第一幕 混沌極まるクリスマスパーティ~こんなザマでも戦場ではおっかない殺戮モンスターなんです~
何も知らないままこの作品のリンクをクリックしたそこの君!
演奏中に求人情報誌のタウンワークなり住宅情報誌のタウンズ読むのは別にいいけど、
それより本作に関して事前情報がないなら是非とも並行して原作『デッドリヴェンジ!』を読んでくれると有難いぞ!
何なら感想・レビュー・ポイントも貰えると凄く助かるぞ!
https://ncode.syosetu.com/n3686ib/
あとカクヨム版はなろう版との差別化のために
各話末尾に用語解説が載ってるのでこっちもオススメだ!
https://kakuyomu.jp/works/16817330663019627345
俺の名前は、北川ナガレ。
『ねぇ〜北川ぁ? 特別サービスだぁ~
あんたにこの餃子を食べる権利をやろぉじゃないかぁ~。
ニンニクが効いててウマいんだよぉ~っひひひひぃ♥』
『そりゃどうも、フオン先輩。
餃子は生前から好きなんで有り難いですわ』
『ちょっとぉ、キタガワくんっ!?
そんな脂肪と糖の塊なんかぁ食べてちゃいけまへんっ!
幾らアンデットらからっれぇ~、不摂生は駄目っれ、おねーさん言っらわよねぇ~!?
こっちの干肉煮込にしろきらさいっ!
ボゴビはヘルシーらからっ!』
『……そりゃボゴビも勿論頂きますがねカーマ先輩、
然しお言葉ですがこっちも大概カロリー高くありませんかねぇ?』
盛り上がるにつれ混沌を極めるクリスマスパーティで
酔っ払った先輩格二人から絡まれる、蟹座の死越者だ。
『そうだよぉ、その干肉煮込らって大概カロリー高いじゃらいかぁ。
それにアンデット、それも死越者らんて元々死人なんだからぁ、
別に何食おうがそうそう大したことになんかなりゃしないだろぉ~?』
『らろしれもっ! らろしれもおねーさんはぁ!
故国ボツワナの味を世界に広めるしめーをせおってるのれすぅぅ~!』
『落ち着きましょうカーマ先輩!
ボゴビもちゃんと頂きますからとりあえず座って!
っていうか貴女別にボツワナ共和国のなんかそういう観光とか飲食系の仕事してるワケでもないでしょうが!』
俺が今現在参加してるクリスマスパーティは、十二人の死越者が集まった『白金の不死者団』主催のヤツで、参加者も当然俺含め全員が死越者だ。
時は遡り2025年11月下旬某日……
雪深まる市街地での死闘を制し、佻尾市を雪雲と屍人どもの脅威から救った俺は、
その後予定通り佻尾市にある『白金の不死者団』本拠地――もとい洋館アパート『紅楼館』の別館――を訪れ『不死者団』を率いる牡羊座の死越者、アリオン・ガルゴノーツ団長と面会。
ガルゴノーツ団長はじめその場に居合わせた先輩死越者の皆さんに迎え入れられる形で、晴れて『白金の不死者団』最後のメンバーとして名を刻むに至ったワケだ。
んでそんな感じの入団から二週間程経ち、先輩方からの助けもあって死越者としてのレベルアップは順調に進みつつあった。
不安定だった死越葬態も幾らか使いこなせるようになり……
ヴェポライザーはまだ手放せねぇが、強制解除から昏睡状態になるような状況は脱せていたからな。
頃合いを同じくして、マインデッド邸の当主ルージュ様から言伝があり、三ヶ日を過ぎた辺りで陽炎一族との接触も出来そうな方向で話が纏まりつつあった。
ガルゴノーツ団長からクリスマスパーティに誘われたのも、大体そのぐらいの時期だった。
なんでも『白金の不死者団』は会合や近況報告も兼ねて定期的に『紅楼館』の別館でパーティをやる風習があるらしい。
と言っても参加は自由な上費用とて団長が全額負担してくれるってんだから気楽なもんで、俺は当初自警団の仕事を理由に参加を辞退しようとしたんだが……
雲井さんはじめサイトウ地区のみんなに烈火の如く叱り飛ばされ(曰く『装備も整って来たし一日くらい平気』『一番の功労者なのにクリスマスを楽しまなかったらバチが当たる』とかで)、
結果的にパーティへの参加が決まったんだ。
宴会なんて新入社員時代会社の金で参加した懇親会以来で、俺自身それとなくワクワクしていた。
聞けば『不死者団』のパーティは毎度豪華絢爛だそうだから、何かしらウマいもんでも食えりゃいいなぁと期待してたワケだ。
(で、実際俺は現在進行形でウマい飯に有りつけてる。
そこはマジで団長に感謝してる、んだが……)
問題なのは"それ以外"だ。
というのも……俺と団長以外の全員がぶっ飛びまくりでカオスなんだよ……。
〈≒皿≒〉<具体例を見せよう。
『そもろもねぇぇぇ!
よけーな所でチョーシ乗りすぎらのよっ、フオンちゃんはぁ!
いーかげん敵をかろんじてあそぼとすんのやーめなっさぁぁぁい!』
『はぁん! いっれくれんじゃないのさ、カーマぁ!
あらしゃ現場をたのひんでんらよぉ! ちゃんろ逃げ道も確保した上でねぇ!?
いつもいっつーもすーぐ余裕無くひて、
らんでもかんれも一人で抱え込んで自爆してばっかのあんらに言われたからいわぁ!』
酔った勢いで口論の真っ最中なのは、
中華出身で射手座担当のフオン・ジュイ先輩と、
ボツワナ出身で乙女座担当のイヴォンヌ・カーマ先輩だ。
どっちもグラドルばりの抜群なプロポーションと絶世の美貌が自慢の別嬪かつ『不死者団』でも古参のメンバーだが、
肌や髪の色から基本的な性格、趣味趣向に至る迄全てが真反対なんで二人揃うと基本口論してばかりいる。
『ったぁく、そんなんらからあんらはいつまで経っても処女なんれしょーがぁ!』
『ちょぉああっとう!? 今それかんけーないれしょおお!?
っていうかそれいーらしららフオンちゃんはカレシとロクになぁー続きしたころないじゃないっ!』
お陰で『生き別れになった双子』とか『元々は一つだった』『2Pカラー』『コンパチおっぱい』、
果ては『DLsiteによくある同人音声の、同じ声優が一人二役で演じてるヒロイン』とかの意味不明かつ失礼極まりないあだ名で呼ばれたりもする……。
『けぇーっ! よけーなお世話らわよぉ!
そもそもあらしだっれ長続きしら彼氏のひろりやふらりいるぅてーのぉ!』
『ハッ、なら言っれみららいよ!
ろろくらいらがつーきしらろぉ!?』
『二ヶ月ぅっ!』
『いや短いじゃらいのよぉ!
そんらの長続きした内に入らないからぁ!』
ただその一方、根幹的な部分では似た者同士でもあって不仲なんてこともなく、ここぞって時には最高に息の合った連携を見せてくれるらしい。
所謂"喧嘩するほど仲が良い"タイプだわな。
『オウオウまたやってんのかあの二人ぃ〜♪
飽きずによくやるもんだぜ全くよぉ〜ッヒヒヒヒヒ♪』
『あの調子ではいつ乱闘に発展するかわかりませんな……』
そんなフオン先輩とカーマ先輩を遠巻きに見物するのは、
若干小柄乍らにやたら乳のでかいトランジスタ・グラマーで上質な黒いロン毛の……例えるなら『原島ろぢゃミ女史をガラ悪く、かつ白人風にしたような見た目』って言えば伝わるかな? そんな感じの姉さんと、
彼女に付き添う、やたら身体に縫合痕の目立つ褐色肌の美形な兄さんだ。
『やはり止めねばなりませんかね……』『ええ、止めねばなりますまい』
顔の向きと声を変えながら、明らかに不自然な喋りを見せる美形の兄さん……
彼らこそは双子座の死越者、カンボジア出身のアンご兄弟だ。
兄のアン・サル先輩と弟のアン・ヴァティー先輩……
生前のお二方は戦時中に生まれた双子の少年兵で、壮絶な日々を懸命に生き抜いておられたが地雷で身体が木っ端微塵に吹き飛んでしまい、
死越者として覚醒・蘇生なさる段階で細切れになったお体が結合し"一つの肉体に2つの人格を宿す死越者"になられたっつー、
かなり壮絶な経歴の持ち主だ。
『なぁぁ〜に、気にするこたぁねぇやぁ♪
それより双子ぉ、オメーらもっと飯食えよホラぁ。
折角のめでてぇ席なんだ、楽しまねーでどーすんだよっ♥』
そんでこちらのトランジスタ・グラマーな姉さんが誰かっつーと……
これ読む前に本編を73か74話まで読み進めた読者のみんなはビックリすると思うんだが……
『そうは仰有いますが……』『実害が出てからでは遅いのですよ、ロジャース様?』
そう、何とこちらの姉さんこそかの"モーガン・ロジャース"先輩……
本編73話で初登場、続く74話で幾らか見せ場のあった牡牛座の死越者なんだ。
『あぁん? 実害だぁ? んなもんたかが知れてんだろ、
オレに言わせりゃ奴らの喧嘩よりオメーらが楽しめてねぇ方がよっぽど実害出てんだぜぇ?』
……ああ、わかるよ。
作者の野郎の目茶苦茶っぷりにどうにか順応してきた読者のみんなでも、流石に驚愕通り越してキレそうになってそうだなって、概ね予想はつくさ。
だがこれが紛れもない現実……本編で登場した巨人の末裔みてーなお姿はあくまで仮のもんで、
真のお姿はご覧の通り、やけにガラ悪くて面構えが白人風で、かつ中身が工業高校に通う男子学生と化したようなもんで……
しかも当人からして積極的に『原島ろぢゃミ様のパチモン』などとネタにしていて、
かつ来日した時には意地でも必ずどっかのロヂャースで最低でも五万は使うよう心掛けてるらしい。
(しかもそん時は仮の姿で行くもんだからやたら目立ってて、全国のロヂャース各店じゃちょっとした有名人だからなぁ……)
なにぶん図体がデカく店にとっちゃ定期的に来る太客だ。そのお陰で店員や客の間じゃ『爆買いの巨人』やら『爆買いギガンテス』などと呼ばれ、
洋画好きが多い店舗だと『爆買いハグリッド』『爆買いキング・コング』『爆買いベイン』
『爆買いハルク』『豪遊ジャガーノート』『金銭感覚のバグったコロッサス』等ついたあだ名は数知れず。
(しかもそれでいてどっちのお姿でも死越者でも上位に食込む武闘派、格闘戦のスペシャリストってんだからなぁ)
因みに実際話してみると下ネタやセクハラは多いものの結構気さくで接しやすかったりする。
まさか生前はスーパーのレジ打ちとか接客業でもやってらしたのか……?
さて、混沌を極める正気じゃねーメンバーはまだ大勢いるぜ?
どんどん紹介していこう。
『うグゥゥ……! 調子こイテ食い過ぎテ飲みスぎィ田智和ぅぅ……!』
『ご無事……とはどうにも言い難いご様子ですなァカ村悠一』
こちらの如何にもグロッキーな様子でヘバってる色黒で中性的な美少年は水瓶座担当のタクシャカ先輩。
本名不詳(タクシャカってのは偽名)乍ら何故か生まれはインドの首都デリーと公言してる等、色々と謎多きお方だ。
『……ォーう、ナガレクンっ……!
ワレシの身を案じテクレるかネー……?
っぐ……ディ・モルト、グラーツぇだヨー……』
『無理してネタ捩じ込んでる場合じゃないでしょう、
てかそもそも一体何があったんです?』
『ぁー……ぅぐ、プ……! ゥォォォ……ッァァァァッハ……
何が在ったテ事ないヨ……
珍しヲ酒に果物・飲料、肴もいロイろ有タから食べ併セトかカクテル試しテたら、
飲み食イし過ギでストマックが重いシ荒れまクリスタリア宝路っ……!』
『胃袋そんなデカくないのに調子こくからそうなるんでしょうガルザぁ……』
タクシャカ先輩は中々ヤバい状態だ。
一先ずどっかで休ませるに越したことはないだろう。
『……とは言うものの俺は新入りだから屋敷の間取りなんて把握できてねーし、
一旦団長に聞いて指示を仰ぐしか――
『呼びましたかね、北川くん』
噂をすれば影が差す如く、俺の行動を読み切ったみてぇに颯爽とその場へ現れたのは、
スラリとした細身に高級そうなスーツを着こなすフルフェイスマスクの紳士……
『白金の不死者団』を率いる牡羊座の死越者、アリオン・ガルゴノーツ団長その人に他ならねえ。
『あれま団長、丁度いい所に来て下さいまして……
いえ実はですね、タクシャカ先輩がご覧の有り様なもんで休憩室へご案内したく……』
『ドーぉモ、ご覧の有リ様でス……ぅプッ……!』
『あれまぁ、それは大変ですね。でしたら私が休憩室まで運んでおきましょう』
『よろしいんで?』
『ええ。「不死者団」は死越者同士で助け合うコミュニティであり、私はその長ですからね。
他の方々へ尽くすのは当たり前ですし、北川くんには嘗てこの佻尾市を救って頂いた恩もあります。
恩人の要求に応えるならまだしも、働かせたりなんかしたら私の面子に関わりますから……
どうぞゆっくりとパーティを楽しんで下さいよ、お客人』
ここまで言われちゃ引き下がらざるを得ねえってなモンで、結局俺はタクシャカ先輩を団長に任せてパーティ会場へ留まることに。
……ま、その方が残りの面々を紹介しやすくて助かるがね。
次回、個性豊かを通り越していっそヤバいレベルの死越者たちが続々登場で混沌は更に極まっていき……まさかの乱闘勃発!?
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マジで宜しくね!