11話 人の夢とエルフの笑顔のコラボレーション
【魔法】ミスティちゃんの魔法を語るスレ152【世界のエルフ】
神秘に包まれたエルフっ子のミスティちゃんについて語るスレです。
魔法利用法考えるスレ1025【悪用厳禁】
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ミスティちゃんとイズミンのてぇてぇを見守るスレ75
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232 .名無しの地球人@666
なんで、風呂入って帰ってきたら前スレ落ちてんだよw
消費早すぎるだろ!
233.名無しの地球人@666
ここのところ加速が酷すぎる……
実況スレの方が鯖落ちしたからしょうがないが。
234.名無しの地球人@666
あの鯖落ちってやっぱり、ミスティちゃん効果?
235.名無しの地球人@666
それはそうw
ミスティちゃんがご褒美発表した瞬間の過熱度はやばかった。更新押したら、一気に200以上レス飛んだ時は、水を吹いてPCが火を拭いたわ!
236.名無しの地球人@666
水で火魔法!斬新
237.名無しの地球人@666
ここもようやく落ち着いた感じかぁ。
やっぱ、ここが一番落ち着くわ。
238.名無しの地球人@666
よく、ミーチューブが持ったと思うわ。同時視聴の人数がバグってただろ?
239.名無しの地球人@666
そういえばミスティちゃんのチャンネル、もう3.5億人とかになってるんだけど、あれってバグ?
240.名無しの地球人@666
バグじゃないんだなぁ。ミスティちゃん自身はそういうの誇らないし、気にも留めないから俺も最近まで気付いてなかったけど、光魔法が発表されて世界中に広まってから核爆発的に増えた。
241.名無しの地球人@666
ヒェッ!
日本の人口より多い登録者とかw
これもうミーチューブの運営、ダイヤモンド通り越してアダマンタイトの盾を送らないといけないだろw
242.名無しの地球人@666
アダマンタイトw
ミーチューブくんが異世界に行ってアダマンタイトを掘りにいくのか! 胸熱w
243.名無しの地球人@666
ミーチューブ『すみません。アダマンタイト売ってください』
ミスティ『いいけど、高いよ?』
244.名無しの地球人@666
wwwww送る相手から買うなww
245.名無しの地球人@666
けど、スパナマーク付いた人いないのに、アンチコメとか湧かないのなんでなん?
コメントが削除されましたとかもないよね?
246.名無しの地球人@666
そりゃ、魔法だからなw
247.名無しの地球人@666
魔法を便利使いすなw
けど、アンチスレでなんかコメント書き込めないとか言ってる奴がいたけど、ミーチューブくんにそんな機能ないよな?事前、ブロックみたいな。
248.名無しの地球人@666
そりゃ魔法だからさ。もうね。不思議な事は全部魔法なんだよwww
249.名無しの地球人@666
多分本当にそうだと思うよ。ミスティちゃんならリスナーに迷惑が掛からないように、魔法で何らかの対策をしてると思う。
知り合いの配信者も最近のミーチューブくんが劇的に優秀になっててソフトも落ちないし、遅延もなくなったって言ってたから、多分、電子的な何かを魔法でお願いしたんじゃないかな?
250.名無しの地球人@666
マジでか! そう言えばアンスレは鯖落ちしてもこのスレだけは落ちた事ないのも不思議なんだよな。
鯖は一緒だから実況民とか流れてきたら、一気に鯖落ちしてもおかしくないのに、五分で1スレ消費の速度でも、遅延もなかったし……このスレもミスティちゃんに守護されてる?!
251.名無しの地球人@666
だとしたら……いぇえーーい!ミスティちゃんみってるーー?
252.名無しの地球人@666
俺らのあれやこれやの発言も見られてた可能性があるのか! やばい!ミスティちゃんへの愛がバレる!
253.名無しの地球人@666
まぁ、ミスティちゃんには性別ないけどなw
254.名無しの地球人@666
いいんだよ!
男でも女でもなく、エルフとして愛してるんだから!
255.名無しの地球人@666
明日だっけ、ミスレンコラボ?
256.名無しの地球人@666
錬金術師のコラボみたいだなw
明日だな。今朝、同時に告知してたから話は最初から合わせてた気がする。
257.名無しの地球人@666
どうせなら明後日にすれば良かったのに、明後日はレンちゃんの生誕祭なのに。
258.名無しの地球人@666
前入りじゃね? 今日はレンちゃんも配信ないし、オフコラボで三日間のハニームーン
259.名無しの地球人@666
なにそれ尊すぎて、胸が萌え死ぬんだが? てぇてぇを通り越してイチャラブすぎるだろぉ!
260.名無しの地球人@666
ミスティちゃん、イズミンさん。あとゲストって誰だろう?
事務所メンツ?
261.名無しの地球人@666
それだとゲストって言わなくないか? 多分箱外の人なんだろうけど、マジわからん!
262.名無しの地球人@666
ミスティ『私の知り合いのゴブリンさんでーす』
ゴブリン『GOBUUuuu!』
263.名無しの地球人@666
いきなりのくっ殺展開やめろwww
264.名無しの地球人@666
???『ゴブリンか?』
265.名無しの地球人@666
鎧マンは帰ってもろてw
けど、明日かぁ!
これほど楽しみなの初めてだわ!
小学校の時の遠足より楽しみすぎるw
266.名無しの地球人@666
うちの会社、明日有給申請が多すぎて、全員に仕事中に動画視聴許す事で何とか撤回させたわ!
これでゆっくりと有給で休める
267.名無しの地球人@666
www外道中間管理職も極まったなw
帰ったらお前の席あると思うなよ? 菅原より
268.名無しの地球人@666
ふぁ!?!?
部長!? ごめんなさい!ほんのスレッドのノリなんです! 明日は普通に出社します!
269.名無しの地球人@666
楽しそうな職場だなw
世間は本当に狭いわー!
◇◆◇◆◇◆◇
久しぶりの東京の雑踏で、泉美は人混みの多さに目を白黒させる。それもそうだろう。社畜をしていた時は、満員電車の人混みに押しつぶされる事はあっても、あとは会社でひたすらにこき使われて、終電で帰る日々だったのだ。
昼前とは言え、おしゃれな格好をした色んな人達が楽しげに往来を歩く姿を見るのはある種の憧れであった。しかも、その中に自分が混じっている事実が信じられない。
「師匠! わ……わたし場違いじゃないですかね? 浮いてませんか!?」
「泉美ちゃん。師匠と呼ぶのはやめなさいと言ったでしょ? 今の私は白百合ローズよ」
「あっ、すみません、ローズさん! つい癖で……」
ミスティア――現在は「白百合ローズ」として、人間サイズの姿に魔法で変身していた。それは普段の愛らしいエルフの姿とは打って変わって、クールでスタイリッシュな大人の女性の装いだ。泉美もまた、師匠から授かったブランド品で全身を固め、自信を持って振る舞おうと必死になっている。
「大丈夫よ、泉美ちゃん。貴女もとても似合っているわ! 胸を張って歩きなさいな」
ローズと名乗るミスティアの言葉に、泉美は小さく頷いた。普段の魔法使いとしての活動とは完全に切り離し、今回は「白百合ローズ」として来ていた。すべてはミスティアの混乱を避けるためと泉美が表舞台に出過ぎないようにという配慮からだった。
「でも、ローズさん。本当にこの恰好でいいんでしょうか? なんだか緊張します……」
泉美は身に纏った高級ブランドのスーツに視線を落とす。このスーツが自分を強く見せてくれる一方で、中にいるのは相変わらず自信のない元社畜の自分だと感じていた。
「いいのよ。この世界では、人は見た目で判断する。そして、ブランド品というのはその格を瞬時に相手に伝えるための記号よ。相手の事務所に、舐められてはいけないでしょう?」
ミスティアが、泉美の背中にそっと手を添えた。その手の感触は、いつもと変わらぬ優しい師匠の温もりだった。
「それに、このブランドの服は、私が作った魔道具でもあるの。着ているだけで、自信という名の魔法が発動するように調整してあるわ」
「えっ、そうだったんですか!?」
泉美は驚きに目を見開いた。ミスティアはクスリと笑う。
「ふふ、嘘よ。でも、貴女が意識的に背筋を伸ばしさえすれば、この服が貴女の気持ちを後押ししてくれる。さあ、目的地はもうすぐよ」
二人は雑踏を縫って進み、やがて巨大なビルの前で足を止めた。ミスティアが黒い手袋をした手で、そのビルの入り口を指し示す。
「ここが、teamワルプルギスの事務所が入っているビルよ。さあ、行きましょう。泉美ちゃん」
泉美は深呼吸をして、ブランドバッグをしっかりと握りしめた。ミスティアの言う通り、背筋を伸ばし、一歩を踏み出す。今日から三日間のオフコラボ。楽しみと緊張が入り混じった、特別な旅の始まりだった。
泉美と「白百合ローズ」ことミスティアは、teamワルプルギスの事務所ビルに入り、受付でアポイントメントを伝えた。やがて案内されたのは、壁一面が大きな窓になっており、渋谷の街並みを見下ろすことができる応接室だ。
応接室には既に二人の人物が待っていた。一人は事務所の責任者らしきスーツ姿の男性。そしてもう一人は――綺麗な黒髪に男性と同じぐらいの長身で、ファションモデルと言われても納得できそうなスタイルの良い女性が並び立っていた。
「ようこそ、ミスティア・フル・ローゼユグドラ様、そして助手の森イズミ様。本日は遠路はるばるお越しいただき、誠にありがとうございます」
男性が名刺を差し出し、形式的な挨拶を述べる。その隣で、黒髪の女性はキラキラとその大きな瞳をミスティアから一瞬も離さずにいた。
二人は男性に勧められるまま、テーブルを挟んだ反対側に腰を落ち着ける、
ミスティアは、優雅な仕草でサングラスを外し、責任者に向けてにこやかに微笑んだ。
「お招きいただき、光栄ですわ、社長さん。それと私……いえ、ここはもう僕で、僕の思想に共感していただきありがとう! このコラボが、世界中の人々に癒やしをもたらすことを願っているよ。それと改めて初めましてレンちゃん。いつも配信を見てくれてありがとう」
そう言って男性の横の大きな体を縮こまらせていた黒髪の女性を見ると、ふいにポロポロと泣き始めた。
「わ……わたしのことがわかるんですか?」
その声に泉美はギョッとした。てっきりレンちゃんに会うまえに社長とマネージャーさんに挨拶してからなんだと思っていた。
目の前の二人がそうなんだと──しかし、初めて口を開いた女性の口から紡がれた声音は甲高く、それは幾度も配信を見ていて聞いた声だったのだ。
ヴァーチャルモデルの姿とは似ても似つかぬ長身の体にモデル顔負けのスタイルを誇る美女がまさか魔法少女。錬金術師のまほろば⭐︎レンとは到底結びつかなかったのだ。
「それはわかるさ。君の魔力は独特だ。まるで爽やか風が吹く湖岸に降り注ぐ陽の光のような穏やかで優しい魔力だ。そういう魔力はとても周りを気持ち良くさせる良い魔力だからね」
その言葉はレンの心臓を直撃した。ミスティアの姿は、配信で見る可愛らしいエルフではなく、完璧なプロポーションを持つブロンド美女「ローズ」だが、レンにはわかる。この優雅な立ち振る舞い、そして、時折見せる純粋な目の輝きこそ、彼女が敬愛するミスティアその人だと。
「あぁぁぁぁうぁぁあぁ! わだじ……いぎででよがっだぁ……ミスティ様に出会えで……よがっだよぉぉぉ!」
レンは突然立ち上がると、滂沱の涙を流しながら倒れ込むように、ミスティアへと倒れ込んだ。
そして、その長身でミスティアを抱きしめて、その胸に顔を埋めて泣きじゃくった。
突如の抱擁と慟哭に、泉美も事務所社長も、一瞬思考が停止する。ミスティアは慣れているのか、あるいはこの展開を予期していたのか、苦笑い一つでレンの勢いを受け止めて、自身の胸で泣き続ける綺麗な黒髪を幼子をあやす様に撫で続けた。
「レンちゃん、ごめんね。いつも僕の配信をリアタイで見てくれているのに、ずっとお礼もいえないで」
ミスティアは優しくレンの頭を撫で続けたまま話す。
「ううん、いいの! ミスティちゃんが、私をわかってくれただけで、もう……っ、錬金術の神様ありがとう!」
レンは感極まった様子で、ミスティアの黒いスーツの胸元に顔を埋めたまま、首を小さく左右に振った。
「あの……お二人は本日、ゲストの方を連れてきたとのことだけど……」
社長が、困惑した顔で泉美に尋ねる。泉美はレンの豹変ぶりに動揺しながらも、助手としての役目を思い出した。
「はい。わたしの使い魔で、非常に賢い白猫がいます。どうぞ、こちらへ」
泉美がそっと一歩前に出ると、その影がわずかに揺れた。次の瞬間、足元に純白の毛並みを持つ小さな猫が現れた。首には小さな金色の鈴がついている。
それは、泉美がミスティアの弟子になって使い魔になってくれたケットシー――ルーナだ。普段は泉美の影の中に潜んでいるが、泉美の側にいるときは安心して姿を現すことが多い。
「ニャー」
ルーナは小さな声で鳴くと、泣きじゃくっていたレンも顔を上げて、恥ずかしげにミスティアから離れた。そして、泉美の足元にちょこんと座る小さな白猫見つめると、その賢そうな瞳が、レンや社長をじっと観察していた。
「グズゥ……わぁ! 可愛い白猫さんだ! この子がゲストさんなんですね!」
レンはミスティア離れると、目をキラキラさせてルーナに視線を移した。
「この子は、私の最高の相棒です。配信ではケットシーとして、一緒に魔法を披露する予定なので連れてきました」
社長は妖精のケットシーして紹介された見た目はまんま猫のルーナをマジマジと見つめる。
初めてみる妖精に驚愕が隠せない。
「なるほど、妖精のゲストさんですね! それは素晴らしい企画です。それでは、早速ですが、本日の段取りについて、ご説明させていただきます」
かくして、ミスティア、泉美、レン、そしてケットシーのルーナによる、異世界の魔法と錬金術、そして現代のテクノロジーが交錯するコラボ配信の準備が始まったのだった。
社長が用意した資料とスケジュール表を前に、具体的な打ち合わせが始まった。レンはミスティアの隣に座り、終始興奮気味だ。ルーナは泉美の足元で優雅に毛づくろいを続けている。
「……というわけで、本日の企画は、ミスティ様とレン様による魔法企画」
社長が画面に映し出したのは、事前に制作された二人の配信アバターのモデリング画像だった。
ミスティアのアバターは、ユーザーがお馴染みの愛らしいエルフの姿ではなく、縁にフリルがあしらわれた大きなつばの魔女帽子を被り、全体が黒と白のレースで彩られたゴスロリ衣装を身に纏っている。その手には、先端に美しい宝石が輝く杖が握られていた。
そして驚くべきことに、まほろば⭐︎レンのアバターも、色違い、あるいは細部がわずかに異なるだけで、完全にミスティアとお揃いのゴスロリ魔女姿になっていた。
「わぁ、素敵なアバターだね! 実によくできている」
「ミスティちゃんとお揃いの服! 夢みたいだよぉ! これなら、最高のコラボになるよ!」
レンは両手を合わせて感動を表現した。
「配信中の背景となる空の映像は、事前に高精細なCGで準備しております。お二人はこのアバターにモーションキャプチャで乗り込み、箒や杖の魔法で空を飛ぶという設定で、雑談を交えていただきます。飛行ルートは、古代の魔法都市から、空に浮かぶ島を巡るコースです」
社長は配信の概要を説明する。しかし、ミスティアは優雅な笑みを崩さなかった。
「社長さん。僕を信じてくれるかい? この世界で誰もできない最高の企画にしてあげたいんだよ」
ミスティアの予定のない提案とその内容の不審さに、少し眉根を寄せてメガネの位置を直す。
「失礼ですが、貴女を信用していないわけではないのですが……我々といたし「信じるよ! ミスティ先生が信じて、と言うなら屋上からだって飛べる!」……レンっ!」
社長が話している途中で、前のめりになりながら、言葉を被せた。
そんなレンに、呆れ半分、怒り半分で社長が止めた。
「レンっ! この前も言ったとおり危険なんだ! ただですら色んな場所から問い合わせが来てる……今だって家に帰さずにホテルを転々とさせて安全を確保しているんだぞ! もしも、これ以上、関係が深いところ見せたら、本当に危ないんだ!」
その剣幕にレンは首をすくめてバツが悪そうにして、泉美は驚きで身を固くする。
そんな中でも涼しい顔で座っていたのは、ミスティアだけであった。
まだ、ブロンド美女の姿で、足を組み。優雅に紅茶に口をつける。
「どこからか圧力が?」
興奮で微かに息を切らせていた社長に、氷を思わせるほどの冷たい声音が掛けられた。
「僕は公式に関わるなと釘を刺したつもりだったんだけれども……何らかの圧力──いえ、干渉があったのかな? もしもそうであるならば大変申し訳ない」
ミスティアはソファーから立ち上がると、社長とレンに向けて深々と頭を下げた。
「ミスティちゃんが謝ることじゃないです! そんなんじゃなくて事務所にちょっと……」
慌てて立ち上がったレンは、頭を下げ続けるミスティアの元へと駆け寄り、その頭をあげる様に肩に手をかけた。
しかし、その体からは想像もできない力でぴくりとも動こうとしない。
「はぁぁぁぁ……悪かった! レンの言うとおりだ。あんたは悪くねぇ。これはこちら事務所側の問題だ。どうか頭を上げてくれ」
社長は心からの深いため息を吐くと、綺麗に整えられていた髪をぐしゃぐしゃとかき乱して、先ほどまでの理知的な雰囲気を投げ捨て言葉を崩した。
その言葉でようやくゆっくりとミスティアが頭を上げて、改めて社長に向き直る。
「もう一度聞くよ。どこからか干渉を受けている。それは間違いがないかい?」
バツが悪そうな表情を浮かべて、ぶっきらぼうに頷いてみせた。
「コラボ発表直後だ。うちの会社に株式買い付けの打診がすぐに来た。もちろん、うちはそれを拒絶した。だが、奴らはうちの株主にちょっかいをかけ始めたんだ。あくまで第三者を通す形で、とんでもない金額を匂わせて株式の購入を持ちかけてる」
「相手企業、もしくは相手の国は?」
社長は力無くかぶりを振って答える。
「さっぱりだ。中華系、アメリカ外資、中東アラブ。うちの会社の裏では株式の争奪戦だ。ある意味、冷戦みてぇになってる」
「僕の……せいだね?」
「「それは違う!」」
ミスティアの弱々しげな声に社長とレンの二人が同時に声を上げた。
「私はこの図体でずっと虐められてきた! だから、小さいものが好き! 小さい女の子に憧れる! だから、せめて見た目だけでも理想に近付けたいと思って、この事務所に入ったの! アニメの中の魔法少女のような小さな体でも一生懸命戦う姿に憧れて! こんな大きな体をした女が戦う勇気も持てなかったから……。だから、私は魔法が使えた時に嬉しかった! 魔法を使えて、理想にまた一歩近付けて。魔法に勇気を貰えたの! 戦う勇気を。そんな勇気をくれたミスティちゃんが間違ってるなんてことはない……! 私は……私は負けたくないよ! 汚い大人の思惑とか利益とか、そんなものに夢を踏み躙られたくない!」
レンちゃんが心に秘めていただろう思いを、精一杯の言葉と勇気でぶつけてくる。
「同感だ。俺も昔、戦隊モノだとかバトルものの司令官に憧れていた口でな。だから、ヴァーチャル界隈がミーチューブで台頭してきた時に、一念発起して、この事務所を立ち上げた! ちーっとジャンルは違うが、魔法少女を応援したいってな! 笑っちまうだろ? 良いおっさんが変な夢見て、人生をギャンブル台に乗せちまってるんだぜ? けどな。俺の人生は誰にも笑わせねぇ! 誰かの夢をその背中に負って守るかっこいい大人に憧れたんだ! 夢を見ることを止めちまった拝金主義のクソどもに台無しにされてたまるかよ!」
社長も企業の社長とは思えない鍛え抜かれた拳を固く握りしめて、歯を食いしばっている。
その姿を泉美は羨ましげに見つめていた。
泉美もまた夢を見ることも忘れてしまって会社の奴隷としての人生を歩んできたのだ。
何もかもかなぐり捨ててでも、夢を追っている人を見るのは眩しかった。
「あはっ……あはははは! あはははははははは!」
熱い静寂を破ったの、底抜けに明るく、本当に楽しそうな笑い声であった。
その笑い声は弟子である泉美ですら、聞いたことがないほど、嬉しげでとても気持ちのいい笑い声だった。
「大好きだ! だから、僕は君たち人間が大好きなんだよ。そうだね。見せつけてやろう。利益だけしか──数字だけしか見ていない汚い大人たちに、夢を見る人間がどれほど強く美しい者か」




