ずっと想っていた
リリーは僕の瞳をしっかり見つめながら、うるうると潤んだ瞳で告げた。
「……それは出来ないよ」
僕は苦しくて喉が締め付けられながら、何とか声を絞り出す。
「私、諦めないから」
リリーはそう言うと屋上から出て行った。一人残された僕はこの状況を飲み込めずにいた。
――ずっと、幼なじみだと思っていたのに。
それは、僕だけだったのか。だからって、リリーに恋をしろと言われてもそういう風には見られない。僕は思わず屋上の地面の上にしゃがみ込んでしまう。
「リリー、諦めないとか言ってたけど、何をする気なんだ?」
* * *
リリーは僕がいる日のバイト先へ客として来た。
――何がしたいんだ? 透子さんは中にいるし大丈夫かな?
そう思っていると透子さんはレジに入ることになりリリーは食事を終え、透子さんのいるレジへ向かった。僕はハラハラしながら見守っていると、そのままリリーは出て行った。
――あれ? やっぱり何がしたいんだ?
リリーは透子さんのことを観察しているようだ。透子さんの帰りの時間までリリーは待っていた。僕はたまたまその現場を見てしまった。
「お疲れ様です」
僕と透子さんは一緒の時間になり、帰ろうとしていた。すると、外に人影が見え近付いて来た。
「待ってました。……白雪さん」
透子さんに向かってリリーは話しかける。僕のことは眼中にないらしい。
「お願いします! 一希のこと諦めて下さい!」
「え? 何を言ってるの?」
「私、一希のことが好きなんです。だから、諦めて下さい!」
僕と透子さんとリリー。3人だけしかここにはいない。
「えっとね、私と近田くんは付き合ってる訳じゃないの」
「知ってます。でも、どうしても諦めきれない!」
「うん。そうだよね。だけどごめんね。卒業したら付き合おうって約束してるの。だから、ごめんなさい」
透子さんはリリーに頭を下げた。
「リリー、ごめん! 本当に……僕は白雪さんじゃないと駄目なんだ」
「……どうしても、白雪さんじゃないと駄目なの?」
「うん。リリーが駄目なんじゃない。僕が白雪さんじゃなきゃ嫌なんだ」
僕はリリーを傷付けたくなかったけど、勇気を振り絞って伝えた。
「……分かった」
リリーはぽつりとつぶやく。
「一希、しばらくはいつも通りに出来ないと思うけど、気にしないで……」
「うん」
「……白雪さん、ごめんなさい。わがまま言って。それと……この間はおばさんなんて言って」
「ううん、大丈夫」
「先に帰るね」
「うん、気をつけて」
リリーはそう言って帰って行った。僕はリリーを傷つけ、申し訳ない気持ちで一杯になっていた。
それから数日後。リリーが知らない男子と歩いているのを見かけた。聞くところによると、その男子に告白されたらしい。リリーはとりあえず友達からと、付き合うことにしたそうだ。
――リリーが良いなら良いけど。あれだけ諦められないって言ってたくせに……。
少しだけ僕は複雑な気持ちになっていた。




