秋のデート2
「そう固くならなくても良い。透子様とは恋仲なのか?」
「いいえ、まだです」
「そうか」
「あ、あのね、彼は一希くんと言うの」
「イツキ?」
「そう」
「分かった」
「ならばイツキ」
――いきなり呼び捨て?
「はい」
「透子様をよろしくお願いします」
「……頼りない気もするが、透子様が選ばれた方だ。信じよう。イツキ、透子様をよろしくな」
2人の遣いに僕は頭を下げられてしまう。
「分かりました、透子さんを僕が守ります」
2人は僕の心の奥を見透かすように僕の瞳を見つめた。
――嘘ついたらバレそうだな。
そんなことが頭をよぎったけど、2人は満足そうに笑ってくれた。
「イツキは綺麗な瞳をしているな。うむ、その言葉、信じよう」
「信じよう」
2人はそう言うと姿を消した。辺りは僕達の他には誰もいない。
「驚いたでしょ?」
「はい。キャパシティオーバーです」
「ふふふ。だよね。でも、あの子達の存在にはそんなに驚いてなかったね?」
「……目の前にいますから、人以外の存在を信じざるを得なくなりました」
「まぁね。狐意外にも八百万の神々も至る所にいるからね」
「透子さんはそういう神々とも知り合いなんですか?」
「うん、私達の寿命は長いから。私が産まれる前からずっと繋がってる御縁があるからね。私達みたいな種族はそれぞれ助け合っているの。親戚付き合いみたいな感覚かな?」
「親戚ですか?」
「うん、ごめんね、ここで時間取っちゃって。参拝しよう?」
「はい」
僕達は二礼二拍手一礼をする。
『先程はありがとうございました。僕は透子さんと必ず幸せになります!』
心の中で僕は宣言をした。
隣にいる透子さんを見ると、まだ何かを祈っているようだ。僕は邪魔をしないように静かにその場を離れた。
心地よい風が吹いている。少し風は冷たいけれど、暖かい日差しのお陰で寒さは感じない。神社を囲んでいる森林から神聖な空気を感じる気がする。
「一希くん」
「透子さん」
「え?」
「透子さんって呼んでも良いですか?」
僕は無意識に呼んでしまった為、確認をする。
「うん」
嬉しそうにはにかむ透子さんを見て、僕も温かな気持ちになって笑顔になる。
こんなふうに過ごす時間がずっと続けば良いのに……と何となく切なくなるものの僕は自分を奮い立たせる。
――自分の未来の為に進学するって決めたんだ。寂しいけど再会するんだから。
「透子さん」
「何?」
「僕、頑張ります」
「何を?」
「勉強もですけど、透子さんにふさわしい男になれるように」
「一希くん……一希くんは今だって充分私にふさわしいと思うよ」
透子さんは僕に向かって優しい笑みを浮かべてくれる。
「駄目なんです。僕が嫌なんです。堂々と透子さんの横にいられるようになりたいです」
「うん、分かった。待ってるね、一希くんがそうなれるように」
「はい!」
僕達は日が暮れて来た為、帰ろうとし始める。すると、雲行きが突然怪しくなり、季節外れの雪が降り始めた。
「え? 雪?」
僕は驚いて声に出すと、透子さんの顔色が変わった。
「何で? 嫌な予感がする」




