30話 すれ違う転生者達の日常
もし良ければ高評価等よろしくお願いします
ダンジョン攻略から3日後。
この3日ルク達は体力の回復や新しいスキル確認などをして宿でゴロゴロしながら過ごしていた。
そして疲れも癒えた頃、リリが布でぐるぐる巻きにした剣を悲し様に見つめる。
「…………ルク、私の剣くっつくかな?」
リリの剣はレッドデュアルミノタウロスが倒れて来た際にヒビが入り、抜く時にポッキリと折れてしまったのだ。
まぁ空き家で手に入れた剣だしなぁ……(ゴーストダンジョン前の無人だった村の武器屋ともいう)。
「ヴィカにあったら何かと交換できないか頼んでみよう」
「ハイっ!ハイハイハーーイ!私も杖が欲しいの、やっぱり魔法使いって杖じゃない?ね?」
「ウム!杖があると無いとでは発動効率も威力も違うからな。我も何かしら武器が欲しいと思っていたのだ、此処らで揃えて見るか」
この会話をアシュレイが聞いたら、まず武器を揃えてから旅に出るでしょとツッコミを入れるだろう……
このパーティーには常識人がいなかった。
コンコン「起きてるかニャ?」
部屋を叩く音と共に聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「はーい!空いてるわよ」
「ニャ!?…………随分と散らかしてるニャ、ちゃんと片付けないとダメニャ」
ニコが出しっぱなしの差し入れでもらった白パンや果物などの中身が空の容器などを片付けていく。
「ニコさん?何かようですか?」
「そうだったニャ!報酬の分配が決まったニャ。
ヴィカ団長がルク達の事を高く評価してボスの素材の他に報酬金として100金貨をもぎ取ったニャン、ボスの素材を提供すれば多分倍にはなったと思うんニャけど本当に良いニャン?
…………あっ、あと共鳴の書は見なかった事にするから誰にも言うなとの事ニャン」
1鉄貨=10円 1銅貨=100円 1銀貨=1000円 1金貨=1万円 1大金貨=10万円。
「ウム、素材はできるだけ取っておきたいからな!何かに使えるかも知れんし。…………重いな」
報酬を受け取りながら答える。
「金貨じゃ使いづらいだろうって90金貨と100銀貨で持って来たニャン……じゃ、そろそろいくニャン」
「もういくのか?ヴィカに会いたいんだが何処に行けばよい??」
「事後処理が忙しいニャン……主に魔物の解体が。ヴィカ団長は療養に専念してるニャン、急用なら言っとくニャン?」
「いや、大丈夫だ!良い宿をありがとうと言っておいてくれハッハッハ」
ニコが帰った後新魔団緊急会議が始まる!議題はもちろん………………
「じゃあルク!お金の管理よろしくね?」
「イヤイヤイヤ、ここはしっかり者のリリにしよう!」
「いや、ここはレンカにするべきです」
「ムリデスっ!ボクには無理デス!!」
お金の押し付け合いだった……………。
「……わかったわかった管理とか我向きでは無いがわかった!なら金貨90枚は我がダンジョンに貯めておく、武器とか買うためのお金にしよう。
残りの銀貨100枚を4人で分けてそれで買い物にでも出かけよう、そうしよう」
この結論になるまでそこそこかかった。
ルク達4人はリリの剣を買うために武器屋に来ていた。
会議を開いた結果まずリリの剣が無いと始まらないと言う結論が出たからだ。
「帰んな、ガキに売る剣はねぇ。」
「此処もダメだ!なんだこの街は!まともな武器屋がありゃしない!」
「全くよ!売れないってどう言うことよ!何様よ」
武器屋を回って3軒目、聞いていた武器屋は全て全滅だった
もうすぐ日暮だぞ!?まさかこんな…………
「ど、どうしよう…………」
「もう武器屋はないの?サーチしてみなさいよ」
「ウム……」【サーチ、大量の武器】
お?
「ハーハッハッハまだあるでは無いか行くぞ我に続けー」
そして、ルク達は領主の屋敷にたどり着いた…………。
「あれ?なんか違うぞ?」
「ここ来たことありますね?お肉が美味しい場所でしたよね?」
「ウム、ここの地下に武器がいっぱいあるな!」
「いっぱいあるなら分けて貰いましょうよ!杖もないかしら?」
「そうだな……頼もーー!!!」
見張りのガード達「「………………」」
「何故入れてくれない?前は通してくれたじゃ無いか」
「あの後、きつく厳命されたのだ。もう通すわけにはいかん。」
これ以上の失態は減給なのだ!子供だからと容赦できないのである。
「ヌ………………そうだ!レッドデュアルミノタウロスの素材がどうのいっていたな?どうだ!?剣と交換に来たと言ったら」
「………………それは本当か?」
………………意外とチョロかった。
「勿論だとも!」
「少しまて………………。
連絡がついた、ついて来い」
フッ、天才魔王の我の交渉術に掛かればこんなものよ
「ルク君だったね?今回のダンジョン攻略、本当にありがとう、ヴィカ団長がとても褒めていたよ
…………それで、素材を交換してくれるのかな?」
「ウム、我が聖騎士の剣が欲しくてな。それ次第だな」
「そうか…………実はね、レッドデュアルミノタウロスのツノを一本譲ってくれないだろうか?
どうしてもレッドデュアルミノタウロスを倒したと言う証拠が欲しくてね。」
領主が言い終えるタイミングで執事が質の良さそうな剣を何本か持ってくる。
「銀髪のお嬢ちゃん用の剣だよね?騎士団では使わないけど取っておいた
……いわば余り物の剣だけど質は保証するよ」
並べられた剣はエストックやレイピア、カトラスやシミター等癖のある剣ばかりだった。
フム、確かに好んで使う者以外は触れないような剣だな。
「リリとはレイピアが相性良いと思ってたのだ、レイピアから選んで見たらどうだ?」
「うんっ、わかった」
「レイピアかい?それならこれなんかどうかな?魔剣だよ」
領主が進めて来たのは刃も柄も全てが真っ黒なレイピアだった。
フム……先にルクがそれを拾い上げ、軽く魔力を流すとレイピアが反応し振動する。
やはり何処かで見た事がある剣だと思ったぞ、元は精霊剣だな、確か勇者パーティーの剣姫が使っていたやつだろう…………。
何で精霊がどっかいったのかは知らんが。
「ハッハッハ、本当に魔剣だなしかも面白い。これにすると良いぞリリ」
「わかった、どうやって使えば良い?」
ルクに教えられながら魔力を流していくとレイピアがリリの波長を読み取りそして
「レイピアがブレスレットになった………………」
「多分だが、登録者の魔力で変化するタイプだな、こういうタイプは多少の破損なら変化すれば治る。当たりだ!」
「凄いな、我々では魔剣という事までしかわからなかったのに」
「もうやらんぞ?」
「ハハハハ、勿論だとも此方こそ角が手に入ってよかった。」
………………。
領主はルク達の姿を見ると何かを思いついたように頷く。
「ついでだ防具も見繕ってあげよう、好きなのを持って行きなさい、代金は
…………そうだな夕飯食べていくついでに君達の英雄譚を聴かせておくれ」
ルク達はこれまで防具を着けていなかった……。
拾い物(空き家から)の肘当て程度でずっと戦っていたのである、流石に見過ごせない程ルク達に愛着が湧いてたのである。
ルク達の防具選びは翌日護衛に任せたのだったが、絶対凄く大きく成長するからと聞かない少年の防具選びはとても難航したという。
アシュレイの休日
アシュレイ達はダンジョンのボストレントを討伐し、貿易都市ヴァラレートを発つ準備を進めていた。
旅に必要な物資を揃え、屋台を回り、露店を覗きながら買い出しを楽しむ仲間達。
アシュレイ以外は。
「まさか下着屋にまで行くなんて……流石についていけないよ……」
必要な買い物を終えた後、最後に立ち寄った服屋でイグニスとサフィアのテンションが爆発した。
『この服かわいいですね!』
『これなんか絶対似合いますわ!?』
そんな流れのまま、
『次は下着見に行きましょう!』
となった瞬間、アシュレイは静かに離脱したのである。
「まぁ、たまには一人でのんびり買い食いも悪くないかな……」
アシュレイは適当に串焼きを買い、歩きながら頬張る。
その時だった。
「モグモグモグ……おじさん、その兎の焼き串もう一本!…………え?お金??この中からとって??」
妙に勢いのある声が耳に入り視線を向けると、黒髪の少女が両手いっぱいに食べ物を抱えていた。
肉焼き串、肉焼き串、焼き魚串………………。
そして凄まじい速度で消えていく。
「パクパクパク……ゴクン。……なによ? 私のことジッと見て」
「あ、いやごめんごめん。なんか何処かで見覚えがある気がして……」
アシュレイの額に嫌な汗が流れる。まさか!いや、でも。
「も、もしかしてだけど……妹の復讐とか考えてたりしないよね?」
「はぁ???」
少女が露骨に不審者を見る目でアシュレイをみる…………身内にに対するセンサーにはとても敏感なのだ。
「モグモグ……私の妹はちゃんと生きてるわよ。失礼ねアンタ」
――良かったぁぁぁぁ!!
アシュレイは内心全力で安堵した。
ふぅー、焦った!爆発魔法の使い手
[通称デスボンバーサキ]とよく似てたから……。
鬼畜ゲーム【天空のデスペラソーレ】の詰みポイントの一つとして有名なのが妹を見殺しにした人間達に強い恨みを持ったデスボンバーサキとの戦い。
ゴブリンジェネラルの過去編を見なかった場合強制発動するイベントで暴魔病にかかって死ぬはずだった少女を天使が攫い、
人間への強い憎しみを植え付け魔力を増大させて天使の杖を渡し解き放つっていう特殊イベント。
そして何より酷いのがその性能……。
爆発魔法【ブラスト】。
そして何故か彼女が使う魔法はクールタイムゼロ!しかも高火力、さらに連発。
回避? 無理。
防御? 無理。
攻略法は、
『大量のハイポーションを買い込み、HPを事前に一定レベルまで盛って、爆発を喰らうたび即回復し、相手のMP切れを待つ』
以上である、しかも途中でクリティカルを引かれると即死。
ハイポーションが切れても即死。
まさに理不尽!!
「ふぅ〜〜……今の僕じゃ、強化ブラストなんて直撃したら即死だよ……」
本当に別人で良かった、アシュレイは心底そう思った。
一方その頃。
その黒髪の少女――サキは。
(も、もしかしてこれって村のオババが言ってたナンパってやつ!?)
完全に別方向で勘違いしていた。
(やだ私ったら……でもごめん、私には心に決めた人が……)
「ご、ごめんなさい! 私アンタとは無理だわ! でもでも、ご飯くらいなら一緒に食べてあげるわよ!? 奢りなら!」
「えっ? ちょ、ちょっと言ってる意味が……」
アシュレイは全くの見当違いでフラれたのだった。
「まぁ……人違いだったみたいだ。ごめんね」
アシュレイは苦笑しながらその場を後にした。
「帰ろう……今日は疲れた……」
……………………………………
「サキさん、何かありましたデス?ホクホク」
ふかし芋を食べながらいうレンカ
「何だったのよあの金髪…………まぁいいわ!そろそろ時間ね行くわよレンカ」
ルクとアシュレイの出会いはもう少し先になりそうです




