第七幕 敵陣営どうしようかなって迷ってたら長引き過ぎたので決戦は次回に延期です
はい。タイトルのまんまです。
……キャラ紹介とか簡潔にできるようになんないとダメだなぁってのが反省点ですね。
その分、次の話はなるべくド派手になるよう頑張りますが
『なんだ……なんだというのだ、あれはっっ……!?』
戦場と化した異空間の雪原に広がる、予想外の光景……
『嘘だと言ってよ……』
『諦めよタテハ。残念ながらあれが現実で御座る……』
『なんて惨い真似を……』
『あのクソ宇宙人が、ナメた真似しやがって……!』
『絶対ェ殺す……!』
【さあ! 我が下僕たち、今夜は祭りよ! 力の限り暴れなさい!】
『『『『『『イエス・マスター』』』』』』
ヤンデレイジョ星人ミコファミータ・ストーキングアイスに命じられるまま動き出すのは、
奴の手で傀儡と化した、亡き魔界二十三閥族の猛者たちの亡骸……。
操られるだけのリビングデッドと化して尚、生前そのものの威厳と風格を維持する辺り完成度は高いんだろうが……
それが逆に、相対する側の神経を逆撫でするのは言う迄もねえ話だ。
『やれやれ、頭を抱えずに居られませんねこれは。
よりにもよってこの場の面々の殆どにとって関りの深い人物ばかり……
あれと心置きなくどつき合えるのは、精々が北川くんと早川技師ぐらいでしょうかね?』
『そうですね。そこに関してだけはあのクソ宇宙人に感謝しねーでもありませんや』
「正直な話、安堵してしまっている自分を恥じずに居れません……ただその分、全力で戦わせて頂きますがね」
さて、何でこんなことになったのか……
しっかり説明させて頂くには、ちっと時間を遡らなきゃいけねぇ。
〈=皿=〉<ってワケで、一旦時を戻そう……
『……さて先輩方、全員お集まりですね?』
数百メートル先で何やらゴソゴソやってるクソ宇宙人から目を離さぬまま呟けば、
スタンバっていらしたステキで愉快な先輩方からの返答が返ってくる。
『ああ、ここにいるよ……
あのミニスカサンタが件のバカ四人組の親玉かい?
よくもあたしらをあんな目に遭わせてくれたもんだね。
「罪を憎んで人を憎まず」とは言うけれど、
あそこまでやらかしまくったあいつらは最早人の形した罪そのものさ……
なら憎んでも別段構やしないだろう?』
『部下の失態は上司の責任……
あの女にもしっかりと責任を取って貰わなくてはならないわね』
射手座のフオン先輩と、乙女座のカーマ先輩は随分とご立腹の様子で……。
なんでもフランス担当部隊の一員として件のクリスマスプレゼント強奪犯を相手取ったお二人は、
連中を難なく撃破し奪われたプレゼントも奪還したようなんだが、
何やらとんでもねぇ目に遭われたたようで……
『オウ、心配すんなよ北川ァ。
いつものクリスマスはケーキ食わねーとやる気出ねえが、
今はケーキ食えてねえからこそモチベ上がってっからよォ……!』
『我々兄弟、あの下卑た男への憎悪はまだ晴れておりませぬ……』『これぞまさに好機、食の恨みの恐ろしさを思い知らせる時でしょう』
牡牛座のロジャース先輩、双子座のアン御兄弟もやっぱりキレてらっしゃるようだ。
お三方が対応に当たられたのは確かイギリスのケーキ屋襲撃事件だったか。
恐らく狙ってたケーキ屋が襲撃されたとかだろう……そりゃキレて当然だ。
『ワレシは元来温厚な男、
シヴァ神のヨにキレてちゃ駄目と思テるケド……
今回はコレぇ、キレ散らかしてモ罰当たラナいよネー?』
『ええ、問題ないと思いますよタクシャカ先輩……
自分をどうしようもない人間だと自覚している僕でさえ、
あの地球外生命体だけは許しておけないのでね……』
『そう卑屈にならないで下さいまし、マキシミリアン様。
かの者は流石に私でも擁護しきれません。
死を以て償う以外の末路など存在しないでしょう』
順に水瓶座のタクシャカ先輩、山羊座のエーレンベルク先輩、魚座のファロー先輩……
何れの面々もストーキングアイスを許すつもりはないらしい。
特にそこそこの外道にも慈悲深かったりするファロー先輩があそこまでバッサリ言い切るってことは、
各々向かわれた事件現場でとんでもねぇ目に遭われたってことだろう。
『北川くんさぁ?
まさかだけどあの粗大スペースデブリとワンチャンあるかもとか思ってないよね?
思ってるってんならあいつより先に君を殺さなきゃいけくなっちゃうワケで、
お姉さんとしては可愛い後輩くんに手を上げるなんてこと極力したくないんだけどなー』
『北川よ……確か志賀マナミ殿であったか。
彼女を眼前で殺された貴殿の悲しみは某深く理解するが、
然してその心に穿たれし空洞を埋める為の相手は吟味せねばならんと、
理解できぬ貴殿ではあるまい?』
『……何の誤解をなさってんだか知りませんが、俺ぁそんな気は毛頭ありませんや。
まずそもそも生前のマナミはよくあるタイプのヤンデレヒロインとか嫌ってましたし、
彼女の遺志を尊重するってなるとあのクズはぶっ殺すのが筋までありますわ』
蠍座の斎川先輩と獅子座のハン先輩にはなんかよくわからん勘違いをされていたが、
幸いにも簡単な説明だけで誤解は無事解けた。
恐らく事件現場で犯人に相当ヤバい目に遭わされたストレスでテンションがバグってたんだろう。
そうでもなきゃこのお二人がそんな妄言口にするとは思えねえ。
『愛は盲目、恋は下心……とは言うが、なんともはや。
見るに堪えん醜態だ。あんな奴には早い所引導を渡してやったほうがいい』
「全く同意見ですよ朧さん。クリスマスは誰にとっても祝福された日であるべきだ。
それを身勝手な理由で荒らした奴らは当然、その元締めも許すわけにはいかん」
『ねえコールレイン様、私の分も残しといて下さいましよ?
あなた様ったら力任せにバラバラにしちゃうんだから、あの宇宙人もすぐ細切れにしてしまうでしょう?』
『そりゃこっちの台詞だぜ係長。あんたこそその大鎌でスパッとやり過ぎんといてくれよ?
宇宙人ってのは大体残機持ちで何回か殺さにゃならんもんだが、完全に不死身なヤツぁそうそういねぇからな』
正論を述べる天秤座の朧先輩に続くのは、些か予想外の面々……
混成部隊に参加してたヨランテお嬢やアーネスト君はまだわかるにしても、基本裏方の早川さんが戦場にいる絵面は中々新鮮っつーかいっそミスマッチだ。
どういうことかと牡羊座のガルゴノーツ団長へ伺ってみると……
『団長、何故早川さんがこちらに?』
『月夜議事会のマインデッド様を通じて「不死者団」に連絡して来られたのですよ。
確か、札幌の事件で知人の方がお亡くなりになってしまわれたとかで、
「犯人が許せない。首謀者だけでもこの手で手を下したい」と懇願されまして……』
『何とまぁそいつぁ驚きだ……早川さん、差し支えなければ詳しくお伺いしても?』
「ああ、構わないよ。
被害に遭ってしまったのは僕の同胞というかね……
まぁ要するに同性愛者の女子高生で、しかも彼女は性同一性障害の持ち主でもあったから、
心身の性の乖離に悩みながらも賢明に生きていたんだ」
早川さんはその女学生とネットのゲーム好きが集まるコミュニティで知り合い、同じシリーズの同じキャラが好きってことで意気投合。
そのお陰なのか自分たちが同性愛者なんだって打ち明け合うのも早く、早川さんは性的少数者の先輩格として彼女の相談に乗ることも多かったという。
「彼女は人格者の秀才で通っていたんだが、幼馴染の少女に予てより恋心を懐いていたそうでね。
元々哺乳類の雌というのは雄と比べ同性との接触を忌避する本能が希薄なこともあり幼少期は比較的過度な接触も問題無かったが、
やがて成長するにつれ自分を"世間一般的に異質な存在"と自覚するようになった彼女は、上辺でこそ平静を装い乍らも自らの持って産まれた本質に思い悩み、苦しむようになってしまったそうだ」
とは言えその後早川さんって良き理解者を得た彼女はその問題と向き合う覚悟を決め、玉砕覚悟で幼馴染に想いを伝えた。
結果は失恋に終わったが……その程度で二人の関係が破綻するワケもなく、寧ろ互いの本質を再認識したお陰で絆はより強まり、唯一無二の親友として平穏な日々を過ごしていた。
「そう、二人は幸せだったんだ。あの瞬間まではね……」
だがつい何時間か前、その幸福な日々は突如終わりを迎えた。
件の女学生は同性愛者なのに加え性同一性障害でもあったもんで男物の衣類を好み、この日も男装で幼馴染と遊びに出掛けていたんだが……
その姿を件の件のテロ集団に"男女のカップル"と誤認され、爆撃を受けて命を落としてしまったんだ……。
「以前にコミュニティのオフ会で会ってたから、顔と本名を知っていてね……
偶然見ていたテレビのニュース番組で彼女の訃報を聞いた時はひたすら悲しくて、年甲斐もなく泣き続けてしまってね……。
泣き止んだ時心に湧き上がったのは、激しい怒りと憎悪だった……
奴らに自ら一矢報いなければ、年は越せない……そう思ったんだ」
『早川さん……』
「それと、戦闘能力に関しては心配要らないよ。
今迄言いそびれてたんだが、これでも僕は薙刀5段でね、幾らか腕は落ちたかもしれないが暇な時は鍛錬もしていたしわりと役に立つと思うよ。
一応、恩師からはそのまま行けば錬士は確実、努力次第では範士も夢じゃないと太鼓判を押されていた。
まあその後色々あって結局表社会に居られなくなってしまったし、そこまで自慢する程でもないと思うがね……」
『間違いなく自慢していいと思いますけども!?』
更にこれは後々相川さんから聞いた話なんだが、
早川さんの腕前は当時の薙刀術界隈でも密かに有名だったそうで、
なんとかの戸田派武甲流薙刀術の二十代宗家、故・仲村陽一氏が生前一目置いてたなんて噂もある程らしい。
……と言ってもみんなにはイマイチ凄さが伝わらなさそうなんで説明すると、
戸田派武甲流薙刀術は、嘗て戦国の乱世に名を馳せた越前福井の戦国大名・朝倉義景の家臣で剣豪として知られた戸田清眼こと富田勢源を流祖とする薙刀術の流派だ。
薙刀術としては日本最古の大御所な上、主に薙刀対日本刀の戦闘を想定した形を中心とする薙刀術にあって、
刀剣・槍・鎖鎌との戦闘を想定した形五本に加え、薙刀対薙刀の形が十一本もあるのが特徴だ。
そんな流派のトップから他流派乍らに一目置かれてたと噂されるってんだから、早川さんは当時の薙刀術界隈でもかなりの脅威と見做されてたんだろう。
ともあれそんなわけでこっち側には裏社会でも通用するレベルの戦力が十数名、
如何に相手が惑星間渡航技術を持つイカレた宇宙人とは言えそうそう苦戦などするハズもねぇと、
誰もがそう確信していたんだ。
だが次の瞬間、雲行きは一気に怪しさを見せ始める……。
【―――メーグリフェイ、メーグリフェイ……
ルー・サナカーリ、ルー・サナカーリ……
クラン・ツェルベス・グィンドーアレフ
ルヌヤン・ヌルオム・モン・ベウ・ディーケ―――】
突如異様な構えで意味不明な言葉を唱え始めるストーキングアイス。
同時に虚空へ現れる禍々しい闇色の渦。
それを見た俺達は皆『またぞろ何かしらの召喚術で、何処かから集めてきた反社会的な連中でも差し向けてくるんだろう』ぐらいにしか思ってなかったが、
然し実際出て来たのは何とも予想外のとんでもない連中で……
『なんだ……なんだというのだ、あれはっっ……!?』
ほぼ全員が絶句する中、
ガルゴノーツ団長が辛うじて発した台詞が全てを物語っていた。
『何故……何故とうの昔に亡くなられた、
既に蘇生すら叶わぬ魔界二十三閥族の猛者たちが、
あたかもあの女へ近衛兵か手駒が如く付き従っているっっ!?』
そう。
ストーキングアイスが自軍の戦力として繰り出して来たのは、
事もあろうに過去魔界二十三閥族で活躍し散っていった猛者たちだったんだ。
しかもその上、どうやら何れの面子も俺以外の死越者やお嬢、アーネスト君にとっちゃそこそこ縁のあった……
言っちまえば"敵視し辛い相手"で、しかもどうやら『クソ宇宙人に対し従順である』以外はほぼ生前そのままらしいってんだから質が悪いったらねぇ。
『嘘だと言ってよ……』
『諦めよタテハ。残念ながらあれが現実で御座る……』
『なんて惨い真似を……』
『あのクソ宇宙人が、ナメた真似しやがって……!』
『絶対ェ殺す……!』
【さあ! 我が下僕たち、今夜は祭りよ! 力の限り暴れなさい!】
『『『『『『イエス・マスター』』』』』』
そのお陰で多くのメンバーは絶望に打ち拉がれ乍ら激昂したし、
それを知ってか知らずかクソ宇宙人は蘇生した皆様を手駒のように操りこっちを煽ってくるんだからどうしようもねぇ。
ただ、辛うじて救いなこともあるにはあって……
『やれやれ、頭を抱えずに居られませんねこれは。
よりにもよってこの場の面々の殆どにとって関りの深い人物ばかり……
あれと心置きなくどつき合えるのは、精々が北川くんと早川技師ぐらいでしょうかね?』
『そうですね。そこに関してだけはあのクソ宇宙人に感謝しねーでもありませんや』
「正直な話、安堵してしまっている自分を恥じずに居れません……ただその分、全力で戦わせて頂きますがね」
この通り、そもそも魔界二十三閥族との付き合いもそこまで長くないからだろう、
蘇生された面々の中に早川さんや俺と縁の深かった相手はいなかった。
〈=皿=〉<といってまぁ、蘇生された中に見知った顔のある面々とてそれで戦いを躊躇するつもりはなく、
寧ろ縁のある死者を粗末に扱われた件でキレまくりの殺る気満々だったがね……。
さて、そんなわけで戦闘突入……の前に、
一旦ストーキングアイスのクソボケが御本人様に無許可で蘇生させやがった"今は亡き魔界二十三閥族が猛者の皆様"を紹介させて頂こう。
『……来い。叩き斬ってやる』
どことなくハクジラかモササウルス辺りの海洋生物を思わせるフォルムの、
特撮の幹部怪人か洋画のダークヒーローめいた雰囲気を纏う鎧姿の剣士……
魔界二十三閥族第四位"多角的最強男子育成機関"『私立スパルタクス漢気塾』海洋学講師兼水球部顧問"獣神京闘"。
見上げるような巨体を誇る鯨獣人で、
頭足類人の妻セーピアに尽くす献身的な愛妻家として知られる一方
野太刀の一振りで木製の海賊船どころか鋼鉄製の戦艦すら切り裂いたんで最盛期は"三角波の獣神"の名で恐れられたそうだ。
『死は永遠の終わりではなく、一時的な小休止……』
黒スーツ姿で空色の長髪を棚引かせた赤い瞳の別嬪さん。
厚手のスーツ越しにもわかるほどにスタイル抜群な彼女こそは、
魔界二十三閥族第十三位"生前と死後の往来者"『霊界輪廻機構』霊障被害対策課前課長"志貴野ランセ"。
種族は亡霊が魔力を蓄え変異した上位種族の一つ"死神"で、
当時被害の多発していた霊障研究の第一人者にして、古くから猛威を振るっていた悪霊一族"亡足"と死闘を繰り広げその根絶に貢献した英雄としても名高い人物だ。
『沈む……深く……
沈んでいく……深みへ……』
戦闘機が変形したようなロボットっつーか機械生命体っつーか……
サイズも相俟って威圧感のあるこちらの御仁は"ロッキー・サーティーン"氏。
種族としちゃ霊魂が車両や船舶、航空機なんかの機械の残骸に憑依した後融合・変異することで誕生したアンデッド系種族"亡霊機体"で、
生前は魔界二十三閥族第七位"黒鉄の防衛軍"『闘神軍閥』に所属、数多の戦場で敵軍を火の海に沈め乍ら、
最期はその巨体で身を挺して民衆を守り抜き戦場に散ったとの逸話を持つまさに豪傑だ。
『意味を……生きる意味を頂戴……』
人間かエルフをベースに植物や節足動物を掛け合わせたような、
不気味なようでいてどこか芸術的な美しさを醸し出す異形のご婦人……
彼女こそは"アルケニー・オーキッド"女史。
魔界二十三閥族第十九位"滋養齎す陽光の使者"『サニーサイド・ギガファーム』傘下の研究機関で偶発的に生まれた"人造混成体"で、
誕生当初こそ精神が不安定で暴走しちゃ騒ぎを起こしてたがやがてそれを克服すると目覚ましい成長を遂げられたそうで、以後は組織の発展ひいては魔界二十三閥族どころか裏社会全域をも取り巻く環境・食糧問題の解決にも大きく貢献した人物として名高いお方だ。
『オウ誰だ今俺のことつまんねー癖に身体だけはエロいって言ったヤツ?
俺ァ町内会じゃ『ウィッシュ』のバレンティノ似だねってんで評判なんだぞコラ!
何? ラブレター? いらねぇよそんなもんどうせ炭疽菌入ってんだろ。
つーかタバコは受動喫煙が一番ヤバいとしても
マッチで黒色火薬の芳香を楽しむめるのは加熱式にゃねえ利点じゃねえか!』
長身痩躯で眼鏡をかけた黒衣の山羊獣人
――但しその左手と、二本ある尾の内の片方は爬虫類のソレだ――
なんとも意味不明な妄言を口走るこのオッサンは"睦月羊翠"って名前の野山羊型術師牛獣人だ。
生前は魔界二十三閥族第十五位"生体凶器軍団"『サタニック・リージョン』を纏め上げてた筆頭で、
とにかく奇人変人残虐非道の唯我独尊を地で行くとんでもねーイカレた殺し屋だったって話だ。
『見捨てた……私を、見捨てた、フオン……
フオンは、どこ……?』
ゲテモノばかり続いた辺りで清涼剤(?)が登場だ。
狐風のパーカーに身を包んだ小柄な
――年の頃は大体小学校高学年か中学生ぐらいの――
可憐にしてミステリアスな雰囲気の小娘……
然してその正体は、魔界二十三閥族第十六位『極東四七守護霊会』"元"神奈川事業所長見習い"小崎イヅナ"女史。
同組織神奈川事業所の前所長"小崎ミナミ"の孫娘で、幼少期から類稀なる妖術や霊能力の才能を開花させ、次期幹部候補として丁重に育てられた傑物だったそうだ。
嘗て神奈川事業所で要職に就いていた頃のフオン先輩とは仲が良く、しばしば行動を共にしておられたそうだが、とある事故に巻き込まれ消息不明……現状実質故人として扱われているが、よもやマジでお亡くなりになってたとはなぁ……。
『……許さない……フオン・ジュイ……』
さて続いても清涼剤(?)枠の登場だ。
オーバーオールに白衣を羽織り眼鏡をかけたいかにも暗い雰囲気を纏う若めなご婦人……
その正体は"宮入ニナ"女史。
小崎イヅナ女史と同じく『極東四七守護霊会』に所属しておられた"元"神奈川事業所長補佐役兼技術部長……要するに小崎女史の世話係って感じの立ち位置に居られた方で、彼女もまた神奈川事業所時代のフオン先輩とは仲が良く、公私を問わず三人で動くことが多かったようだ。
ただやはりそんな宮入女史もやはり過去に起こった大事故で消息を絶っておりほぼ故人扱い……
お三方に何があったんだかは存じ上げねぇが、ともあれ過去の古傷を抉られるフオン先輩が不憫でならねぇ。
『殺す……殺さなきゃならねぇんだ……
あのお方の為になぁぁぁ……!』
悪いな、こっからまたイロモノ枠だ。
赤レンズのガスマスクに黒い軍服で細身の……『ドロヘドロ』のカイマンを二回りほど痩せさせてトゲの代わりに白髪を生やし、尻尾生やしたりと全体的にトカゲへ寄せた感じ、って例えでどれだけ伝わるかな。
ともかくそんなビジュアルの彼は"スキンク・ラケーリー"氏。
魔界二十三閥族第十位"技術者と芸術家の集まる叡智の園"『電脳円環会』所属の自称・研究者兼傭兵とのことだが、どう見ても傭兵にしか見えねぇのは気のせいか?
『ハハハハぁ!
ぶっ壊せぇ! 破壊だぁぁ!』
輪をかけて危ない御仁が来た。
これまたやけにゴツい二足歩行するワニ獣人型のロボ……"鉄鰐のダイロク"氏だ。
魔界二十三閥族第十一位"力を追い求める傭兵団"『ジャガーノート・コーポレーション』に嘗て所属していた鰐神血族で、事故や疾患で損傷した肉体を次々機械化して延命し長らく最前線で活躍されたもののついこの前戦死されたんだったか。
聞く所に依ると全身が武器庫みたいになってるそうで……相手したくねぇなあ。
『……中々面白そうなことになってるようだな』
ラストを飾るのはこれまたとんでもねぇお方だ。
一応人間の形はしてるし服装も現代人としちゃ有り触れてるんだが……ともかく全身包帯でグルグル巻きなんだ。
判り易く言うと『るろうに剣心』の志々雄真実。あれの現代版みたいな感じ。ま、向こうほどバリバリの武闘派っぽい雰囲気じゃねーわけだが……
その正体は魔界二十三閥族"実質的な裏社会の面倒事引受人"『魔界中央裁判所』の幹部格"倉治渦"氏。
見た目通り怪物的に不気味でおっかない方だったそうで、今でも魔物の界隈じゃ子供を叱り付ける時の脅し文句に使われたりするんだとか……どんだけだよ。
ともかくそんなこんなで集まったバケモン二十数名(一部人間含む)、
暫し睨み合いが続いた後……
【さあ、存分に暴れてやりなさい!】
『デストロイヤーズ・アッセンブル!』
双方指揮官の号令を受けて、一斉に激突する!
次回、クリスマス大決戦!
その驚愕の結末とは!?




