季節外れの……
僕達は再び電車を乗り継いで、透子さんの自宅へ向かった。以前は玄関までだったが、今回は緊急事態ということもあり、一緒に中へ上がらせてもらう。
日本家屋の為、部屋は全て和室のようだ。
「ごめんね、一希くん。中まで連れて来て」
「いいえ、僕の方こそ上がって良かったのか……」
「良いの」
廊下を歩きながら僕と透子さんは会話をする。いくつもある襖を通り過ぎ1つの部屋で透子さんは立ち止まる。
「おばあちゃん?」
部屋の前で声をかけるものの、返事はない。透子さんが襖を開けようとしていると女性が現れた。見た所透子さんのお姉さんのように見える。彼女もまた美しい。
――やっぱり透子さんの方が良い。
内心そんなことを考えてしまった。
「透子?」
「お母さん」
「え?」
――お母さん?! 若すぎる!
と思ったものの僕は気を取り直す。
――そうだった。彼女達は人間じゃなかった。忘れてた。
「外に雪が降ってきたの。おばあちゃんに何があったの?」
「風邪を引いたみたいよ」
「そんな……」
透子さんは一瞬で青ざめてしまう。
――風邪の何がそんなに駄目なんだろう?
「貴方が一希くん?」
突然僕の名前を呼ばれて僕は驚いてしまう。
「は、はい。そうです。初めまして。勝手に上がらせて頂いてます」
「こちらへどうぞ」
案内されたのは客室なのか、和室に綺麗な畳が敷き詰められていて、真ん中にちゃぶ台が置かれている。
3人そろって座ると、透子さんのお母さんは話し始めた。
「初めまして。私は透子の母の紗雪です。透子から話は聞いています」
「そうですか。改めまして、僕は近田 一希です。よろしくお願いします」
「ええ。今、私の母は風邪を引いてしまったの」
「はい」
「風邪は人間にとっては、そんなに重大なことにはならないことの方が多いけれど……雪女にとっては命に関わりかねないの」
「何でですか?」
「雪女は人間とは体の構造自体違うの。妖怪たからね。だから、人間の病にかかると雪女としての体に相当な負担がかかるの」
「……そうなんですか」
「ええ」
「何か方法はないんですか?」
僕は紗雪さんに問いかける。
「人間の薬は合わないから……」
「でも、透子さん前に風邪引きましたよね?」
「うん、私はほら、ほぼ人間だから人間の薬も効くの。ちなみにお母さんも雪女のハーフだけど、ほぼ人間だから大丈夫」
「そうなんですね。……それなら、薬膳ならどうですか?」
「薬膳?」
「それも駄目ですか?」
紗雪さんは考え込んでいるようだ。透子さんも視線を伏せ考えている。
「お母さん、試してみよう?」
「そうね」
「今の状態はどんな感じですか?」
僕は透子さんのお母さんに深々とお辞儀をした。




