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Skills Cross  作者: 敷儀式四季
第五章
108/130

<4>~最終決戦!!~ (6)

これからは、ゴールデンウィーク!


ゴールデンウィークが終わるくらいには、この話も終わるかな?

「では、“創造主”とやら。相手になりましょう」

「いいのか? 俺に“観察眼”は効かないが」

「調査済み、というわけですね。ですが、これはどうでしょう」

 高原は挑発的に言うと、姿が二人へと増えた。


「これは……」

「才能名は“もう一人の自分(ドッペルゲンガー)”。知らなかったようですね」

 二人に増えた高原はそのまま“創造主”に殴りかかった。


「俺の相手はあの“才能帰却(スキルキャンセラー)”の赤井君か。やりにくいったらありゃしねぇのな!!」

 “痛”はそれをみて、赤井に向かって飛んできた。

 おそらく、自分に念の力を送っているのだろう。


 さて、作戦通りにいくか。


「お前は俺の念は消せても、俺の威力までは消せないんだろぉ!」

 どんどんと“痛”は速度を増して赤井に迫る。

 そして赤井の目の前で足を地面について、拳を構えた。

 そのまま“痛”は今までの速度を使って腰をぶん回し、拳を放つ。


「危ねっ!!」

 赤井はそれを横に飛んで避ける。


 ブンッと大きな風切り音が鳴った。

「おしい」

 “痛”はそう呟き、こちらを向く。


「こりゃいつまで持つか分かんねぇな……、さっさと決めないと」



「おやおや、これは……。お前も二重才能者か」

「ええ」「まったく」「面白いでしょう?」

 いつの間にか高原は3人に増えながら突っ込んでいた。


「自分を増やす系統の才能ですか。とはいえ、このタイプは色々と能力が分かれますからね……。おそらく俺が左手で触れれば消え去るのだろうが。それでも、本物と区別がつかないなら危険だな。なら――――、」

 “創造主”は高原を見やるとぶつぶつと呟くと、右手を前に出す。


「創造:雷撃サンダー、形状は樹形ツリー

 すると、“創造主”の右手から電撃が出る。

 だがそれはすぐに枝分かれし、走ってきていた高原全員に向かう。


「これは……」

「さぁ、どう出る。分身した方に質量があるのか、ダメージを受けるのか、その他等々、見させてもらうぞ」

 “創造主”は前方の3人に注目していた。


「ですが無理そうです」

 その声は“創造主”の後ろ(・ ・)から聞こえた。

 後ろの声によって“創造主”は殴り飛ばされた。

 

「なっ!?」

 そこには、高原の姿があった。

 

 そして目を逸らしていた隙に、今までいた3人の高原は消えてしまっていた。


「私のは才能が才能ですから、死角を突き、奇想天外(トリッキー)予測不可能ランダムに攻撃しないといけないのですよ」

 そこまで言うと後ろにいた高原まで消えてしまう。

 “創造主”はあたりを探す。


 すると、高原は最初にいた場所に立っていた。

「成程、相当にやっかいだということが分かったよ。高原衣。全力で叩き潰す」

「恐ろしいな」

 高原はそういうと、今度は5人になって“創造主”に向かった。

 


「こんなのはどうだよ!!」

 “痛”は黒服の内ポケットからボールペンを取り出すと、物凄いスピードで飛ばしてきた。

 それを間一髪で避ける赤井。


「帰って来い!!」

 その言葉と共に、後ろに飛んでいったボールペンが方向転換し、こちらに帰ってきた。


「おいおい、耐久かよ……」

 それを振り返って避ける。


「これで、どうだ!!」

 だが、振り返った隙に一気に赤井に詰め寄った“痛”が赤井を殴り飛ばした。

 速度の乗った攻撃。

 赤井は3m程吹っ飛んだ。


 赤井は吹っ飛ばされた態勢のまま、ピクリとも動かない。

「もう終わりか? 歯ごたえの無い奴だな。じゃ、手錠でも掛けさせてもらうぜ。手伝えって言わされるだろうな。あーあ、高原と戦うのは嫌だっつーのに」

 “痛”は全く注意することなく赤井の横に立つ。


 隙は一瞬。


 だが、その一瞬が明暗を分ける。


「おりゃ!!」

 赤井はいきなり起き上がって“痛”に後ろから抱きついた。


「な、手前起きてて……!! 放しやがれ!!」

 “痛”が身体を振ったりしても赤井は離さない。

 今“痛”は赤井の“才能帰却”のせいで才能を使えなくなってしまっている。つまり、一般人と同義だ。


『僥倖だな。まったく』

 “創造主”と戦っていた高原全員は呟く。


「ん? どういう意味だ?」

 “創造主”はその言葉の意味が分からず首をかしげていた。


「全員、確実に俺達のこと忘れてるぜ?」

「正直、俺もアンタがここで倒れてるとは思わなかった」

「準備万端です。さん、さん、用意はいいですね」

 その声はホールの反対側から聞こえた。


 そこには廻家、桜、高原が立っていた。


「私達は」「意識を」「共有している」「だからこんな話し方が」「出来る」

 “創造主”と戦っていた5人がバラバラに一つの文章を言う。


「俺と姫ちゃんがここに来たとき」「俺は階段の裏にもう一人」「“もう一人の自分(ドッペルゲンガー)”を置いていた」「お前達の注意が向こうに向いている内に」「コンタクトをとらせてもらった」

 高原は5人がかりで説明する。

「だが、あの二人はほとんど戦える状況ではないだろう。そんな負傷した兵をどう使うつもりだ」

 “創造主”は二人の状況をよく知っている。

 廻家は“鳥”の異常な攻撃力でかなり疲労しており、俺の“消し去る砲弾(キャンセルカノン)”で止めともいえる一撃を喰らっている。

 紅桜に関しては先ほど“痛”がかなり痛めつけている。もう以前のような機動力を得るのは難しいはず。


「確かにほとんど戦えないが」「全員が力を合わせれば」「勝てる」「俺はそのタイミングを」「計っただけだ」 

 高原は自信満々にそう言う。


 その答えは、向こうにいた3人が証明してくれた。


「確かに俺は身体を動かすのもきついが、才能は使えるんだよ」

 廻家は桜の背に手を当てていた。

「確かに俺は動きが鈍くなったが、まだ身体が動かない訳じゃねぇ」

 桜は拳を握り締める。

「では、行ってください」

 高原の掛け声で、桜が物凄い速度でこちらに向かって飛んできた(・ ・ ・ ・ ・)


「そうか!! 廻家、お前の」

 “創造主”はあることに気がついたようだ。

「そうだ。俺の才能“巡る輪廻”は物体に回転力を与える。だが、その回転する円周を大きくしちまえば、直線に力を掛けることも可能。ちょうど、昔の人が地球が球だと思わず、直線だと思ったようにな。忘れたか? 俺の十八番だろうが」

 非常に大きな円周の弧はほとんど直線に見えることがある。

 それを応用しているのだ。


「狙いは……、まさか!?」

 “創造主”はすこし向こうを見る。

 そこには、信頼を置いていたあの仲間の姿が。


「桜!? 何で、お前!? そんな速度で動けるはずが……!?」

 “痛”は赤井に抱え込まれながらも飛んでくるその男の姿を見て言う。

「この、」

 今まで地面から数十センチ浮いていた足を地面につける。


 そして先ほど“痛”がやったように、自分の持つ速度を腰の唸りと共に攻撃をして打ち出す。



「馬鹿野郎が!!!」



「う、うわ!! やめ――――――」

 “痛”の声はそこで途切れた。

 桜の右ストレートが顔面に直撃したのだ。


 その威力は尋常なものではなかった。


「押さえきれな――――――――」

 “痛”が才能を使えないようにするため抱え込んでいた赤井はその威力に耐え切れず、それでも自分はこの威力を殺さないために、足だけは耐えていようと思った。

 その結果どうなったか。


 赤井は威力のせいでブリッジにように腰が思いっきり曲がってしまった。


 赤井よりも“痛”の方が背が高かったために、ゴンと凄い勢いで“痛”の頭が地面に叩きつけられた。


「じゃ、ジャーマン・スープレックス……」

 高原があるプロレス技名を呟く。


 ジャーマン・スープレックスとは、相手を抱え込んだ状態で後方に反り投げをするというプロレスの有名な技である。


「期せずして、か。赤井君、流石だよ」

 高原は素直に賞賛の言葉を述べる。


「こ、腰が、死ぬ!!」

 ただ、本人は人生初めての角度でのブリッジを行い、腰がボロボロになっていた。


「……」

 思わぬ二段攻撃を受けた“痛”は意識を失っていた。

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