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説明回


 ここで少しエルマー・クレイトンという人物について説明しておこう。

彼はそこそこ大きな商会を営む、所謂中流階級(ミドルクラス)と呼ばれるような家の三人目の子として生まれた。

そして彼には生まれた時から前世の記憶があった。

全く別の世界で別の人生を送った記憶と、エルマーとしての自我が混在し、幼少期は突飛な発言が多かった。

この世界には存在しない物や事柄についてよく話していたが、前世は日本人であったようで日本に関する事が多かった。

そんな彼の事を周囲は『変わった子』と認識していたが、それでもこのクレイトン家の末っ子を家族は大層可愛がっていた。





 この国は一九世紀イギリスによく似ているが、しかし似ているというだけで全く別の世界である。

その最たるものが魔力であり魔術であった。

この世界の人間は誰しも大なり小なり魔力という力を体内に持っている。

その魔力を媒介とし、術式を用いることによって魔術という現象を起こすのだ。

 この国では一〇〇年程前に魔導革命と呼ばれる、魔術を駆使した技術革新が起こった。

魔導機関車というエルマーの前世で言うところの蒸気機関車のような鉄道が整備され、他にも革新的な魔導具が次々と発明された。

それらは全て一人の魔導具士によるものだったという。

エルマーは、その人こそチート異世界転生者だったのでは、と密かに予想していた。

魔導革命によって生まれたという魔導具は前世の記憶にあるものそっくりだし、何よりその頃広まった料理がどう見ても日本食だからだ。

ちなみに梅干しは現在でもこの世界にはない。

 もう一つ、この世界では誰しも持っているものがある。それが『スキル』と呼ばれるものだ。

エルマーのスキルは『鑑定』。

スキルには世に多大な影響を及ぼすものから、何のために存在するのか分からないようなものまで多岐に渡る。

その中で鑑定スキルは多様なシーンで重宝し引く手数多なのだが、当の本人は「転生チートと言うには地味だな」などと考えていた。

そうは言っても、エルマーのそれは少々様子がおかしかった。

鑑定スキルは人によってによって差はあるが、一般的にはこの位である。

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ベルティネッリの花壺(贋作)


ベルティネッリの代表作とも言える唐草模様の花壺を模造したもの。

弟子カルデローニによる作。

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それに対しエルマーの鑑定は目視では似たようなものだが、対象に触れるとより詳細が現れる。


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ベルティネッリの花壺(贋作)


ベルティネッリの代表作とも言える唐草模様の花壺を模造したもの。

ルグ暦一七〇八年に弟子カルデローニにより習作として作られた。

ベルティネッリ特有の美しい陶磁器の白さが良く再現されている。

評価額五万リブラ。

アブラハム・エインズワースの所有品であるが、息子のアンセル・エインズワースにより無断で持ち出された。

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余りにも詳細に鑑定できてしまう事に一時は騒然となった。

しかし特に危険なスキルという訳でもないので結局その後有耶無耶になった。

なおエルマーは将来食うに困らなそうでいいなと呑気に思っている。






 一二歳になるとエルマーはアカデミーに入学する事になった。

アカデミーは当初上流階級(アッパークラス)の子息子女のために作られた寄宿学校であったが、近年では裕福な中流階級にも開かれている。

そこでエルマーは生涯の友と言える人物に出会う。

 ヌーベス市街地にあるセントラル・スカーレット駅から魔導機関車で一時間程の場所に位置する”学園都市ローゼリア”。

その中にアカデミーは建てられている。

エルマー少年は期待に胸を膨らませて、四年間を過ごす学生寮の自室のドアを開いた。

そこで目に飛び込んできたのは、さらさらのローズピンクの髪に碧色の瞳。

まだローティーンながらそこはかとなく色気の漂う美少年だった。


「君が同室の人かい?俺はゲイリー・ハウエル。よろしくね」


ハウエルと言えば、貿易業で財を成し男爵位を得た成金貴族だ。

実家の商会では貴族向けの商いもしているため、エルマーは上流階級の家名は大体暗記していた。


(同室が爵位持ちの家のやつとか聞いてない!)


王族や高位の貴族と、下位の貴族から中流階級は寮が分かれているが、後者は身分に関係なく相部屋になっているのだ。

エルマーは早くも帰りたくなった。部屋を変えてほしいと思ったが、言える訳がない。


「よ、よろしく…」


 このような出会いではあったが、エルマーの持ち前の親しみやすさとゲイリーの気さくな人柄は案外相性が良かった。

なんだかんだと親友になり非常に刺激的な四年間を共に過ごしたのだった。

卒業後ゲイリーは高等教育機関であるカレッジに進んだが、エルマーは実家の商会に入り、数年後には独立した。

その間も二人の交流は続き、ちょっとした事件に何度か巻き込まれつつ、今に至る。



なんだかんだの部分は追々。

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