と続けた。

「質問が決まっているって……?」

 紅は不思議そうな顔をしている。


「おいおい。じゃじゃ馬姫はもっと頭良いと思ってたんだけどねぇ。その様子だと君も赤井君に聞いてないね?」

「ど、どういう意味よ!」

 なんとなく馬鹿にされている気がしたのか、言い返す紅。


どうやって(・ ・ ・ ・ ・)()才能・ ・()づいたのか(・ ・ ・ ・ ・)、だよ」

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