07:目標
五度くらい繰り返した強制的な目覚めとも言える感覚が俺を襲う。
目を開けば食事処にいて、俺の目の前には料理が並んでいた。
一回目の世界をクリアしたご褒美かと思ったが出てきた文字から違うとすぐに分かった。
てか間髪入れずに次の世界なんだな、一回元の世界に返してくれてもいいのに。
『キミのロールは裏チートキャラだよ』
口調が変わっていることがまず気になるし、何よりまた俺は裏チートキャラになった。
『張り切ってロールを頑張ろー!』
えっ、本当にどうしたんだそっち側の人よ。まるで人が変わったかのような感じだ。
さっきまでの世界の人とは違う、感じが……さっきの文字の人、最後に『お疲れさまでした。そしていってらっしゃいませ』と言っていた。
もしかして世界ごとにやっている人が違う、とか? いや本当にこのゲームがどういう感じか分からないから何とも言えないか。
『キミがいるそこは世界五大国に認定されているプネウマ王国』
『プネウマ王国は魔法大国とも言われていて魔法の文明が他よりも発展している国だよ』
『流離いの冒険者であるキミはプネウマ王国に今さっきたどり着いてご飯を食べている最中だね』
『幼い頃にとある国に恐れられ故郷を焼かれ、その復讐として滅国を果たして流離っているのがキミ』
『今は放浪しながら魔物討伐を生業にしつつ、各地にいる人類にあだなす神仏魔を討滅しているよ』
なるほど、今回はそういう設定か。てか俺がやるキャラ、親族が死にすぎだろ。
『今回のプレイヤーはキミ含めて五人』
『キミ以外はキミのことが分からないよー』
今回も五人か。この人数になるように設定されているのだろうか。
『この世界のクリア条件は「魔神の召喚阻止」と「マギア機関の復活」』
『制限期間は「魔神の召喚」もしくは「マギア機関の主要人物死亡」』
『そんな時は最初に戻ってくるよ』
制限期間の件は一緒のようだがそのクリア条件が二つもある。
国が関係しているから厄介なのは間違いないが、魔神が出てくるのか……気になるな。
『失敗条件は全員の脱落』
『他プレイヤーが全員死亡した時には、キミの生死にかかわらず最初に戻すからねー』
前回と一緒だがここの脱落が分からない。死亡と違うみたいだが脱落とはなんだって話だ。教えてくれよーと思ってしまう。
『説明は以上!』
『難しい条件だけどロールをこなして頑張ってねー!』
前回の人とは違って少しだけ情報を出してくれるからありがたい。難しいんだな、この世界。
文字が出るのが終わったから目の前にある肉料理を冷めない内に食べつつステータスを見ることにした。
『天日晴明
Lv1(1/150)
攻撃:F
防御:F
速度:F
魔力:F
P:300
スキル
十二神獣・鬼神・神具武装・拳神・オメガの加護』
おっ、前のスキルがまだある。でもステータスの方がもとに……いや前はレベルは100までだったのに150までになっている。
これは前回のがあったからこうなっているのか? でも前のSランク報酬があったからな。どっちか分からない。
でも十二神獣の方はスキルを見ても名前は一緒だからな。もしかしたらレベルを上げやすいように前回のステータス値やレベルを基にしてレベルを1からにしているのかもしれない。
『十二神獣
暗黒能源異能神子
八咫鏡回帰神牛
風神雷神破天神虎
豪華絢爛吸魂女王神兎
天炎業火胎蔵再誕神龍
海吞枯渇星喰神蛇
星間跳躍流星神馬
乖離三界自在神羊
千手千具降魔神猿
反転暗転夢幻神鳥
斬切断絶剣璽神犬
衝斥虚空超新星神猪』
正直こいつらがいれば大体のことはできそうだが、魔物とやらを討伐して身体能力は確認しよう。
でだ、今回追加されたのは拳神とオメガの加護。
ポイントもあるからこの二つにポイントを割り振るのかと思ったがどうやら拳神しか割り振れないようだ。
前回手に入れた鬼神や神具武装を見てもポイントを割り振るということができないのが、前回でしかできないのかそもそもできないのかは今になっては分からない。
まあでも前回の経験からレベルがマックスまでに手に入れられるポイントはそのスキルをすべてマックスにできる分しかもらえないからどうしようもないか。
『拳神
拳力:岩を壊せる
拳域:一メートル
拳速:一秒間に二回』
……これを見て二つだけ懸念点がある。
一つは前回のステータスでは拳速はこれ以上に出せていたからその時はどうなるのか。
もう一つは前回の割り振れる最大ポイントは一万ポイントでレベルが1の時からそれは分かるようになっていた。
でも初期ポイントが300でレベルが上がるごとに300ずつ貰えるのだとしたら45000。それぞれ割り振るのだとしたら15000ずつ。
そんな中途半端になるのかと思ってしまうが……まあ先入観があるだけか。
「ごちそうさまでした」
味付けが違う感じがしたけど美味しくいただける味付けだった。
一番最初にやるべきこと。それは俺がお金を持っているのか探すところからだ。もしなければ食い逃げをしなければいけないが、そこら辺は十二神獣で大丈夫だが一応荷物を確認する。
食べている時に分かっていたが今の俺の服装はこの世界の俺に合わせて動きやすい格好になっていた。上半身に着ている服は布面積は小さく、下半身は民族衣装のようなズボンに動物の毛皮も巻いている。
そんなズボンにつり下がった袋にはちゃんとお金が入っている。
「……どこの国のだよ」
全く知らない硬貨だからそれがここで使えるお金なのか判断できなかった。
だが、そう考えた瞬間に知識が流れ込んできた。
この硬貨はこの国で使えるお金だとしっかりと分かった。流離いなだけあってそこら辺の知識は膨大にあるようで、どこの国でどの硬貨が使えるのかも教えてくれる。
お金があると安心したからさらに荷物を確認すれば天日晴明の冒険者カードも存在していた。
名前が変わるとか顔が変わるとかそういうのはなさそうだが、もしかすると俺がそう認識しているだけで世界ではちゃんと世界観に合った名前なのかもしれない。
今の俺の冒険者ランクはB。
俺の知識によればFからSまであるらしい。つまり俺は上から三番目で、中堅冒険者に当たるらしい。
それで、俺はこれからどうしたらいいんだろうかって時はロールミッションを見るに限る。
『ロールミッション:冒険者ギルドのパーティ募集掲示板を見る』
ぱ、ぱぱ、パーティ!? 俺裏チートキャラでパーティに入らなくてもいいくらいに強いよな!? それなのにパーティ!?
いや待て。他にも同時にロールミッションが存在している。
『ロールミッション:冒険者ギルドでBランククエストを受ける』
『ロールミッション:プネウマ王国から西に進んだところにある村にとらわれているスィオピ公爵家の一人娘を救う』
ふーむ、前回とは違って色々と情報が出てきて楽しいが少し情報を整理したいところだ。
こんなファンタジーな世界に来たのだから冒険者ギルドで色々したいわけだが、三つ目のロールミッションは今すぐにやらないといけないミッションじゃないか……?
とらわれているし公爵家の一人娘なのだからかなり不味い状況かもしれない。
でもそこに行って一人娘を救ったとして、どうして知ったのかということにならないか? まあ目撃者がいたとか言えばいいか。
何よりこういうロールミッションの方が面白そうだ。
てか表キャラたちもこんな感じでロールミッションを言い渡されているのだろうか。そうじゃなければこんな突拍子もないことを言われても難しいだろう。
お会計をして賑やかな食事処から出た俺は西に向かう。




