乙女ゲームのヒロインとして転移したのですが、攻略対象との年齢差が半端なかった
「えーとぉ、ここは、どこでしょうか?」
目の前にいる少年は眼鏡をくぃっと持ち上げバカにしたように答える。
「ここはエトワール帝国で、エキナセア伯爵の帝都屋敷。貴女はどこからここに入り込んだのですか」
「エトワール? エキナセア?」
私が???となっている間に侍女に呼ばれた護衛兵士に引っ張られ地下牢に入れられてしまった。
「はぁぁぁ、私、死ぬのかなぁ。でもあのこ、かわいかったからもう一度会いたかったなぁ」
そんなことをつぶやいていると白い服を着た老人が下りてきて牢の前に立った。
「ほっほっほっ、確かに渡り人ですな。ほれ、このオーブに反応がある。大切にもてなさないと何が起きるかわかりませんぞ」
ということで牢から出され今度は大切にもてなされた。
エキナセア伯爵はエトワール帝国の宰相で最初に出会ったメガネショタは嫡男のダニエルだった。
そして、ダニエルは騎士であるシモン、魔術師であるアクセル、神官のオーギュスタンと共に皇太子であるレオンの側近候補であった。
あれ? なんか、聞いたことがるような。
ダニエル達は10歳ながらすでに婚約をしていて、ダニエルの婚約者の名前はマリアン、レオンの婚約者はヴィクトリア、シモン、アクセル、オーギュスタンはそれぞれソフィア、マヤ、エルゼだった。
うん、みんななんか覚えている。そして私がアキコ? 乙女ゲームの登場人物だ。
すると、私はこの子たちの悩みを解決して結ばれるヒロイン?
馬鹿言っちゃいけない。この年の差、メガネショタのダニエルだけでなくショタ皇太子もショタ騎士もショタ魔術師もショタ神官もお断り。愛でるならいいけどね。
私は母親とも違う、かといって姉でもないポジションに落ち着いて彼らの悩みを解決することに力を注いだ。
彼等の悩み、それは婚約者との距離感。どうしても男尊女卑の世界なので婚約者に強く当たってしまう。これではいけない。
なので、スパルタで彼等に婚約者との交流を指導した。
正統派王子さまのレオン殿下やシモンたちは素直に従ってくれたけど、ツンデレメガネショタのダニエルはツンツンばかりでデレが出ない。
とうとう婚約者のマリアン様が爆発してしまい大泣きしたのをみてようやくデレた。それからはだんだんデレの時間が長くなり、見ている方が暑くなるくらいのラブラブになってくれた。もちろん、マリアン様の大泣きは私の仕込みよ。マリアン様役者ねぇ。今ではダニエルを掌でコロコロしてるわ。
そんなこんなで、ヒロインがいないゲームは平穏に進み数年後にみんな幸せな結婚式をあげることができた。
私? 私はショタたちの成長を愛でて……腹黒宰相閣下の手の中に落ちてしまいました。宰相閣下は大恋愛の末に結婚され早くに奥様を亡くされ、そのご結婚する気はなかったそうなの。ですが、どこを気に入られたのか私を気に入って下さり。ええ、あの手この手で囲い込まれてプロポーズにイエスって言ってしまいました。
おわり