彼に呪い
いつもの喫茶店。目の前に座る大きな体に、丸まった背中。冷めたコーヒーを飲む愛しい人。
彼を眺めながら思う。
この時の終わりを。恋人でなくなるその時もきっと、わたしは彼のことを愛したままなのだと、なぜだか断定的に、そう思うのだ。
わたしは彼と別れたのならば、誰とも永遠を誓わないだろう。
彼はわたしと別れた後<のち>には誰かと永遠を誓うのだろうか?
別に構わないけれど……。
些細なことでわたしを思い出してほしい。
コーヒーを飲むときに、わたしが紅茶に砂糖を3つ入れていただとか、猫舌なことだとか、ただ、それだけのことが頭から離れなくなる呪いを彼にかけたい。
冷めたコーヒーを飲む彼を眺めながら思うこと。
呆ける彼女と言う作品の彼女視点です。
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