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Skills Cross  作者: 敷儀式四季
第五章
114/130

<5>~異変は自由を得て動きだす。~

五章長いなー。


戦闘とか説明だから、仕方ないよね!!

「しかし、生身の身体というのは本当に良いものだな」

 廻家の声で、おかしなことを語る。


「ま、まさか……」

 赤井に最悪の考えが浮かぶ。


「廻、家さん?」

 廻家のことを知らない人たちは急に口調が変わり首をかしげる程度だが。


 分かる。これは、


「説明してなかったかな? 俺、“()長い間“創造主”の腕の中に入っていたからな。人の身体にはいって乗っ取ることが出来るんだよ」

 廻家は、いや“影”は高笑いしながら答えた。


「そして“創造主の右手”が使えるのはもちろん、乗っ取った者の才能も使えるんだよ!! 円影刃(サークルカッター)回転(スピン)!!」

 “影(廻家)”が右手を上に掲げると黒く円状に回転する刃が出現する。


 “影(廻家)”は右手を振り下ろす。

 するとその刃がブゥンと風切り音を立てて、紅に飛ぶ。


『!?』

 飛んでいる最中、その刃が三つに分裂した。


 それは紅、染山と十島の方、桜に飛ぶ。

「危なぇ!!」

 すぐさま赤井が紅に飛び、その刃を手で受け止める。

 影の刃は触れた瞬間に消え失せた。


 染山達と桜はその刃をジャンプで避ける。


「ふう。こうやって実体を持って相対するのは初めてだな。“創造主”、いや“創造”」

 全員が刃に注目している間に、“影(廻家)”は“創造主”のところまで詰め寄っていた。


「手前が邪魔な左腕なんか持ったせいで、俺は今でも左腕を動かすことすら出来ねぇんだぜ、この糞みたいな左腕の才能のせいでな!!」

 よく見ると、左腕はだらんと垂れ下がっており動かしているような様子は無かった。

 “影(廻家)”は叫び終わると、右手を不意に振った。

 手には黒い剣のようなものを握っている。


 その瞬間、“創造主”の左腕が根元ぐらいから宙に飛んだ。


『!?』

 これには全員が驚いた。


 その左腕はぽとりと落ちる。

 “創造主”の左腕と飛んだ左腕から血が噴き出した。


「な、何で……」

「さっき言ったろ? この左腕さえ、貴様のような才能さえなければ俺は左腕も使えて最強だったのに。むかついて当然だ」

 赤井を見やって答える。


「まぁいいさ。俺はこうして肉体を手に入れた。そうだな、冥土の土産に俺の野望でも聞くか? まず、俺に対する危険因子を殺す。次に、邪魔な奴らを殺す。最後に、むかついた奴を殺す。世界征服とは言わんが、こうすれば小国ぐらい乗っ取れる」


 ふざけた野望だ。

 だが、誰も動けない。


「どうする、攻撃してみるか? ただ、俺はこの身体がボロボロになったら他のものに乗り換えるだけなんだがな。いや、それ以前にお前達に戦うだけの気力があるかどうか分からないがな」

 そして“影(廻家)”は笑う。


 別に廻家が乗っ取られているから誰も動けない訳ではない。

 おそらく、赤井が“影(廻家)”に触れればあいつは飛び出すだろう。

 しかし、触れられるかどうかは分からない。

 連戦に次ぐ連戦のようなものだ。

 この世界はRPGじゃない。回復道具なんてあるわけが無いのだ。

 全員が疲労しすぎていた。

 

 一人を除いて。


【ソイツハ仲間ノ様ダナ。ジャア、殺サナイ程度ニ動ケ無クサセテヤルカ】

 “雷”は一瞬で“影(廻家)”まで詰め寄ると、両手で目と耳を覆った。

 先ほど“創造主”を沈めた構えだ。


「そう、赤井に次ぐ危険因子が君だ。注意してないわけが無い」

 “雷”が“神鳴”を放つよりも先に、“影(廻家)”はある行動を起こしていた。

 先ほど切り落とした“創造主”に左腕の切り口の辺りを黒い影のようなもので掴んで飛ばし、“雷”に触れさせた。


【ん? さっき切り落とした左腕、か―――――――――――】

 その瞬間バチンと大きな音が立ち、“雷”が常に纏わせていた電気が消えた。


「お前は赤井と比べて攻撃力も防御力も桁違いだ。だが、それ故に人の小さな行動を無視しすぎる。つまり、油断しすぎなんだよ。だからお前は赤井に次ぐ、つまり()危険因子な訳だ」

 “雷”は“創造主”の左手の才能を知らなかった。

 “帰却者の左手”は触れたもの全ての才能を消す、ということを。



「あれ? ここ……、どこ……?」

 その声は“雷”ではなく、のものだった。

 


 “影(廻家)”は腹部から黒い石柱を飛び立たせ、天音の腹部を強打した。


「ぐはっ!?」

 天音はそのまま相馬の辺りまで吹っ飛び、そのまま意識を失った。


「お前の報告は聞いている。“創造主”の仲間の“花”という奴が、お前達がここに来るほんの少し前に調べていたんだよ。監視カメラにおかしな雷が映るとかでな。お前は二重人格だそうじゃねぇか。しかも、才能に性格、意識が付与されたなんていうな。俺にそっくりだったから、ついつい覚えちまったぜ。さて質問だが、才能に意識が付与されたんなら、それが消されちまったらどうなるんだろうな?」

 “影(廻家)”は右手で“創造主”の左腕の切り口辺りを器用に持って語る。


「普段はそっちの気弱な方に閉じ込められてるんだろ? なら、一度中に引っ込ませてそっちの意識を失わせれば、なかなか出られないよな?」

 

 希望が、絶たれた。

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