お土産
平助さんはお土産屋さんに入って行く。僕達は後を着いて行くと、平助さんは立ち止まった。平助さんの前には真っ白なバスタオルが山積みされている。
バスタオルの前に、小さな手書きのオススメのメッセージが書かれたカードが置かれている。
『吸水性抜群! 河童に大人気!』
「河童に大人気……」
――アレってコレのことだったんだ……。
「はい! 河童に大人気でございますよ」
「確かに、川で泳いだ後なんか役に立ちそうですよね」
「そうなんですよ! 一希様、分かって下さいますか?」
「そうですね……人間もお風呂上がりとかに使えそうですね」
「でしょう?!」
平助さんは得意げに胸を張る。僕はバスタオルの隅に小さく着いているアルファベットに気付く。
「平助さん、このYはなんですか?」
「それは、妖怪株式会社の頭文字のYです」
「そうなんですか?」
「はい、その程度なら人間にも怪しまれないでしょう」
「そうですね、もし聞かれたら作った人の名前とでも言います」
「そうですね、それが良いでしょう」
――せっかく勧めてもらったんだし、買ってくかな?
「透子さん、この世界のお金ってどうなってるんですか?」
「お金? 両替しないと人間界のお金は使えないよ。あ、でも私立て替えるよ? 両替所遠いから」
「それならお言葉に甘えて、人間界へ戻ったら返しますね」
「うん、いくついる?」
「そうですね……せっかくなので家で使う分と、友達にあげる分……で2つですね」
「分かった、ちょっと待ってて?」
「はい」
透子さんは混雑している人込みの間をぬって、レジへ向かった。少しすると包を抱えた透子さんが戻って来た。
「ありがとうございます、重くないですか?」
「平気だよ、バスタオルだし」
「持ちますよ」
「う〜ん、でも一希くんすでに私の荷物持ってるよ?」
「そうでした……」
自分が持てる状況じゃないのに、僕はがっかりしてしまう。
「気にしないで、大丈夫だから」
透子さんは僕に気遣ってそう言ってくれる。
「はい」
「きっと、喜ばれますよ」
平助さんは僕に向かって笑顔を向けながらそう言ってくれた。
「はい、ありがとうございます」
「いえいえ、では、私はこれで。そろそろお客様がお見えになりますので」
平助さんは僕達にお辞儀をしてお店から出て行った。僕達は今度はお店の裏口のドアを開けると、白雪家の部屋へ戻った。
「便利ですね、これ」
「でしょ? 交通費かからないしね」
「そうですね、透子さん、楽しかったです。ありがとうございました」
僕は透子さんに会釈をする。
「ううん、私の方こそありがとう。今度また、行きたいね」
「はい!」
「おや、帰って来たのかい?」
僕達の部屋の外から雪乃さんの声が聞こえてきた。襖が開いて雪乃さんが入って来る。
「おかえり」
「ただいま、おばあちゃん」
「戻りました」
僕達は笑顔で挨拶すると、僕達を見た雪乃さんは満足そうに微笑んだ。
「楽しかったかい?」
「うん! とても」
「はい、楽しかったです!」
「それは良かった」
うなずきながら雪乃さんは答える。
「今日は泊まって行ったらどうだい?」
「いえ、今日は帰ります。ありがとうございました」
その後僕は雪乃さんと透子さんに別れを告げて家に帰った。




