導き手
そんなこんなで深海のケートスで本島まで来た訳だが、何もかもが新鮮で圧倒される。
「そんなに面白いかしら」
「そりゃあもう」
僕も生まれは本島らしいのだが、物心ついた頃には学園都市にある祖母の家で暮らしていた為、実質今日が初上陸のようなものだ。
「私は羽虫が居ない分、島のほうが好きね」
そう言って深海は僕からヘルメットを受け取ると仕舞いながら忌々しそうに空を見上げる。
まるで鳥の様に飛行型が空を飛び交っていた。比較的おとなしいタイプだからあまり積極的に駆除はしていない様だが、それでも気分がいいものでは無い。
「さっさと用事を済ませましょう」
「ああ」
スタスタと歩いていく深海の背中を追いかける。
「(にしても、やっぱり意識してしまうな……)」
普段の制服姿ともオルカとしての姿とも違う、外出用の私服姿。本島の景色もそうだが、今日は色々と新鮮なことだらけだ。
というか、これって世間一般的に言うデートなのでは無いだろうか。先日の件もあってなんかドキドキしてきた。
結局のところ深海にとって僕はどういう存在なのだろうか。
「ちょっと、入り口で立ち止まって無いで早く来なさい。邪魔になってるでしょ」
「(あ、でもこれはちょっと違うかも)」
手を引かれそのまま連れていかれる。母親や姉というものがどんなものか詳しくは知らないが、多分こんな感じだろう。
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「これなんかどうかしら」
「え?ああ、うん」
深海が何着か選んできたらしく、それを手渡される。
「えっと……試着、してくるな?」
「ええ。気に入らないものとかサイズが合わないものがあったら言って。着替えてる間に返してくるから」
「ああ、ありがとう……」
やっぱり彼女っていうより母親とかお姉ちゃんだよな、これ。
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「まあ、こんなものでしょ」
試着を終え、上下4着ほど深海が「なんとなく良さげ」だと思ったものをカートに入れると、また別のスペースに向かう。
「どうせ水着も持ってないでしょ?確かあの屋敷はプライベートビーチがあった筈。夏だし海で遊ぶこともありえるわ」
「そうなのか……?でも学園の」
とまで言ったところで深海の目が細くなる。
「まさかと思うけれど、学園支給の水着を持って行くとか言わないわよね?」
「……すみません」




