表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Skills Cross  作者: 敷儀式四季
篠崎の異変。
125/130

~積極的に語る相馬、秘密を知る篠崎。~

「やはり、篠崎さんは吸血鬼になってしまったという考えでよろしいでしょうか?」

「……、えぇ。そうなるわね。あのへんてこな怪物と同じ目をしてる、から」

 悲しそうな顔をして篠崎が答える。


「失礼、少しデリカシーに欠けましたね。では、やはりあの“(バード)”とかいう男に血を吸われた時でしょうか」

「多分。そのときからずっと、気分が悪いっていうか、体中が熱くなってる気がして……」

「そうですか。しかし、気づけなかったのは私のミスです。申し訳ありません」

「しょうがないよ。こんなことになるなんて、私も思ってなかったから」

「ですが、女性がここまで苦しむような事態に気づけなかったというのは、本当に、申し訳なく思います。どう謝ればいいのやら……」

 相馬は歯軋はぎしりしていた。

 自分が情けなく感じていたのだろう。


「そういえば、どうして相馬はそんなに女の子に優しいの?」

 よく考えれば、当然だった。


「そう大層な理由ではありませんよ。私は、一人の女性を泣かせました」

 相馬は、思い出すように淡々と語りだした。


「その人は、初めて私が好きになった人だったんですけどね。笑える話じゃありませんか」


「その人は、私がそのことに謝る前に、交通事故で死んでしまいました」

「え……!?」

 そんな暗い話があったなんて……。


「その時からですね。私がこんな口調になり、ほとんど恐怖を抱けなくなり、そして全ての女性に腫れ物に触るように接するようになったのは」

 ハハッと自嘲的に相馬は笑った。


「ごめんなさい、こんな話させちゃって……」

「別に構いませんよ。私が勝手に話したことです。ですが、こんな話をしたのは篠崎さんが初めてですね」

「で、でも……」

「いいんです。こんな話をしてないで、状況を整理しましょう。夜、私を襲ったのは篠崎さんで間違いないんですね」

「……、ごめん」

「それも気にしてないですよ。実質的な被害は出ていませんし。あれは……」

「夜は血がたぎるって言うのか、吸血鬼化するの。話も通用しない化物にね。吸血衝動ってやつなのかしら……」

「血は、まだ吸っていないんですよね」

「ええ。ぎりぎりで衝動を止めてるの。でも、だんだんこの衝動が強く、長くなってる」

「そうですか……。その衝動が出てから何日ですか?」

「今日が9日なら、もう五日になる」

「おかしいですね」

「おかしい?」

「もう正気が無くなっておかしくなってもしょうがないのに、まだ篠崎さんは私を前にしても日が出ていれば正気を保っている」

「そ、そうなの……?」

「ええ。調べた中では、ですが。どうやら、吸われた血の量が少なかったようですね。本来吸血鬼というのは、人間から血液を吸った後はその人間が吸血鬼化しないように一撃で殺すようです。ですが、その前に私達が“鳥”を倒してしまった。ですから、こんなことになっている。ですがもちろん、篠崎さんに死んでもらおうだなんて物騒なことは考えていません。策が、無いわけじゃないんです」

 

 そして、相馬は少し笑った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ