確認令嬢の断罪劇
悪役令嬢の漫画や小説をたくさん読んだので、その最大公約数というか最小公倍数みたいな小説が書きたいと思って書きました。
「クラウディア、君との婚約は本日をもって解消する」
「……」
「理由は、君が王妃にふさわし…
「お待ちください。その前に確認させてくださいませ。あなたは、この国の王太子であるアラン・イヤン・ミテタノネー殿下でございますよね。そしてわたくし、公爵令嬢であるクラウディア・エート・テキトーデとの、婚約を、解消する、と、おっしゃったのでございますか?」
「そうだ! そんなことわざわざ確認せずとも…
「まだです! 現在の状況をあらためて確認させていただきます! 現在は王立学園の卒業パーティー式場、国の重要な職務にいる貴族の令嬢令息が集まっています。さらに来賓席には国交のある各国の重要人物がずらりと並んでいます。その方々全員に聞こえるように、一国の王太子としての立場で、その発言をなさっているのですね?」
「え…うん…まあ…」
クラウディア嬢の剣幕にアラン王太子は少し躊躇した。
だが、彼のかたわらによりそう男爵令嬢が、心細そうにぎゅっとアランの左腕をつかむと、ハッとして気を取り直す。
「もちろんだ! 私はここで…この場を借りて! 君を断罪するつもりだ!」
「確認ですが、殿下はこのわたくしが、このような公の場所で断罪されるほどの非道な行いをした、と思ってらっしゃるんですね? そう確信できるほどの証拠も、もちろんあるんですよね?」
「も、もちろん、証言が…
「証言。確認いたしますが、わたくしの断罪への証言というのは、そこにいらっしゃるエリー・ヤッチャッタワ男爵令嬢がなさるのでしょうか?」
「そ、そうだ! なんだ、わかってるんじゃないか! やっぱり身に覚えが…!」
「残念ながら、わたくしには咎められるような行動をした覚えがありません。となると誤解か陰謀だと思われます。もしもあとから無実が証明されたとしても、この場所でわたくしを咎め、恥をかかせたという事実は変わりません。その場合、取り返しはつかないし、場合によっては全面戦争になってもおかしくないですけれども、その覚悟はおありですよね?」
「そ、そんなおおげさな…
「そうですわね。殿下にはわたくしの言葉など、たわごとにしか聞こえないのでしょうね。ですからわたくしは証拠の書類を揃えておいだのですよ。エリー嬢が、転び、池に落ち、嘘をつき、自分の持ち物を自分で壊し、殿下の身体に触れ、そそのかした日常を。すべてわたくしの雇った秘密部隊が目撃し記録していました」
「は…?」
「実はわたくしは転生してこの世界に来た人間なので、どこでどのように断罪されるか存じていたのでございます。なので証拠を集めるのも簡単でしたし、あらかじめ国王陛下や王妃様、宰相様や騎士団長様には、前もってお伝えしておりました。ここで殿下は、男爵令嬢の口車に乗って、わたくしとの婚約を破棄なさるおつもりだと」
「げ…
「陛下は、そんなバカなことを、自分の息子がするはずがない、と、信じておられました。まさか、確固とした証拠も、わたくしへの確認もしないまま断罪などという、愚かな真似をするはずがないと」
「まっ…
「でもこうしておめおめと婚約解消を言い出す愚か者でしたので、とても添い遂げる気持ちにはなりません。殿下のご希望どおり、婚約を解消いたしたいと存じます」
「ちょ…」
「念のため申し上げますと、わたくしには前世の記憶があるので、この世界には存在しない知識をいろいろと有しております。魔法もチートだし料理も絶品、医学の知識も政治経済も生活の知恵もチートでいただいております。いわば国の宝。それをみすみすと逃したこと、この国はもちろん、各国の重鎮の中で愚かな姿をさらしたことを、心からお悔やみ申し上げますわ」
こうしてこの国はおしまいになりましたとさ。めでたしめでたし。
何の意味もなくハゲマッチョが出せたので満足です。




