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RPGみたいな世界で二周しないと出てこない裏チートキャラになりました。  作者: 二十口山椒
第二世界

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11

「入ります」

「行きなさい」


 俺はアナスタシアさんをお姫様抱っこしたままスィオピ家に突入する。


「そこをまっすぐ進みなさい」


 どこに誰がいるのかが分からないからアナスタシアさんの指示通りに動く。


 そして先には執事服を着た使用人が歩いているのが見えた。俺たちの姿は消えているから俺たちが見つかることを気にすることはない。


「裏切り者よ」

「了解です」


 すぐさま神鳥の能力をかけて次に移る。


「あの部屋にいるメイドは連れて行くわ」

「そのままつかんで連れて行ってもいいですか?」

「丁重に運びなさい」


 アナスタシアさんが自分で歩くという選択肢はないんだなと少し思いつつ部屋にいる女性を神猿の手でつかんで部屋から出した。


 部屋から出てきた女性は酷く怯えた表情を浮かべていたがアナスタシアさんを見て驚いた顔に変わる。


「お嬢様!?」

「話は後よ、ケイ。王子様」

「ッ!? かしこまりました」


 王子様っていうのは何かの暗号なのか? 俺を王子様と指していたが、まるで俺が来ることを予想していた口ぶりだ。


 さらにメイドさんを二人回収するがどうしてメイドさんばかりなのだろうか。まあメイドさんはいっぱいいる方がいいものだ。


「この三人が回収する使用人。あとはお父様とお母様を回収するだけね」

「随分と簡単な仕事ですね」

「……それを言えるのは王子様の力のおかげだと思いますが」


 ボソッとケイと呼ばれたメイドさんが呟く。


 だが俺としてはもう少し難易度を上げてほしいとは思うところだ。俺が手を抜くのは違う。俺は全力でやって難易度が高い、ということじゃなければ面白くない。


 道行く使用人やら部屋の使用人をすべて洗脳しながら目的の部屋にたどり着いた。


 部屋に入れば険しい表情をしている中年の男性と女性、そして無表情で虚空を見つめているアナスタシアさんに似た女の子がいた。


「お父様、お母様。ただいま戻りました」


 すぐに二人の姿を隠せば能力をかけている全員がお互いのことを見えるようになる。


「戻ったかアナスタシア! 心配したぞ……!」

「よく戻ってきてくれたわ……!」


 アナスタシアさんが二人に駆けよればアナスタシアさんを抱きしめる二人。


「お話は後です。今はここから出ましょう」

「……ついに、その時が来たのだな」

「はい」


 アナスタシアさんのお父さんがこちらを見て意味深な言葉を言った。


「エレナ、行くわよ」

「……お姉様」


 ソファに座ってボーっとしていた女の子はアナスタシアさんの方を向き、そして俺を見た。


「もしや、王子様が……」

「えぇ、時が来たわ。立ちなさい」


 俺のことをジーっと見ていたが徐に立ち上がった女の子。


「こちらはもう準備はできている」


 すでに荷物が纏めているお父さん。


「そう言えばメイドさんたちは持っていくものはないんですか?」

「私たちもすでに持ち出すものは肌身離さず持っていますのでお気遣いなく」


 そうなのか。というかそれを聞いたらこの俺の行動、ロールミッションは彼女らにとって予定調和なのかもしれない。


「準備がいいのなら飛びます」

「どういう――」


 アナスタシアさんが疑問を口にする前に俺たちは神蛇の上に移動し終えた。


「――こと?」

「神羊は空間を操る能力です。場所さえ分かればどこへでも飛ぶことができます」


 でもこれは十二神獣の力を引き出している状態だから能力を百%使えているわけではない。


 神羊を顕現させればどこへだろうが飛ぶことはできるが、顕現よりもこちらの方が力の消費は少ないから引き出しているだけに過ぎない。


 何より文句を言われないし。


「おかえりなさい晴明様!」

「はい、ただいまです」


 エイミーさんに返事をして周りを見れば無事な様子だし何なら神馬を触っていたようだ。


 性格がいい神馬を置いて正解だった。他にも神牛やら神虎なら全然平気だろうな。


「アナスタシア、ここにいる娘たちは」

「はい。一緒に捕まっていた子たちです」


 ここに残っていた女性たちを見たアナスタシアさんのお母さんがアナスタシアさんに問いかけていた。


 あの人さらいはもしかして単なる人さらいではなく、何らかの意図があってこの女性たちを捕まえていたのか? そう考える方が妥当だな。


「それでこれからどうするんですか?」


 一先ず狙われていいる人たちの安全は確保できたわけだ。これからのアナスタシアさんたちの行動を知りたい。


「予定通りスィオピ家の所有地に向かうわ」

「ここから遠い感じですか?」

「馬車で丸三日ね」

「あー、それなら神羊を出します」


 囚われていた女性たちのことに早く安全な場所にいた方が安心できるだろうから、神羊を出すかぁ……。


「神羊」


 顕現させるも俺の近くに出てくるのではなく上空から降臨するように現れる。


「……なにあれ?」

「神獣ですよ。いや珍獣ですかね」


 思わずアナスタシアさんが呟く。


 黄金の羊はゲートから出ている鎖に吊るされてブラブラとしていた。胴体に括られて鎖はあいつが個人的にやっていることだ。


「なにあれ?」

「神羊はちょっと癖があるんですよねー。まあ満足するまで待ってください」

「あれを見続けないといけないの? この私が?」

「まー、ボーっと見ていれば愛着がわくものですよ」


 神羊は遠心力を利用して円を描くようにぐるぐると回り始めた。


 手足をバタバタとさせて嬉しそうにしているあいつが空間を操る神獣、乖離三界自在神羊。


 たぶん相手にしたら一番攻略が難しい神獣だ。


「か、可愛い……!」


 神羊を見て可愛いと言うのは今まで俺のことをジッと見ていたアナスタシアさんの妹、エレナさんだ。


 儀式のような時間を過ごしたがまあ三分もかかっていないから良しとしよう。その間これからすることをアナスタシアさんサイドで話していたし無駄な時間というわけではなかった。


「ようやくね。それでこの子にお願いすればいいのかしら?」

「はい。行きたいところを思い浮かべてもらえれば行けます。神羊、頼んだぞ」


 任せろと言った感じでドヤっている神羊だが能力は確かだ。


「思い浮かべた」

「神羊、飛べ」


 一気に光景は変わり、すぐ近くに大きな屋敷が中央にあり周りにポツポツと家がある場所に移動した。


「あそこが避難場所ですか」

「避難場所ではないわ、新しい家よ」


 それにしては人が住んでいる感じが全くないな……。


「あそこって人が住んでいるんですか?」

「住んでいないわよ。ここは私がもしもの時に作っただけの場所だから」


 やっぱりアナスタシアさんが捕まっていたことは予定調和みたいだな。これだけ準備がいいんだからそれ以外に考えられない。


「ん? なんか来てますよ」


 この場所に向かっている集団が見えた。騎士団のように見えるあれももしやアナスタシアさんが手配したものか?


「……早過ぎよ……!」


 歯ぎしりしている姿を見て完全にアナスタシアさんの予想外のことだと理解した。


 それにしてもあれだけの数がアナスタシアさんたちに向けてくるとは、相当敵は多いんだな。


「敵ですか」

「ここをバレるのは時間の問題だと思っていた。でもこれはいくらなんでも……」

「ま、あれは俺がどうにかします。中に入ってください」

「まだ結界を作り終えていないから別の場所に行かないといけないわ……」

「アナスタシア、そんなことはもうできないぞ。どうするんだ」


 アナスタシアさんのお父さんも焦った感じが出ているし俺以外がかなり焦っている。


「ここを守ることができればいいんですか?」

「……それだけじゃないわ。ここが分からないようにする結界も必要なのよ。それを設置するまでに時間が必要だからバレずに行ったのに……!」

「要するに、ここが分からないようにして守ることができればいいんですか? それなら簡単ですよ」

「えっ」


 アナスタシアさんたちは逃げるための場所を確保しようとしていたんだな。


 それならと俺は神獣を顕現させる。


「神鳥」


 ホントに使い勝手が良くて性格がいいから後で好きな物を食べさせてあげたい。


「神鳥はこの場所がたどり着かないようにしろ。神羊は乖離させろ」


 神鳥の能力を使えばこちらに来ていたやつらはどこに行けばいいのか分からずにさ迷い始めた。


「こんなことは神鳥の十八番ですよ」

「場所が分かっているのに分からなくなっている……?」

「そうですよ。もう場所が分かっていてもここを見つけることができなくなりました」

「さすが王子様ね。中に入りましょう」


 神蛇が建物に近づき、俺たちを下ろせば戻った。


「俺はあれと遊んできます」

「えぇ、行きなさい」


 神馬で行こうかと思ったがやる気があるやつがいた。


「神虎」


 前回ぶりに神虎を顕現させたが前回よりも大きくなっていることはさておき、俺は神虎に乗る。


「さぁ、行くぞ」


 吠えることで返事をした神虎は侵略者の方に空を蹴りながら駆け始めた。

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