(Next Prologue、その一)
5月3日、とある道。
ゴールデンウィークの最中の話だった。
ニュースでは“5.01事件”の話をしている。
ニュースでは“統一された幸福な世界”の幹部が行方不明、国際指名手配として写真等が出ていた。
「ありゃぁ、どうみても……」
男は電光掲示板に出たニュースを見て呟いた。
「ま、まだ、俺が終わっちまったわけじゃねぇ……」
どこからともなく声がする。
そこはとある道だった。
何の変哲も無い、ただの。
そこには誰もいない。ゴールデンウィークにも関わらずである。それは、この地区が特殊な地区のためでもあるのだが、今は関係ないだろう。
とにかく、誰もいない道路にも関わらず声は聞こえる。
「早く、寄り代さえ手に入れば……」
よく観ると地面に丸く黒い影のようなものがあり、それが移動していた。
「この“影”様に不可能は無い!!」
“影”は赤井に半身ほどを消されたが、爆散したように見せかけることでその場からの脱出を図ったのだ。
“影”はその道を進んでいくと、とある男が道を“影”に向かっているのが見えた。
「ちょうど良い、あいつの身体を奪って再生の時間を稼ぐか……。しかし、“創造主の右手”の才能が丸々残ってたってのはでかいな」
“影”は身体の半分を消されたが、それでも元々持っていた“創造主の右手”の力は失っていなかった。
「その身体、寄越せぇぇぇぇ!!!」
地面にある影が急に盛り上がり、その男へと向かう。
その時、一筋の閃光のような光が走った。
「ぎゃあぁぁぁぁ!!!」
その悲鳴は“影”のものだった。
その一筋の光が“影”を貫いたのだ。
「何だこの化物」
男はいぶかしげに見ている。
「ど、どういうことだ!? 俺に普通の攻撃が当たっている!? いや、今のは……?」
またも不可解なことが起きた。
「とにかく、寄越せや!!」
“影”はその男にもう一度飛び掛る。
「危ないな」
「ぐひゃぁぁ!!」
その男は“影”を見やると、何本もの光の矢のようなものを身体から発生させた。
それは“影”の腹部を穴だらけにした。
「しかしどことなく体つきが“創造”に似てるな。一体どういうことだよ? お前」
「お前、“光輝”!?」
その男、“影”に“光輝”といわれた男はほう、といったような顔をした。
「へぇ。究極にしてパーフェクトな俺の昔のあだ名を知っているのか。後な、そのあだ名そこまで好きじゃないんでな。俺様のことは完全無欠って呼んでくれ。っていうか呼べ」
“光輝”は少し興味を持ったようだ。
ただ、尊大な口調は変わらない。
「お前は何だ?」
「か、言ってやる気はねぇ!! 逃げる!!」
“影”は後ろを向いて矢のようになりその場から逃げ出した。
「そうか、神々しい俺が恐怖か。だが、逃がす気は無い」
その男はやはり尊大な態度でそういうと、指を逃げる“影”に向ける。
そこから一本の矢のような光が飛び出すと、“影”を貫いた。
「ぐぅ!!」
「早く教えろ」
すぐに“影”の元へ“光輝”は近寄り、全てを吐かせた。
自分が“創造”から生まれたことなど。
“5.01事件”の主犯は“創造主”であることなど。
「成程な。ならお前は“創造”にとって邪魔な存在というわけか」
“光輝”はそう言うと光で“影”を串刺しにした。
「陽光」
そして串刺しになっている“影”に特大の光のビームを打ち出した。
“影”は影も形も無くなってしまった。
「やっぱり、あの国際指名手配の写真の主犯ってやつは“創造”だったのか。あぁ、今は“創造主”とか言ってんのか。ったくあの馬鹿、まだ気づいてないのか。しゃあねぇ、一発殴って改心させてやるか」
“光輝”はぼやきながら、“創造主”を探してみようと考えた。
では、これからの説明を。
これから前日譚、また他の学園の日々の話などを続けた『Skills Cross ~Another Life~』と、この後の完結する物語、『Skills Cross ~After Story~』という形になると思います!!
では、次こそが本当にラストです。