04:表プレイヤー
丁度良かった。戻ろうとしていたから無駄に戻る必要がなかった。
それにレベルが上がっているしポイントも振り分ける必要があった。だから何もこの戻りは問題がない。そう言い聞かせておこう。
でもあれだなー……かなりやっていたのに勝手に電源が切れてだいぶ前のセーブポイントで始める感覚だからイラっとするなー。
元の俺ならコントローラーを投げているところだ。
ま、そのサンドバッグはちょうどいいところに来てくれるからそれでストレス発散しよう。
『天日晴明
Lv69(69/100)
攻撃:B
防御:B
速度:B
魔力:B
P:72800
スキル
十二神獣』
意外にもこれまでロールミッションをこなしていた分でレベルがかなり上がっていた。
このポイントで確信したがレベルをマックスにすればスキルを全強化できるだけのポイントを貰える。
だから気にせずにポイントを振っても問題はなさそうだ。いや順番は必要だろうけど。
『十二神獣
環子
鏡牛
風神雷神破天神虎
魅兎
炎龍
水蛇
星馬
界羊
武猿
幻鳥
剣犬
暴猪』
この中で一番使いそうな奴を優先的に強化しないとな……うむ、どれも使いそうだな。どうせレベルマックスにするつもりだから上から順番に強化するか。
その結果この七つの神獣が二段階進化した。
『暗黒能源特異神子』
『八咫鏡回帰神牛』
『豪華絢爛吸魂女王神兎』
『天炎業火胎蔵再誕神龍』
『海呑枯渇星喰神蛇』
『星間跳躍流星神馬』
『乖離三界自在神羊』
これの他にまだ四体の神獣たちがいるんだよな。どんだけ進化するんだよ。
それに二段階進化させたことでできることが増え、ここからの選択の幅が広がった。
まあ今までできたこともあったがロールミッションに従がっていれば必要なかったから、これからは探索に有効な奴がいる。
そいつらを活用して最新の目的をこなすしかない。ま、とりあえずまたやり直さないとな……。
途中の監視部屋に行っても見取り図は見つからずに前回のところまでたどり着いた。
「暗黒能源特異神子」
俺は金の毛色のネズミを大量に顕現させた。
「行け」
そう指示を出せば一斉に道ある道に散っていく。俺が入れない隙間とかでも神子が行けるからな。
この神子は感覚を共有できる能力を持ち、一段階目の進化で無限に出せるようになる策敵兼陽動用の神獣だ。
神子に探索をさせつつ俺も探索をする。俺が行けるところは一つで上に出る階段だ。
おそらく鬼姫が行った先はこの一角から流れた先だ。そこに続いて残穢がある。だがそこは壁があって行けないし小さな穴があるだけだ。
そこには神子を向かわせているからそこで鬼姫やら魑魅魍魎の陣を見れるかもしれない。
ま、ここにいて神子の報告を待つとか言うつまらないことをするつもりはないから上に行ってどこに出るのかを確認する。
何気に外の様子を全く知らないからな。
悪霊たちも壁をすり抜けて体育館の中に入って来ていたから外の様子は見えていない。
階段を上がって上についている扉を押して開ければ部室のような場所だった。
「うお」
部室から出れば禍々しい空がそこにあった。
状況もそうだが世界も世紀末みたいだなー。雰囲気があって楽しくなってきた。
部室は部室棟だったらしく校舎とは離れた場所にあった。
魑魅魍魎の陣の一角から伸びていた先は校舎であることを理解したから俺が向かうべきなのはまず校舎だと思った。
「おっ、ついたか」
その前に小さな穴に入った神子が穴から広い空間に出たことを伝えられて視覚を共有する。
ネズミの視界だから見辛いが、間違いなく魑魅魍魎の陣があることは分かった。
神子に浮くように指示を出して上から見るようにすればその魑魅魍魎の陣が中央であることが分かった。
神子が来た場所からは流れが絶たれているが残り三つがそこに流れているのが分かる。つまりはこれが魑魅魍魎の陣の本体。
これを壊すのが最終目的だが、残りの三つを壊さないことには壊せないようになっているな。
形的にも元々は六つあったはずだ。俺が壊したのは一つで今あるのは三つだから、二つはあちら側が壊したということか。
どこに残りの三つがあるのか方角的に確認しようとすれば不意に神子が視線を動かした。
そこには悪霊ではない人間がいた。
地面にいるネズミの視界だからスカートを履いている彼女のパンツが見えることはご容赦してほしい。
王子様系な雰囲気を持つウルフカットのボーイッシュな女性だった。そしてその女性はすぐさま神子のことに気がついた様子だった。
俺は視覚だけではなく聴覚も同期する。
『……ネズミ? いや、それにしては神々しいような……』
おっ、神獣であることを理解できるとはやるな。
間違いなく彼女はプレイヤーだ。神子から通して見た光景だとしても彼女がプレイヤーだと理解できた。
『……キミが陣の一つを壊してくれたのかな?』
ネズミだというのに優しい声色で話しかけてくる女性。
だが神子は喋ることができないからな。言葉を理解することができるし意思もある。だが言葉で伝えることはできない。
だから陣を壊したのかという問いに答えるのは非常に難しいということだ。神子は壊していない。だが神子の術者である俺が壊したから神子が壊したと言っても間違いではない。
ま、肯定しておくのがいいだろうと思念で送れば神子は女性の問いに頷いた。
『言葉が分かるんだね、賢い子だ。それからありがとう。キミのおかげで僕は希望を持つことができた』
両手に神子を乗せる女性。よく見れば女性の顔は疲労の色が見える。疲労というよりもやつれている感じだ。
だがそれを少しでも和らげたみたいだ。向こうで何が起こっているのかは気になるが今はクリアが先だな。
『よければ僕と一緒に来てくれないだろうか? 僕だけでは悪霊がいるところに行けないんだ』
うん? そうなのか。でもそうか、陰陽師じゃなければ祓魔の術はないか。
それなら神子の一体を女性につければ女性がどこにいるか分かるし守ることができる。神子一体だけでも十分な戦闘力はあるし、それどころかかなりやべぇ能力を持っているのは神子だ。
『ありがとう。それなら行こう』
あっ、これってもしかしてこの回で終わらせることができるか? 神子をつけていれば女性が死ぬことがないからクリア目前じゃないか?
よし、そうと決まれば女性が行けない場所を行くか。
女性が行けない場所はもちろん悪霊がいっぱいいる場所だ。中央の魑魅魍魎の陣を理解しているからそこから残りの三つがどこにあるのか大まかな位置は把握した。
そこに向かって神子たちを向かわせ、俺はより多くの悪霊がいる場所に向かおう。
悪霊を祓えば女性も簡単に行けるようになるだろう。
『名前がまだだったね。僕は星宮輝夜。これからよろしく頼む』
神子に向かって自己紹介をしてくれて助かる。
『これはこの学校の見取り図で、この丸がされているところが魑魅魍魎の陣を構成するために必要な陣。この回りの陣を破壊しない限り中央の陣は壊すことができないようになっているらしい』
神子に説明してくれているから俺はそれをもとに他の神子たちを向かわせる。
ていうか陰陽師でもないのに詳しいな。俺の知識はそれを聞いて納得しているだけで役に立たない。
『僕たちプレイヤーが壊したのは二つ。そこはあまり悪霊がいなかったからすぐに行けたんだ。でも他の三つは悪霊がかなり居着いて近づけないし、残りの一つに至ってはどこにあるのかすら分からなかった。でもそれはキミが壊してくれて助かったよ』
他の陣は地下にないのか。もしかしたら地下のはもしもの時に壊されないようにしたのかもしれないな。
『これから行きたいのがここ』
星宮さんが示したのは第一校舎だった。
『ここは悪霊が多いけどまだマシなところなんだ。だから一緒に来てほしい』
そこね。それなら俺は残りの二つを狙うことにしよう。
いつの間にかもう物語も佳境を迎えているところだ。だからレベルを上げるべく悪霊を倒しまくってロールミッションである魑魅魍魎の陣の一つを壊さないと。




