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速さなら神馬に次ぐ速さであるためすぐに侵略者のもとにたどり着いた。
吠えた神虎から発せられる轟雷と暴風が侵略者たちを襲った。
「くっ! 魔女の仲間か!」
手加減をしなければ一撃で集団を殺し尽くせるが俺が手加減するように言って半分ほどで抑えた。
アナスタシアさんたちがマギア機関にいたから嫌われているのは分かった。だがどうして命を狙われるのかは分かっていないし魔女と呼ばれることも理解していない。
「戦いに来たのならそんなことはどうでもいいだろう?」
だがどうでもいい。今は戦いを楽しむだけだ。
「盗賊よりも楽しめそうだ」
あいつらが盗賊だったのかは未だに分かっていないが盗賊だろう。そう決めつけておこう。
「構えろ!」
さすが騎士団なだけはあって半数が死んでも統率はギリギリ取れている様子だ。
だから俺は正面から突っ込んで一番前にいる統率者らしき男に殴りかかる。
「敵正面一人! 囲め!」
指示を出している男は剣の射程に入った俺に剣を振るう。
受けてもいいかと思ったが最初はやっぱり俺の一撃からだな。
それを避け懐に入る。すぐに引こうとする男の胴体を殴り飛ばした。
男は後ろの部下と一緒に後方まで吹き飛ぶ。
「貴様ぁ!」
俺をすぐに囲んで数人で俺に斬りかかる騎士たち。
「おいおい、冗談はよしてくれよ。これが全力なのか?」
剣は一切俺の体を傷つけず、割れている剣もあった。
「もっと頑張れよ!」
一人の男の腕をつかみ、地面が揺れるほど叩きつけた。
丁度良かったからそいつを振り回して周りにいる騎士たちもついでにぐちゃぐちゃにすることにした。
「あ? ……はいはい、分かった分かった」
次に入ろうとしたところで神猿がうるさく主張してきたから顕現させればすぐさま騎士を殺しながら武器を奪っていく神猿。
さらに端っこから雷を纏って騎士に襲い掛かる神虎。
「さぁ、魔女の仲間だぞ? 殺さないといけないんだろう? 頑張らないとな?」
騎士たちを鼓舞するように言ってやるが一向にこちらに来る気配がなかった。だから怯んでいる一人の騎士の兜をつかみ神具武装で変化させることで頭蓋を貫かせる棘を形成させた。
騎士は力なく倒れ兜の隙間から血を流している。
「来ないのは論外だぞ」
ここには戦いに、殺しに来ているのだから止まっているのは論外だ。
「ひ、ひぃ! 撤退だ! 撤退しろ!」
騎士の一人がそう言い出すと全員が逃げ始めたがそれも論外。戦いに来ているのに相手が強いと分かれば逃げるのはあり得ない。
弱いから戦う。そんな戦いしょうもないだろう。
「おっ」
少しやる気がなくなったから神蛇で一掃しようかと思ったら逃げていた騎士たちがもれなく倒れた。
そしてただ一人が立っていて、ローブを着ていて体格しか分からないが男だ。騎士とは違う雰囲気がある。
「せめて我が神の力となれ、愚か者どもよ」
間違いなくあいつが騎士たちを殺し、生気を吸っているのは分かった。手の甲に書かれている紋章が怪しく光っているのが見える。
「お前は、楽しめそうだ」
俺が謎の男に近づこうとする前に男が近づいてくるのが分かったから何もせずに近づかれ、大人しく蹴られた。
「おぉ……!」
前回と今回合わせてもこれが初めてのダメージで少し吹き飛ばされた。
「お前の享楽に付き合うつもりはない。さっさと終わらせる」
「おいおい、冗談言うなよ。勝負はこれからだぞ」
「ッ!?」
俺が軽々と立ったことにひどく驚いた様子をしているが、こんなものはまだ序の口だろう。
「一発には、一発だ」
男が避ける間もなく男の顔面に拳を叩きつけた。
謎の男は地面を何度もバウンドしながら転がっていくが俺はそれを追いかける。
さらに追撃しようとしたところで男から火の玉が放たれるが関係ない。それを殴り消し、男の腹に蹴りを入れて止める。
さらにさらに追撃をしようとしたところで地面が割れたから一度引けば謎の男は体勢を整えた様子だった。
「貴様……! この力、神の使いか……!」
神の使いと聞けばこの世界に俺たちを送り込んだのが神だとすればそれは当たりだ。
だが俺のスキルにはほとんど神がついている。十二神獣、鬼神、拳神と。だから俺本来の力を勘違いしているのかもしれないがそんなことはどうでもいい。
「そうだったら?」
謎の男は俺の問いに答えずに逃亡を図った。
「逃がすわけないだろ」
神羊の力を使いこの場所だけを別次元に移した。
「さぁ、思う存分戦おうじゃないか」
まだ魔法? を使って逃げようとしている謎の男に殴り飛ばす。
「ここから出ることは不可能だぞ。俺を殺そうが殺さまいがこの空間は隔離されている。ま、時間をかければできるかもしれないが、俺がいる間は不可能だろうな」
俺が懇切丁寧に説明してあげれば、立ち上がった男は邪気を解放させた。
「邪魔を、するなッ……!」
ようやくやる気になってくれたことに俺は自身の口角があがったのが分かった。
邪気を纏った男は俺に殴りかかってきたから殴り合いのバトルになる。純粋な殴り合いは俺の望むところだ。
今までの相手で一番強いのがこいつだ。動きもパワーも異常だと言える。こいつが何なのか気になりはするがそんなの二の次だ。
だが、まだまだ俺を倒すには及ばないし段々と男が弱くなっているのが分かる。一撃を与えるごとに力が弱っているから気がつく。
「くっ! 力が……まさか、これは……!?」
「どうやらお前の天敵らしいな、俺は」
この世界の俺のスキルの一つ、オメガの加護は神格相手に絶対的な攻撃力を持っている。
本来であれば終わらせることができない神格を終わらせ、神殺しの力を持っているのがオメガの加護。
だからこの男が使っている力は神の力なのだろう。楽しめたがここら辺で終わりか。
「終わりだ」
力が弱っていなければ避けれる攻撃も今はすでに避けることは叶わず、男は俺の暴力の嵐になす術なくすべて受けた。
そしてすでに虫の息である男の心臓を拳で貫いて息の根を止めた。
「ん? 消しておこうか」
男にとどめを刺せば男から邪気が溢れ出て行き場をなくしているようだったから殴って消してあげた。
これを消せば表キャラたちが楽になるかもしれないと思えば、ロールミッションがクリアされていた。
『ロールミッション:魔神アスタロトの眷属を撃破』
『ロールミッション:魔神アスタロトの魔力を五%消失』
魔神アスタロト……強そうだな。この魔神が今回俺たちが召喚を止めないといけない魔神ということか。
さっきの男が持っていた力が五%ということは魔神アスタロト本体はかなり強いってことだよな……戦ってみたいなぁ……!
でも失敗になるんだよなと思いながら次元をもとに戻せばまたしても抱えきれないほどの武器を持った神猿が待っていた。
「ウキ!」
「……ハァ、分かった分かった」
この世界が終わるまでに神具が役に立たなかったらすべて捨ててやろう。そう決意しながら神猿の抱えている武器をすべて神具に変えた。
満足して神具をうっとりと見つめている神猿を無視して神虎共に家に戻る。
次元を越えてアナスタシアさんたちの私有地に入ればエイミーさんとエレナさんのお出迎えを受けた。
「おかえりなさい晴明様! さっきの戦いすごかったですね!」
「さすが王子様です……!」
エイミーさんがぐいぐいと俺に近寄ってきて、エレナさんはその後ろでキラキラとした目で俺のことを見てくる。
「戦いを見ていたんですか」
あんなグロい戦いを見られて、それをすごいと言われれば本当に見ていたのかと思ってしまう。
「一騎当千の言葉は晴明様にふさわしいです! 晴明様が敵をつかんで振り回す様はまさに鬼神のごとき強さでした!」
エイミーさんの興奮した言葉に同意するようにエレナさんはすごく頷いている。
てか、本当に見ていたんだな。そしてそれをすごいと言える辺りたぶんこの世界の価値観なんだと理解した。
まああの村でぐちゃぐちゃになった死体を見てなんともなさそうな感じをしている人が多かったからそういうことなんだろう。
「ま、俺は強いですから」
「はい! 知っています!」
「王子様は最強です……!」
おぉ、全肯定がここにあったか。
まあともかく俺たち三人はアナスタシアさんたちが待つ屋敷に行くことにした。




