<3>~救出者達、その裏側。~ (相馬、白道、赤井編2)
のどが痛いです。
風邪を引いたかも……
そこで薬を飲みました。
眠い。
「どうして相馬がここにいるんだよ!!」
「面目ないですが、この黒服達に捕まってしまいまして。私のせいで一緒に居た篠崎さんも捕まってしまい、紅さんも私達が捕まっている部屋にに来てしまったので間接を外して手錠を抜けてきたのです。とはいえ、少々力技だったので、多少痛いですがね」
そうして見せた相馬の手は少し赤くなっていた。
女子の前ではそうした態度は我慢していたのだ。
「お前、その手」
「心配ありません。ちゃんと間接を外してから抜いたので、あまり痛いというほどでも、拳が握れないというほどでもありません」
グーパーと見せる相馬だった。
「状況整理も済んだところで、鍵を取りに行くか」
そう言って白道が先頭を切る。
「なぁ、監視カメラとかそういうのあるんじゃないのか?」
至極真っ当な質問が赤井から出た。
「それなら心配ない。ここの監視カメラを仕切ってる“花”って奴がいるんだがな。そいつが今全力出して戦闘してるところだから、そこまで気がまわらねえよぉ」
「そうか、ならいいんだがな」
三人はさっき白道と赤井が歩いてきていた方に戻っていた。
「じゃあ、ここで私の才能が活躍する番という事ですね」
作戦は簡単だった。
この先の通路の右側にドアがあり、白道や他の“五日間”、それに“花鳥風月”や“痛”、“恋”でも入れない鍵のかかったその部屋の奥にあるらしいので、そこの壁をすり抜けてマスターキーを取ってくるというものだった。
「しかし、どうして白道さんはその扉の先に手錠のマスターキーがあると知っているのですか?」
「いやぁ、こういうきな臭い組織だと自分に必要なものがどこにあるかとかは調べときたくなるもんなんだよぉ。そんときになぁ」
そうこうして歩いているうちに、その扉の前に着いた。
「仕事は速く、正確に、なぁ」
「分かりました。では、行ってきます」
「気をつけてな!!」
赤井の見送りと共に相馬は扉の奥へとダイブした。
「さて、この部屋の奥にあるのですか。しかし、不思議な部屋ですね。これだけとは。誰かの私物、しかも秘密の部屋なのでしょうか」
相馬が入った部屋は小さめの部屋で、デスクの上に大きめのパソコン一台とその横に壁にフックが掛かっているような状態で鍵が掛けられていた。
その鍵の周りは透明なガラスで正方形に覆われていた。
試しに相馬が才能“通行許可証”を使ってガラスをすり抜けようとしたが、出来なかった。
どうやら才能を封じるあの手錠の技術でも応用しているらしい。
「それなら、こうするまでです」
相馬はそう呟くと横の壁に身体をすり抜けさせ、そのまま壁を歩いてマスターキーの後ろに回り込んだ。
そして反対側から取る。
「どうやら、ここまでは想定していなかったようですね」
相馬の才能“通行許可証”は、触れているものならすり抜けさせることも可能である。
本来ならこの才能を使って自分と篠崎の手錠も外す予定だったのだ。
「さて、仕事も終わりましたしさっさと出ましょうか」
そうしてその部屋から出ようとしたとき、ゴンとパソコンの置いてあったデスクに腰をぶつけた。
すると、パソコンの画面に光がともる。どうやら電源が切れていなかったらしい。
「ん? これは――――――――――」
「ただいま帰りました」
「遅かったなぁ。何してたんだぁ?」
「いえ、別に」
「まあいいじゃないか白道。これで俺の手錠も外せるんだから」
相馬が扉の奥から帰ってきた。
ただ、その顔は少し暗かった。
赤井が手を出すと、相馬がマスターキーで赤井の手錠を外した。
「ふぅー、これで晴れて自由の身だな。まったく窮屈で仕方が無いんだよ手錠ってのは」
伸びをする赤井。
確かに手錠というものは精神的なダメージも大きい。
普段自由に動かせる両手というものの動きが制限されるのだ、無理は無いだろう。
「じゃあそれを持って篠崎と紅のところへ行こうぜ!!」
赤井が走り出す。
「逆方向だぜぇ」
白道にダメ出しを入れられた。
「よく考えたらお前はまだ牢屋に行ってなかっただろうがよぉ」
「皆さん、こちらです」
相馬は今も手錠を掛けられている二人のことが気がかりで仕方が無かった。
そうして走り出した。
「これで私達が四人、篠崎さん、紅さん、染山君、十島君と合流して“鳥”という男を倒し、全員の手錠を外してここまで走ってきた、というわけです」
これで、染山と十島から始まった救出の裏側は相馬の補完説明で埋まることとなった。
時間軸はB4F、全員が集結したところへと戻る。
「成程、白道。お前は裏切った、つまり敵と考えていいのだな?」
“創造主”が少し怒りを含む口調で言う。
策がことごとく崩されていくのが気に食わないのだろう。
「あぁ、楽しくやろうや」
白道はにやりと笑う。
「篠崎、大丈夫? やっぱり休んどきなって」
「大丈夫よ、少しめまいがしただけだから……」
白道達グループの一番後ろではある異変が起きていた。
篠崎が先ほどからふらふらしていたのだ。
相馬が手錠を外した後くらいからこの現象が起きていて、みんな、特に紅と相馬は心配していた。
「いいえ、ちゃんと座っていてください。後は他の皆様が片付けてくれます。貴女は血を吸われてますから貧血を起こしているのでしょう。座ってください」
相馬からも優しげで堅苦しい口調ながらも強制され、篠崎はそこに座り込んだ。
「遂にここで戦える戦力は我ら二人になってしまったな。“痛”」
“創造主”が“痛”に話しかけると、“痛”は空を飛んで来た。
「別にいいんじゃねえか? 俺達=最終兵器だろうが。それに敵には手負いも数多くいるんだ。赤井以外なら俺一人で十分だっての」
「油断は禁物だ。だが、確かにそう悲観することもなさそうだな」
“創造主”も“痛”の軽口に釘を刺しながらもきっちり答えた。
というわけで、次からは最終決戦!!
つまりラスボス戦です!!




