表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/41

お礼

 透子さんから翌日、メッセージが届いた。

 テレビのニュースでは、秋に関東で雪が降ったと騒ぎになっていた。僕は朝食を取りながらメッセージを読んでいる。


『昨日はありがとう。おばあちゃん、良くなったよ!』


『良かったですね!』


『一希くんのおかげ! 本当にありがとう!』


『それでね、元気になったらお礼がしたいっておばあちゃんが言ってるの。お母さんも一度会っておきたいって言ってるんだけど、良いかな?』


 透子さんの送ってくれたはてなマークのスタンプのキャラクターがとぼけた顔をしていて、笑ってしまう。


『良いですよ』


「一希、何1人で笑ってるの?」


 祖母に突っ込まれてしまうが気にしない。


「透子さんのスタンプに笑っちゃったんだよ」


 僕はメッセージを返信して朝食を食べ続ける。

 僕と透子さんの休みが一緒の日に、僕達は透子さんの自宅へ行くことになった。



* * *



 この間は透子さんが僕の家に来て、とても緊張していたけれど、今度は僕が緊張している。つい最近来たばかりとはいえ、挨拶となると何で緊張するのか分からない。


 僕は大きく深呼吸をする。


「大丈夫? 一希くん」


「……はい、大丈夫です」


 そう言っている自分の声が微かにかすれている。


「大丈夫よ、家の家族は好意的だから」


「はい、それは何となく分かるんですけど……この間と逆ですね。この間は透子さんが緊張して、今度は僕が緊張してて……」


「そうだね」


 言いながら透子さんは微笑んでくれる。お茶菓子でも用意しようかと思い、とりあえずアイスクリームを買ってみた。


「透子さん、アイスクリーム買ってきたんですけど、皆食べられますか?」


「え? アイスクリーム用意してくれたの? ありがとう! おばあちゃん達、喜ぶよ!」


 そう言われて僕は安心した。2人で歩いているとすぐに玄関へたどり着いた。


 透子さんは玄関の戸を開けると、“ただいまー”と中へ声をかける。こうして見ると、普通の人間と何も変わらない。この間はあまり見る暇がなかったけれど、結構大きな屋敷のような作りになっている。

 今どきの洋風の造りの家とは違って、なんだかほっとする。


「おかえりなさい」


 どこかの部屋から紗雪さんが出てきて僕達に顔を見せる。


「ただいま」


「お邪魔します」


「どうぞ」


 僕達は靴を脱ぎ3人で部屋へと移動する。襖が沢山あり、何が何の部屋なのか分からない。


「迷子にならないでね」


「はい」


「なっても見つけるから大丈夫だけど。どこも同じように見えるでしょ?」


「はい、襖の部屋だらけですからね」


「ふふふ、でしょ?」


 いくつかの部屋を通り過ぎて、紗雪さんと透子さんは立ち止まった。


「おばあちゃん、お連れしました」


「どうぞ」


 透子さんが声をかけると中から返事が聞こえた。とてもハキハキとした声に聞こえる。


「失礼します」


「失礼します」


 僕は透子さんに続いて中へ入った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ