26話 お金って難しい
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冒険者ギルド内は静まり返っていた……。
「ハァ、ハァ、ハァ…………な、なんでだっ?クソ」
ルク達に喧嘩を打ってきたDランク冒険者大剣使いのアッテの攻撃は、珍しい銀髪をした少女に全てパーフェクトパリィされてしまうのだ。
途中、苛立ちからスキル攻撃をするもそれすら通用する事は無かった。
「なんの捻りもなく技もなく力任せに振るうだけの小回りの効かない大剣なぞそんなものだろうに…………。良くやったなリリ、流石は我が賴き前衛」
「はいっ、ありがとうございます。ですが思ったより攻撃が軽かったので逆に焦りました」
「ハッハッハ!まぁドデカいゴーレムの後じゃな」
「あっ、あの〜ギルド内で私闘は禁止ですからね?」
登録プレートを持ってきたギルド員がプレートを渡しながらルク達を軽く注意する。
「Dランク冒険者アッテさん、アナタには1ヶ月間のギルドプレート剥奪とランクの抹消を言い渡します。次からはまたFランクから始めてください」
「まっ、待ってくれ!プレートが無いと宿にも泊まれねぇし飯も買えねぇ頼む!すまなかった!それだけは辞めてくれ」
「駄目です、度重なる注意も聞かず自分より下ランクの冒険者に対する暴言、それにギルド内での私闘許せません、これでも1ヶ月におまけしてるんです」
「な、ならあいつもだろう!あいつも私闘に応じたぞ!」
「私闘を誘発させたのは貴方です、それに彼女は今からギルドメンバーですので」
「はいどうぞプレートです、最初はどんなに強くてもF -ランクからのスタートです。
今後私闘は駄目ですからね、もしやるなら決闘という形をとってください、詳しいやり方はプレートに魔力を流せばギルドマニュアルが表示されますので見ておいてくださいね」
「おぉ〜、これがギルドプレート…………木で出来てるのかちょっとカッコ悪いな」
「ふふっ、ランクが上がればプレートも新しくなりますよ?最高ランクのS+ランクともなればプレートの素材は自由です、オリジナルの自分だけのプレートが作れますよ」
ギルドで説明を受け、折角なのと興味本位で薬草村付近で狩ったゾンビ兎等の魔石を換金した後
お金についてちょっとした?説明を受けた4人は待ち合わせ場所の広場でヴィカと合流する。
「…………どうした?なんかもう疲れてねぇか?オマエラ」
「「「「お金って難しい……」」」」
「……………………?」
突っ込んではいけないと本能で察知したヴィカは即座に話題を変えた。
「まぁいい、それよりダンジョンに行くぞ、騎士団から許可も取ってきたいつでも入れるぞ」
ヴィカはとても有能だった。もしここで話題を変えなければ、ダンジョンに行くのがかなり遅れる事になっていただろう……。
因みにギルド職員は頑張った。
それはもう頑張って説明した!
お金の説明には何と1時間もかかったと言う!
ギルド職員がルク達にお金の使い方を説明する。
「銅貨10枚で銀貨1枚になります」
「ほう」
「銀貨10枚で金貨1枚です」
「へ〜?」
「ちなみに宿代は銀貨3枚ですね」
「「「「………………???」」」」
「それはつまり?」
「熊肉何個分ですか?」
「はい?……えっと熊肉って言いました?」
「ウム。だから肉何個で宿に泊まれるのだ?」
「お金より肉です」
「肉換算じゃないと分からないわ」
「ニク美味しいデス」
職員はそれはもう困惑した。ルク達がいったい何を言っているのか、全く理解出来ないのだ!
………………だが優しいギルド職員は諦めない!
——頑張って説明を続ける事数分後——
「では、おさらいしますね? つまり金貨とは?」
「肉を買うための道具だ!」
「違います!一旦肉から離れましょうと言いましたよね?」
「じゃあ次、銀貨とは?」
「肉を食べるための道具ね?」
「……違います。もしかしてお腹空いてます?」
「——?普通だけど??」
「…………因みに銅貨とは?」
「お肉があればお金はいらないのでは?」
「あの。諦めないでください……」
——さらにさらにルク達に分かってもらえるように説明を続ける事数十分——
「ではもう一度。お金とは?」
「完全に理解したわ!つまり銀貨1枚でボア肉が買えるのね!」
「まあそうですね。そのお肉の大きさによりますが」
「……大きさによるの?何でよ!!」
「きっとそいつがケチなのだろう」
「サイテーですね」
「みんなでニクを食べればいいのにデス」
ついに職員は限界を迎えた!
「誰か助けてください〜(泣)」
結局、ルク達にはお金の使い方表を手書きで作り渡す事になったという。
場所は変わって
貿易都市ヴァラレート草原レベル2ダンジョン
ヴァラレートには3つの騎士団が存在する。
人のみで形成される第一騎士団。
獣人のみで形成される第二騎士団。
そして第一にも第二にも馴染めなかった物達が形成する第三騎士団。
その3つの大きな建物の中心部で、厳重な檻で囲まれた大きな門を潜った先にそのダンジョンはあった。
「「「「おお〜」」」」
ルク達はヴィカと、その部下である猫獣人の斥候職ニコと共にダンジョンに潜っていた。
ダンジョンに潜ると眼前を広々として先が全て見通せないほどの草原が広がっていた!
「そう言えばヴィカさん今日はダガーじゃないんですね?」
「ん?ああ、あの時はわざと捕まるために貴族の真似事をしてたからな、隠しやすいダガーにしてたんだ。 本来の得物はこれさっ、これがあればあのゴーレムにもダメージ与えられたんだがな」
ヴィカは背に担いだ大きなバトルアクスを軽々と持ち上げ振り回してみせる。
「さて、このダンジョンは全10階層だ、レベル1の時は5階層だったらしいがレベル2に数十年前に上がってからは10階層になったらしい」
「少なくとも5階層まではこんな感じが続くな、6階層からは傾斜の激しい山になる、山一つ登って降ると次の階層への入り口があるって感じだ。領主様に言われたと思うが魔物の数が増え活動も活発になってる、気をつけてくれ」
「ウム、活発な牛やボアの肉はうまい全て任せておけ」
【スペルマジック:サーチ】
ルクが広大なエリアの半分を一度にサーチする。
「うーん、特に気になる事は無いな?魔物を狩りながら進んでも良いんだろう?」
「ああ、問題ねぇぞ、ただし夢中になりすぎるのは辞めてくれ適度にだ!イイか!適度にだ!」
「まぁまぁ、団長団長!そんなに念を押さなくてもそんな事誰でも分かるニャン」
「………………お前はこの前此処で留守番だったから分からないんだ……まぁいい!確かに言ったからなイイナ!」
………………ッチ、ボアに牛だぞ?こんなイイ肉を狩り尽くせないとはなんたる屈辱。まぁいい、ならばわざと魔物が多そうなルートを案内して…………。
「じゃ!案内は任せるニャン!ここのダンジョンは庭みたいなものニャン異常がなりそうな6階層以降までサクッといくニャン」
——ズドーーン!(ルク達は膝から崩れ落ちた、明日世界が滅ぶかの様に…………)
「あんまりよ!こんなのってあんまりよ!!」
「肉が、肉をスルーするなんてまさか……そんな」
「ニクゥゥゥ」
「……………………え?何か悪い事したニャン?」
「ほっとけほっとけ!さっさとイクゾ」
結局、ニコの完璧な案内により最低限の魔物のみを狩りながら先に進む事となった。
(せめてと頼み込み魔物はレンカメインでルク達が倒した)
「今日は此処までだな、無理してもイイ事ないしな」
3階層の中腹辺りでヴィカが言う
「まだ明るいわよ?」
「このダンジョンに夜はねぇんだ、だから太陽だけで時間判断をしてると自分の体力が限界なのにも関わらずどんどん前に進んでくたばる奴もいる。
まぁ今は騎士団で管理してっからそんな事も無いけどな」
「ずっと暗いダンジョンもあったり、ダンジョンとは不思議なものだな」
ジュゥ〜と、とても美味しそうな音を立たせ先程狩ったボアの肉を焼きながらルクが疑問を口にした。
「おい…………こんな所で肉なんか焼いたら魔物が寄ってくるだろうが!ニコ」
「ハイニャ」
ニコが魔道具を展開すると薄い結界が貼られ結界内の気配が薄くなり音や匂いも軽減される。
(もはや何でもありだな魔道具)
凄いな、ニンゲン達はこんな物を使ってたのか…………イイなぁ。
「ここのダンジョンすごく広いわね、歩くだけで疲れたわよ」
サキが水と豆を入れた鍋を温めながら愚痴を漏らす
「ハイデス、クタクタデス…………」
「レンカはゆっくり休んでください、はい疲れに効く薬草を染み込ませた布ですっ少し楽になりますよ」
薬草村で大量に摘んでおいた薬草を水につけ他ものを布に垂らしレンカの足に巻くリリ。
「ワフゥゥ〜、きもちいぃデス」
「一応聞くがここ迄で異常はあったか??」
「いや、何も無くて不思議なぐらいだな?」
「何も無いならいんじゃ無いかニャ?」
「ん〜??今まで入った事あるダンジョンは低層でも何かしらあったんだがなぁ?
モンスターハウスだったり、トラップハウスだったり
…………此処は外の草原と同じくらい何も無い……。」
ピクっもヴィカの深掘りしてはいけないセンサーが反応した、特にトラップハウスの辺りに…………。
ヴィカは勘がとてもいいのだ!
「私の知ってるダンジョンはこんなモンだけどな?まぁいい、とっとと食って休むぞ。」
現状のステータス確認
「ルク ステータス」
体力39魔力75力23守22速28技43運15特別ポイント2
[称号:魔を極めし物、魔王(元)、魔眷属を作りし物、爪使い]
「サキ ステータス」
体力23魔力62力16守18速15技24運10特別ポイント2
[称号 ルクの魔眷属、魔の探究者、鞭使い]
「リリ ステータス」
体力31魔力22力22守22速28技30運10特別ポイント2
[称号 ルクの魔眷属、聖騎士への道、剣士]
「レンカ ステータス」
体力20魔力14力17守11速22技19
[称号 槍使い(見習い)]
猫獣人がいると癒しになりますよね




