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医女遊記伝記  作者: 嘉乃
8/12

第八回:奇異之事。


馬車は規則正しく転がっていく。


時折、車輪が飛び出した石を踏むと、車体全体が跳ね上がり、簾が揺れて揺れる。年末近く、人や馬車がいつもより多く、呼び声、馬の蹄の音、木の車輪のガタガタという音が混じり合い、賑やかな調べを奏でていた。


幸いまだ早朝で、道は混んでいるものの、渋滞するほどではなかった。


孔雀はそっと簾を上げ、外を覗いた。


頭の中で、再び自問する。


いつから、こんなにも宮廷の渦中に巻き込まれるようになったのだろうか。


元来はただの医術を営む娘、人の命を救うことを第一に生きてきた。責任を逃げるつもりはないが、こんな高い壁に囲まれた場所に足を踏み入れる日が来るとは、思いも寄らなかった。


宮門は深く、一歩踏み違えれば万重の風波が待っている。


どんなに狂おしくても、世のことは予測不能、誰が明日の身の上を言い当てられようか。


「側門を通ります。」


向かい側から木録事の声が響き、彼女の意識を現実に引き戻した。


大官の邸宅は当然、周囲に独自の壁を巡らし、規則が厳しい。


正門は南向きで、風水に合い、礼制に適う。


二重の軒が曲がり、端の飾りが翼を広げて飛び立つ鳥のように高くそそり立つ。軒下には黒地に金字の額が掛けられ、冬の薄い陽光に映えて輝く。両脇には威厳ある石獅子が据えられ、目を大きく見開き、鬣が波打っている。石段は道面より一段高く、各段の石が磨かれ、塵一つ付いていない。


その大門は、正式に主人が出仕する時、同等の客を迎える時、あるいは大礼の時だけ開く。厚い木の両扉、大きな銅の閂、普段は固く閉ざされ、見るだけで猛々しい権威を感じさせる。


側門は邸の脇に寄り、少し低く、大きな額は掛かっていない。


家人が出入りし、医者が診察に来る時、密かな客、または荷物を運ぶ者たちは皆、この道を使う。


孔雀のような医術を営む者が側門を通るのは当然のことだった。


馬車が速度を落とした。


孔雀は簾を上げ、正門の方をちらりと見た。


ただ、好奇心から、この邸の貴人が一体どんな役職なのか知りたくなっただけだ。


黒地に金で三文字が浮かび上がる。


御史中丞。


孔雀は呆然とし、目をその文字に釘付けにした。


御史中丞は御史台の副長、御史大夫の下に立つ。権力は小さくない。大案に参与し、朝廷を揺るがすこともできる。三品以下の官を弾劾する筆を握ることもある。


御史とは皇朝の耳目である。天下の者は武将を恐れなくとも、「御史」の二文字を聞けば、多少なりとも警戒せざるを得ない。


孔雀は簾を下ろした。


彼女は木然を睨みつけた。まるで罠にかけられたことに気づいたかのように。


木録事は彼女の顔が次第に暗くなるのをまるで気に留めていない様子だった。


背筋を伸ばし、手を膝に軽く置き、春の市を散策するような悠揚とした態度で、御史中丞の邸に人を連れてくるなどという状況に、微塵も動揺を見せない。


その落ち着きぶりが、かえって癪に障る。


門吏に姓名、出身、職業、なぜ招かれたのかと基本的な問いを答え、ようやく馬車は進んだ。


車輪は邸の奥深くへ転がる。


側門を抜けると、青い煉瓦を敷き詰めた広い庭が広がり、埃一つない平らな地面。両側に長い脇屋が並び、窓は半分閉じ、一方は家人の詰所、もう一方は仮の客間か物置であろう。


庭の正面に正庁がある。


主屋は中央に位置し、五間広々として、瓦葺きの屋根が整然と重なる。床は庭より一段高く、白い石段が磨かれ、各段が寸分違わず四角い。


厳格で整然とした気風、まさに御史の邸に相応しい。


馬車は石段の下で止まった。


木録事が先に降り、ゆったりとした動作で。孔雀はその後ろに続く。


顔色は先ほどの暗さを収めていた。内心ではまだ鬱憤が溜まっているが、自分の命の方が大事だ。


彼女は彼の後ろ、一歩分だけ離れて立つ。


石段の上、正庁の前に、すでに一人の老人が待っていた。


長袍をきちんと着ているが朝服ではなく、髪に白髪が混じり、容貌は厳格、五十歳を過ぎたくらいか。両手を腹前に組み、長年仕えた管家らしい礼儀正しさ。


二人が来ると、老人は一段降りて軽く礼をした。


「ちょうど良い頃合いに。お屋形様の病状が重くなり、朝からお待ちしておりました。」


「どうぞ、小人に従ってお入りください。」


三人は回廊を進み、内院へ。


正庁を抜けると、空間は一気に静かになった。


主屋は軸の真ん中に、赤い瓦の屋根。東厢房、西厢房が両側に並び、扉は厳かに閉ざされ、厚い簾が覆い、家人たちの足音がかすかに聞こえるだけ。


内院は外の庭とは違い、厳しく閉ざされ、笑い声一つない。


「屋形様は今、内室におられます。」管家は歩きながら言った。


三人は二枚の扉の前で止まった。


木はまだ新しく、木目がはっきり浮き、塗りたてか香料を焚いたような穏やかな香りが漂う。


「私は用事があるので、ここで娘さんと少し待つだけだ。」木録事が事前に告げた。


「娘さんと?」誰が頼んだというのだ。孔雀は心の中で思う。


管家は扉の前で、ゆっくりと二度叩いた。


「コツ。コツ。」


しばらくして、重い木の扉が半分ほど開いた。


扉の後ろに立つのは若い男子、見たところ木然より二、三歳上くらいか。灰色の細い布の長袍を羽織り、刺繍も符章もなく、簡素な服装で、決して朝服ではない。


頭には柔らかい福頭、民间の医者によく見るもの。


孔雀は一目で、宮中の太医ではないと分かった。


では、外から招かれた名医か。


「この娘さんは楊太医が推薦した方で、今回のお手伝いに参りました。」木録事が一歩進み、手を合わせて言った。


孔雀はすぐさま進み出て、両手を合わせて礼をした。


「孔雀、拝見いたします、先輩。」


名医はすぐには答えず、頭から足までじっくりと見つめ、値踏みするように。


やがて軽く頷いた。


「娘さん、遠慮はいりません。」


「では、あなたが楊大人おっしゃっていた方ですね。どうぞ、お入りください。」


孔雀は木然をちらりと見て、管家を見た。二人が何も言わないのを見て、恥ずかしげに軽く礼をし、敷居を越えた。


名医は体をずらして道を譲った。


扉が後ろで閉まった。


「大人様はとてもお疲れです。お役目の方だけお入りください。」


そう言い終えると、木の扉は閉ざされた。


孔雀は周りを見回した。


部屋は広く、豪華だが派手ではない。黒檀の柱、床は磨かれて油灯の火がぼんやり映る。


寝台の傍に低い卓が置かれ、茶の湯呑みと飲み残しの薬碗。近くの壁際に仮の薬箱、引き出しが少し開き、赤い紐で束ねた薬材が覗く。


部屋の中央に大きな寝台、幕が丁寧に下ろされている。幕の向こうに、痩せた影が静かに横たわり、布団が胸まで覆われ、肩の細さと白髪混じりの髪だけが見える。


窓は四方とも固く閉ざされ、閂がしっかり掛かり、冷気や外の毒気を防いでいる。


「私は高旭です。もう一人は今、外で薬材を取ってきています。あの方は朝廷の太医令です。」


「はい。」


「大人の病状は、どう変わっておられますか?」


「言ってしまえば娘さんがすぐ信じがたいでしょうが……大人様は毒に当たった兆候があります。」高旭は声を低めた。


「毒ですか?」


高旭は頷いた。


「そうです。今朝早くから症状が出ました。」


彼は体を少しずらした。


「もし娘さんが望むなら、近づいて診てみてください。」


「小女……よろしいのでしょうか?」


「構いません。」


高旭はきっぱり答えた。


そして寝台の傍へ行き、幕の端を軽く上げた。


孔雀はごくりと唾を飲み、慎重に寝台へ近づいた。


「失礼いたします。」


彼女は身を屈めて布団を少し引き、診始めた。


「今朝診た時、口の中に軽いニンニクの臭いがしました。失礼を承知で起こして問おうとしましたが、揺すると体が麻痺し、唇が震えて言葉にならないのです。」高旭が語った。


御史は寝台に横たわり、顔が腫れぼったい。瞼が腫れ、重く垂れ、夜通し泣いたか、数日眠れなかったかのよう。肌は異常に白い。


彼女は瞼に触れ、次に脈を取るために指を首に当てた。


「この兆候……おそらく……」


「砒霜です。」高旭が言葉を継いだ。


孔雀は御史の手を軽く揺すって反応を見た。


「では、先輩は大人様に薬を飲ませたり、腸を洗ったりしましたか?」


「桑の根皮の煎じ薬で吐かせ、大黄の煎じ薬で消化管の毒を出すようにしました。先ほどは生の空心菜の汁を飲ませ、飲んだ途端に激しく吐き、そのまま気を失いました。」


「気を失った?」


「待って……先輩は大人様が何も言えないとおっしゃいましたが、どういう意味ですか?」


「つまり、大人様はまだ意識はある……が、舌が固くなり、唇が震えて言葉が出ないのです。」


孔雀は目を見開いた。


一瞬、脳裏に閃いた推測に、礼を忘れて高旭の袖を掴んだ。


「吐瀉物はどこですか? 吐いてからそう時間は経っていないはず。見せてください!」


「落ち着いて、娘さん……家人が残しているか分かりませんが……」高旭は驚いて後ずさった。


「さっきの盆を持ってきて! 中身を捨てるな!」高旭が外に向かって大声で叫んだ。


回廊に慌ただしい足音が響いた。


家人が急いで入り、木の盆を両手で捧げ、置くとすぐに頭を下げて退いた。


孔雀は迷わず袖をまくり、盆の傍に膝をつき、体を低くした。


高旭は戸惑いながら近づき、手を差し出して止めようとした。


「娘さん、気をつけて。これはとても汚いものです。」


孔雀は袖の中から髪の毛のように細い銀針を取り出した。


盆の中の吐瀉物はねばねばと濃く、青灰色に濁っている。ニンニクの強い臭いが立ち上るが、それに混じるもう一つの、名付けがたい香り。


何だ、これは?


高旭も覗き込み、やがて傍に座った。


「娘さん……」高旭が呼んだ。


孔雀は高旭の声に一瞬も気づかず。


彼女はまだ木の盆の傍に座り、濁った液体に目を凝らしていた。


頭の中で、思考が次々と重なり合う。


ニンニクの臭いはとても軽いが、ニンニクだけではない。


麻痺の症状、何も言えない。

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