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Skills Cross  作者: 敷儀式四季
第五章
112/130

<5>~異変は面倒臭そうだが饒舌に話す。~

THE・異常展開その二です。


説明の回となってます。

「な、何なんだよ……、お前」

 その姿を見て、赤井は思わず声を上げる。

 明らかに人ではない。


 なら、何だ?


「あー、説明しないと駄目なのか? まったく、こいつ寝ちまってるしー」

 その人影のような黒はだるそうに呟き、足元にいる“創造主”を蹴飛ばす。


「一回しか説明しないからよく聞けよ? 赤井、お前この“創造主”の才能は誰に教えて貰ったんだ?」

「え? ……、そこの廻家さんですけど?」

 急に話が赤井に向いてちょっとしどろもどろで答える。


「ん? ああ、俺が教えた、教えたけれど、なんだよ?」

 廻家はあんな人外を前にし、話を振られても普通に答えた。


「ちゃんと教えたか? こいつが言ったとおりに」

 人影は念を押す。

「じゃあ、リピートしてやる、してやるよ。えーっと……」

 廻家は頭を掻いた。


「『俺は“二重才能”。一つは“創造主の右手クリエイターズ・ライト”。これは発能力のすべてを凝縮したようなものだ。炎でも氷でも電気でも何でも創れる。とは言っても、生物までは創れないがな。もう一つは“帰却者の左手キャンセラーズ・レフト”。こいつは触れたものが才能なら何でも無効化できる。それに、この左手が触れている間はどんな才能者でも才能を行使することが出来なくなる』っつってたな。あれだけ衝撃的な説明、忘れるわけ無いだろ」

 廻家さんはすらすらとそう説明した。

 俺に教えてくれたときと同じだ。


「じゃあ聞こう。どうして“創造主”は、()れないと(・ ・ ・ ・)っていると(・ ・ ・ ・ ・)()?」


 ……!?

 全員の空気が凍りついた。

 そういえば廻家さんが教えてくれたときもそんなことを言ってた。

 ただ、そんなところまで説明するのを忘れていた。

 いや、そんなことよりも。


 これは、俺と同じだ。

 白道にここに連れてこられた時の質問に近い。

 その才能が史上類を見ないものだったとき、それには例がない。

 だから、調べようが無い。



 使って(・ ・ ・)みない(・ ・ ・)ことには(・ ・ ・ ・)


「まさか……」

 全員の顔も驚く。どうやら全員この結論に辿り着いたようだ。


「気がついたようだな。説明が楽で助かる。そうだ、俺は――――――――――、」



「唯一“創造主”が創り出した生命体、“創造する影(クリエイト・シャドウ)”。まあ長いから“シャドウ”で良いがな」


 その人影、“シャドウ”はこともなげにそう言った。


「待てよ!!」

 発言に異論を申し立てたのは染山だった。


「なんだよ? 嘘なんかついてないっての」

「おかしいじゃん!! そんな生命体、いるわけ無いじゃんよ!!」

 そうだ。

 まったく生命体には見えない。

 ファンタジーの魔物みたいだ。


「もしも俺が完璧な生命体なら、“創造主”は他にも生命体を創っていたかもしれないがな」

 

 もしも?

 まるで自分が―――――――――――、


「俺は()なんだよ。どこがどう不完全かって言うなら、まず、俺にはこんなふうに色、というか身体が無い」

 身体を広げてみせる“影”。


「それに、俺が出てくるとこうなる」

 “影”は右手で下にいる“創造主”を指差す。


「あれー?」

 十島があることに気づく。


「影がー、無い?」

 そう、“創造主”から左腕を残して影が消えてしまっていた。


「どういうことだ?」

「俺に聞かれても。こういうところから俺は“創造する影”って名づけたんだがな」


 まったく才能ってやつは、わからない。

 

「もう一つ、そしてこれがこいつにとって一番困る出来事なんだがな」

 更に“影”は続けた。


「俺はこの“創造主”の才能の内の一つ、“創造主の右手クリエイターズ・ライト”の能力の()っていった(・ ・ ・ ・ ・)って所だ」

「持って行った?」

 そんな才能は簡単に持ち運びできるものじゃないと思うんだが。


「そう。俺がほとんど持って行った。だからこいつは俺がいなければ左手の才能しかなくなっちまったのさ。だからこそ、俺はずっと右手に封じ込められてたのさ。身体が無いからその辺の概念は無視できるしな。見ただろ、俺が右手から出てくる所。とはいっても、俺は才能を四割程度しか貸し出してやらなかったがな」

 

 つまり、この“影”という男は“創造主”からしてもいないと困る存在だったというわけか。


「だけど、どうしてあなたは“創造主”の言うことを聞いて右手なんかにこもってたの?」

 今度は紅の質問。


「俺は実体が無い。この姿だって全部才能から出来ている。そして、こいつの左手には才能を全部消せる力が眠ってたろうが」

 そうか。

 あの左手に触れられた瞬間、消えてなくなってしまうのか。


「ほんの少し魔が差して人間を創ろうなんて思ったのがこいつのおこがましい所。神になったとでも思っていたのかね。こいつの“創造主の右手”は俺が貸したのと残ったので足して六割だ。それで戦ってたわけだが、もしもこいつが十割の力で戦えてたらどうなってただろうな?」

 “影”は挑発的にそう言った。


【オイ、オ前達。今聞クノハソンナ事デハ無イダロウ?】

 “雷”が“影”が出てきてから初めて声を上げた。


「どういうことだ?」

【大切ナノハ、オ前ニ敵意ガ有ルカ無イカダロウガ】

 “雷”は、ここが戦場だということをまったく忘れていない。

 敵意が有るか無いか、極論を言えばそれだけでも良いのだ。


 そんな重大な問いに“影”は、

「あー、俺はこいつのくっだらねぇ野望に付き合う気はねぇっての。せっかく自由になったんだ、羽を伸ばしたいね」

 と、ばっさり切り捨てた。


 そして、こう続けた。


「知りたくないか、どうして“創造主”がこんな奇行に走ったのか」

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