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海と少女 参照ライトノベル作法研究所

作者: めんま

いつも、海で散歩するのが僕の日課だ。ある日、いつも散歩している道の堤防で中学生くらいの少女が釣りをしていた。彼女は、沖縄の浜辺の砂のように白くて透き通った肌、少し茶色がかった長い髪、きゃしゃな体。僕は彼女に一目ぼれした。僕は毎朝彼女を見に堤防に行った。しかし、声をかけることが僕にはできなかった。「彼女に声をききたい。」「彼女の笑顔が見たい。」そう思わないときはなかった。しかし、そうするには大きな問題があった。自分には勇気がなかったのだ。すぐそばを通るのに、すぐそこにいるのにあと一歩のところで勇気が出ず踏みとどまってしまうのだ。その反面それでもいいと思っている自分もいた。なぜならば、彼女の声を聞けば、それが彼女に会える最後の時だと確信していたからだ。

しかし、ある日事件が起きた。彼女が来なかったのだ。焦燥感を感じつつも、「明日はきっと来るだろう」という確証のない思いにすがった。次の日の朝も彼女は来なかった。時間が長く感じる。彼女はいつになったら来るのだろうか。もしかしたら二度と来ないのではないだろうか。そんなことを考えると、今まで自分が勇気を出さなかったことに深く後悔した。そして、もし彼女に会えたなら次こそは勇気を出そう。そう決心した。

次の日彼女は来た。いつも通り、釣り具の準備をして、竿を振りリールを回す。僕は歓喜に満ち溢れた。よかった。たまたまだ。たまたまこれなかったんだ!決心が揺らぎそうになる。彼女と会えるのが最後だと考えると尻込みしてしまう。そんな自分を振り払い。覚悟を決めた。僕は真っ青な世界の中にきらきらと光るものを見つける。僕は思い切りその光るものを追いかけた。最後だ。僕の口付近に来る。僕は思いっきり口を開きそれを丸のみにした。「当たった!」。そんな声とともに僕は空中に飛び出た。

気づくと灼熱のアスファルトの上いた。熱い。全身がひどいやけどを負った。でも、やっと彼女の声が聞けた。ああ僕の想像よりもきれいで透き通るような声だ。そして何よりも、彼女の笑った顔を見てすべてが救われた。迷うこと必要などなかった。後悔など微塵もなかった。「よかったー!きょう釣れなかったらママに釣りするの禁止させられるところだったのよねー。」うれしい!彼女の笑顔は今まで僕が見てきた海の綺麗なものすべて振り返ってもかなうものなどなかった。「今日はご馳走ね」その言葉を最後に僕の意識が途切れた。

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